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■科学技術ニュース■産総研と大阪府大、分子伝送システム「ナノ電車」を開発

2012-12-14 10:58:47 |    生物・医学

 産業技術総合研究所(産総研)の健康工学研究部門ストレスシグナル研究グループ都 英次郎研究員らは、大阪府立大学大学院工学研究科河野 健司 教授らと協力して、光によって発熱可能なカーボンナノチューブ(CNT)と特定の温度で内包分子を放出する温度感受性リポソームを組み合せて、電圧をかけることによって目的位置まで正確に分子を運び、レーザー光照射によって分子を放出できる分子複合体(ナノ電車)を開発した。この開発した「ナノ電車」を用いると、酵素反応の開始を遠隔制御することができる。

 今回の開発により、病気の発生・進行を未然に防ぐ予防医療のための高性能なマイクロ流体デバイスの開発に貢献することが期待される。

 人間をはじめとする多細胞生物は、個々の細胞間でホルモンなどのシグナル伝達分子を授受することで、恒常性の維持や成長の調節、運動制御や記憶・学習などさまざまな生命活動を行っている。

 このような生体機能からヒントを得て、DNAやタンパク質などの分子を伝達し、目的とする化学・生化学反応を誘発する分子伝送システムが開発できれば、化学、医療などのさまざまな分野での革新的な応用につながる。

 産総研ではこれまでに、レーザー光により容易に発熱するCNTの光発熱特性に注目し、体の中で発電できる光熱発電素子や生体内で標的とする生理活性物質を生み出す遺伝子発現制御技術を開発してきた。

 今回、光発熱特性をもつCNTを、特定の温度で内包する分子を放出できる温度感受性リポソームと組み合せることで、生体機能を模倣した新しい分子伝送システムの開発に取り組み、カーボンナノチューブとリポソームからなる分子伝送システム「ナノ電車」を開発したもの。


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