★科学技術ニュース★理研、クモ糸タンパク質の構造を模倣したポリペプチドの合成に成功

　理化学研究所（理研）環境資源科学研究センター酵素研究チームの土屋康佑上級研究員と沼田圭司チームリーダーの研究チームは、高強度を示すクモ糸タンパク質のアミノ酸配列に類似した一次構造を持つポリペプチドを化学的に合成する手法を開発した。

　また、合成したポリペプチドはクモ糸に類似した二次構造を構築していることを明らかにした。

　一部の高コストな微生物合成法を除くと、人工的にクモ糸タンパク質を大量かつ簡便に合成する手法は確立されていないが、今回、同研究チームはこれまでに研究を進めてきた化学酵素重合を取り入れた2段階の化学合成的手法を用いて、アミノ酸エステルを材料にクモ糸タンパク質のアミノ酸配列に類似したマルチブロックポリペプチドを合成することに成功しましたもの。

　同研究で確立した合成手法を用いると、微生物合成法よりも低コストで、大量のポリペプチド材料を得ることができる。得られた材料は既存の石油由来の高強度材料の代替品として、持続可能社会の実現に大きく貢献すると期待できる。