長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

和田竜著【のぼうの城】

2017-05-13 02:16:38 | 本と雑誌

時は乱世。
天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。
武州・忍城(おしじょう)。
周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。
石田三成二万の軍勢に、たった二千で立ち向かった男がいた。
総大将・成田長親(ながちか)は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。
智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった…。
この城を敵に回したが、間違いか。
のぼうとは元々「でくのぼう」の略、ただ正面切ってそうは言えず、のぼうに様をつけ、「のぼう様」と呼ばれていた。
その呼名の通り、大きな図体で、とにかく何をやっても不器用な醜男。
忍城の城主は成田氏長であるが、長親はその従弟にあたる。
成田家は北条家に与する。
秀吉がついに小田原征伐に動いた。
氏長は小田原城にて籠城のため、五百の軍勢を率いて渋々ながら出向いて行った。
実は氏長はひそかに秀吉に内通していた。
石田治部少輔三成(いしだじぶしょうゆうみつなり)を総大将に、大谷刑部少輔吉継(おおたにぎょうぶしょうゆうよしつぐ)と長束大蔵大輔正家(ながつかおおくらたゆうまさいえ)とともに、館林城を攻め落とした後、忍城へ大軍を率いて来襲してきた。
忍城側は既に降伏に意を決していた。
長親の父である、城代の成田泰季(やすすえ)が当主不在のため留守与る、総大将であったが、病に倒れついには死んでしまい、そのため嫡男の長親が代わって総大将となった。
三成側から正家が使者として、忍城にやってきた。
正家の高飛車な態度に、忍城の者は歯を食いしばって耐えた。
しかし長親は違った、「戦いまする!」「坂東武者の槍の味、存分に味わわれよ」
そう言い切った…。
家老の正木丹波守利英は軍神上杉謙信に魅入られた男、一番槍の丹波としてその名は轟いている。
当主から朱槍を授かっている。
同じく家老酒巻靱負(ゆきえ)は若輩で小兵ながら智に長けた男。
そしてもうひとり、同じく家老の柴崎和泉守は大男で豪胆。
この三人の家老達の獅子奮迅の働きで、大軍がきりきり舞いする。
三成は水攻めに出た。
なんと利根川と荒川を結ぶ堤を築くというのだ。
その距離七里、(二十八キロ)、それも五日でやってのけるという。
十万人を昼夜兼業で働かせる。
その費え永楽銭にして八千四百貫文。
空前絶後の水攻めであった。
忍城は、本丸だけ残り、後は水没してしまった。
しかしこれにも、長親の命がけの奇策をもって切り抜ける。
丹波は長親を当主氏長など比するすべもない、希代の将器と見抜いた。
三成は秀吉からの援軍も加え、最後の総攻めにかかろうとした。
忍城側も応戦に出る。
しかし、その時小田原城が落城したとの知らせが入り、戦は終わった。
忍城を残して北条方のほかすべてが落城したのである。
決して喜劇ではなく、れっきとした実際にあった史実をもとにした歴史小説であるが、何度も爆笑する場面がある。
氏長の娘、甲斐姫は、齢十八で傾城の容色として、忍領内はおろか他領にも知れ渡っていた。
容姿端麗の上武勇にもすぐれていた。
が、何故か長親に惚れている。
それに対して長親は歯牙にもかけない。
領民達も、城に入って戦えと丹波ら家老が迫っても、頑として首を縦に降らなかったが、長親の名を出した途端、急変して喜び勇んで参戦した。
女、子供まで加わる始末。
丹波らは狐につままれたようで、唖然とした。
士分百姓ら合わせて籠城兵は総計、三千七百四十人だったが、うち十五歳以下の童と女が一千百十三人含まれる。
戦力となるべき十六歳以上の男は、二千六百二十七人であった.
忍方兵力は、三成方の十分の一だった。
これは痛快で文句なしに面白い!!!
狂言師野村萬斎が主演で映画化されている。

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