鍼灸如何に学ぶべきか~科学的鍼灸論の構築のために~

鍼灸の理論と術にかかわる初歩的・基本的な問題を中心に、科学的=論理的に唯物論を把持して説(解)いて行きたいと思います。

腫瘍の定義について〜弁証法を軽視すれば罰なしにはすまされない〜

2017-04-23 19:59:58 | 鍼灸学校での学び・国試勉強・受験勉強
 腫瘍の定義について学んだ。弁証法的に対象を見るということの大事性、弁証法的に視れないということの恐さ痛感する。

 先日の鍼灸学校の授業で、「腫瘍の定義」として「腫瘍とは、自律的増殖能を持った組織塊」であり、それに対して「過形成とは、他律的に増殖したもの」であるとの説明があった。

 この「自律的「他律的」ということのイメージが描けず、より具体的には、生命体と非生命体との区別ということを考えると、その違いは生命体が代謝を行うということであり、そのことによって自己を更新し増殖し続ける、続けられる存在であるということであり、それらは自律的増殖能ということでは無いのか?との思いが浮かんで、そのことと「腫瘍の定義」の違いが分からなかった、同じことをいっているのでは?と思えた。

 それゆえ教員に対して、「自律的増殖能、他律的増殖能ということのイメージが描けないのですが?」と質問したのだが......。説明はいただいたものの「分かった!」とはなれなかったので、教科書『病理学概論 第2版』(畠山茂 滝澤登一郎著 医歯薬出版株式会社)で、「腫瘍の定義」について見てみた。

 そこに説かれてある「腫瘍の定義」とその解説、「人間機械論」的発想そのものと驚かされた。具体的には以下の記述があった。

  「腫瘍(tumor)とは、細胞の自律的な増殖能であると定義づけられる。この意味を理解するには、自律的増殖能とは何かということにポイントがある。
 生体のなかでは、細胞は老化にともなって消失し、それを補うための再生増殖がおこっている。......(中略)......このように、生体内の細胞や組織は、必要に応じて再生増殖を繰り返すことができる。同時に、局所の条件と、生体全体がもっている恒常維持機構の両方が働いて、無制限に増えるということはない。
 つまり、生理状態では細胞は細胞の宿主(host)である生体のほうから絶えずコントロールを受けながら、増殖と再生を行い、組織や器官を構成する細胞社会(cell society)の一員として、秩序と調和のなかに動いているわけである。これが他律的な細胞増殖とすれば、自律的な増殖はおのずから明らかになる。ここで、癌を例にとってみよう。
 癌は、自らがもっている法則性に従って増殖することのできる細胞群である。癌は自分で自己増殖を制御する手段をもたないばかりか、生体側からの干渉も一切排除することのできる強力な増殖力をもっている。その結果、限りなく増え、宿主の生命維持機構を脅かし、最終的に宿主の死をもって、自らの生活史を終えるのである。」(『病理学概論 第2版』)


 ここで説かれることは、要するにある細胞(群)が生命体全体の統括下に(高等動物、人間にあっては脳の統括下に)あるのか、無いのかということを「他律的」「自律的」といっているのだと思う。それはそれで間違いでは無いと思えるが......。

 しかしながら、細胞(群)を統括しているものを「宿主(host)である生体」と説明しているのは、いかがなものであろうか?これではまるで「腫瘍」がどこからかやって来て、人間に寄生したごとくの説明である。それ以上に、通常の人間の細胞に対してまでも同様の説明であるので、人間というものが、単細胞体として誕生して、36億年ともいわれている長い年月をかけて地球の変化・運動とともに相互浸透的に進化・発展して、分化していっての現在の複雑な構造体としてあるのでは無しに、個々の細胞体がどこかから集まってきての構造体である、と説いているとしか思えない説明であると思える。
 ただ、これについては教科書『解剖学 第2版』の冒頭、「第1章 人体の構成」で、「細胞ー組織ー器官ー器官系ー個体」として、細胞が集まり組織となり、組織が集まり器官となり......「これらの系がすべて整然と配列されて全体として調和・統一のとれた個体が形成されるのである。」と堂々と述べられているのであるから、『病理学 第2版』の著者だけを責めるわけにも......。

 以上の「病理学」「解剖学」の人間にかかわる説明はまさに「人間機械論」であるとの思いになるのは私だだけなのであろうかと......。

 世界を、対象を弁証法的に視ることをせずに、目の前の事実のみから形而上学的に(三浦つとむ)解釈してしまうと、とんでもない結論へとなっていって、そのおかしさが分から無いということになっていってしまうのだと......。
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