久しぶりに歌舞伎、である。
急ぎの仕事もなくダンナもいなく
行くならこの週末しかないとホッサマグナでチケットを予約。
奇跡的に1枚だけ残っていた。ポチった瞬間、完売。
ツイている。
たまりにたまったマイルを使って朝イチに羽田へ飛ぶ。
芝居小屋が立っているのは浅草から歩くこと10数分の隅田公園内。
桜と東京スカイツリーで絶景かな!絶景かな!の好ポジション。
隅田公園はとっくに葉桜。ツリーのてっぺんは曇天に突き刺さり、少し肌寒い。
しかし… スカイツリーは “色” がなく見えるのはなぜだろう。
美しいけど、生気みたいなものが感じられず、あまり魅力が感じられない。
あの尋常ではない大きさのせいかな?
平成中村座の代表作である「法界坊」。
勘三郎さん演じる、ずるくて汚くてうるさい坊主の物語は
一度は見ておきたいような、でも見たくないような気持ちであった。
元気になられた様子に安心し
またアドリブ満載の演出に、幾度か耐えきれず吹き出した。
橋之助さんのガセかほんまかわからないようなネタを口走り
客席にいた団子さんと中車さんを温かくいじり
勘三郎さんのねっからのエンターテイナーぶりに
いい意味でお腹がいっぱいになる。
「双面水照月」ではいよいよ舞台奥の演出に期待が高まる。
沖に流されて行く水間の演出から、背面の板がドーンと開くと
葉桜とスカイツリーが見える、ワオ!な演出。(四月初旬に来るべきでした)
大量の桜吹雪舞うなか
これでもか、とばかりに大見得を切る勘三郎さん。
前に座っていた若い女性たちは感動して涙が出た、とはしゃいでいた。
その気持ちが、よく分かった。
感無量で帰りの便を確認しようとチケットを見ると
想定外の成田発だった。
ツイてないのに、そんなことはどうでもよくなっている幸せな自分がいた。