| 鏡海亭 Kagami-Tei 晩酌のお供に、隠れ家的ネット小説ブログ | ||||
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| 第49話が完結。 僕が望んだのはこんなことじゃない…。自らの引き起こした結果を正視できず、ルキアンは、仲間たちの前からただ逃げ去ることしかできなかった。 |
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拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、 ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら! |
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大地の巨人の正体が、ついに明らかに! 41話・12


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あまりの巨体のため、すぐには全体の形を把握あるいは想像することのかなわぬ何かが、この闇の底にいる。暗黒の空間にうっすらと浮かぶのは、白の色?――白く塗られた城塞が眼下に存在している、そういう錯覚にとらわれそうだった。
大地の《巨人》と呼ばれるだけあって、一見、その白き機体は人間に似た姿をしているように思われる。ぼんやりと確認できる上半身の輪郭は、その巨大さをのぞけば、姿自体の点では人間に似ている。影の形状から察するに、人と同様の頭部があり、おそらくは腕も二本であろう。
だが、予想される《巨人》全体の大きさとの兼ね合いから言えば、この上半身は釣り合いを欠いている。かなり小さすぎるのだ。人の似姿をもつ上体の遥か下に、何か巨大なものが――もしかすると《本体》が――明らかに存在しているのである。
心地よく響く声で、アゾートが語り始めた。
「ダイディオス・ルウム教授。狂気の天才科学者と恐れられ、天上界から地上界へと追放された男。彼がパルサス・オメガの生みの親です。開発者が異常であればこそ、この機体の前提にある……そうですね、旧世界の言葉で言えば《設計思想》というのでしょうか、それも明らかに狂っています」
「ほんと。この趣味の悪さじゃ、狂っていると言われても仕方がないわね」
エーマは大魔道士の言葉に肯き、真っ赤な髪をかき上げた。
「《大地の巨人》という名前は、この機体の当初の姿に対して付けられたものです。かつて天空人が《滅びの人馬》と恐れた姿に。伝説のケンタウロスを思わせる、逞しい荒馬の体と、人型の上半身。地を駆ける無敵の覇者というに、確かに相応しい勇姿であったことでしょう」
彼の言葉が信じられないとでも言いたげに、エーマは肩をすくめ、声を立てて笑う。
「本当? それが今や、この始末。似ても似つかない化け物、もう何の生き物をまねたのか分からない、醜悪な魔物になってしまった」
立ち去ろうとするエーマに、アゾートは語り続ける。
「そこが《異常》なのです。《アルマ・マキーナ》を作り出したとき、旧世界の人間たちは忘れるべきではなかった。自分たちよりも遥かに強い力をもつ人形、あるいは機械の下僕たちが、創造者である人間の手綱から離れてしまったときの恐ろしさを。この機体は自ら考え、自ら進化する……。もはやそれは独立した意思、ひとつの主体。そこが、この機体のもつ《異常さ》に他なりません」
黒革の衣装が、わずかな明かりのもとで妖美な艶を見せる。すらりとした長身のエーマの姿が次第に遠ざかってゆく。彼女はふと歩みを止めた。
「たしかに異常ね。しかし、状況自体が異常な今の世界では、まともなものに頼っていては生き延びられない。たとえ神に祈るのであろうと悪魔に魂を売るのであろうと、肝心なのは、それが役に立ってくれるかどうか。化け物頼みも、この際、まぁ仕方が無いんじゃない?」
毒々しい含み笑いを浮かべ、エーマは姿を消した。

【続く】
※ 今回の記事は、2007年01月13日〜02月24日に
鏡海庵にアップされたものを再掲しています。
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