かぎろひのうた

無系譜の短歌集団として50年の歴史をもつかぎろひ誌社に参加して、かぎろひ誌社と旭川歌人クラブの活動をお知らせしたい

2016年11月歌会の歌

2016-12-16 19:22:16 | 仲間の歌
1 サファイア婚だつたと気付くセピア色の小さき写真の裏の文字より      鎌田 章子

2 ハナウドの散形花序の花揺れて神居のみちに蜂蜜匂ふ            土蔵 寛二 

3 仰ぎ見しスーパームーンは寒々と地球の激動憂ひ居るがに          井上 敬子

4 膝なでて「痛いの痛いのとんでけ」と遠きも新しと心なごみて        久保田一恵

5 晩秋の日差しに恵まれ畑仕事終えたる日より雪虫舞えり           吉田この実

6 戯れに彫りしと友よりの落款は書の伴侶となりて我を励ます         白岩 常子

7 幼子が「バイバイやあだ」と言いたるを見つつ悔いおり昨日の喧嘩      智理 北杜

8 枯れ蔓に一輪咲けりクレマチス秋の終わりの紅揺れる            山田恵美子

9 湿雪をどんと降らしめ早過ぎる冬将軍の到来を忌む             神林 正惠

10 体力の無さに苛立つ父そして母は食事の支度放棄す             上野 節子 

11 荒あらしき樹皮の手ざわり風に痛む楢の息づき耳許で聞けり         河原由美子

12 頼れると信じし人の言葉聞きそれもありかと世の常を見る          櫻井 若子

13 山間のカラマツ林黄に染まり明るく見ゆる冬枯れのなか           遠藤 貞子

14 脱皮の如万の落ち葉を地に敷きて銀杏の並樹雨にけぶらふ          橘  幹子

15 美容室にタキシード柄の小犬おりブローした髪を今日も見上ぐる       丹呉ますみ

16 寝ねながら読みつつあれば啄木はわが掌より早や弾けゆきたり        石山 宗晏

17 年いくときよういく大事友は言う足取り軽く財布も軽し           清水 佳子

18 勇気もてバサリ切るべし徒らに伸びし葡萄の蔓としがらみ          清水紀久子

19 寒村の駅のカフェに「TKG」というメニューあり素早く食べる       西勝 洋一

20 異界からの便よりかしらず軒下に木の葉いちまいひそと置かれし       安藤のどか

21 病窓の手を振る母もいまは亡く振り向く度に切なさ残し           金子 美恵

22 息子が戻り夕餉のメニューはすき焼きでにんまり顔の夫が加わる       杉本稚勢子

23 腰すえてはまゆうの鉢を抱くとき病み伏せる師の面輪よぎれり        柊 明日香

24 アクリル板へだてた向こうにドヤ顔の電気ウナギが我を見つめる       桑原憂太郎
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