NECと産業技術総合研究所(産総研)は、産総研などが推進するオープンイノベーション拠点TIAを活用し、宇宙でのLSI利用に向けて、優れた放射線耐性をもつNEC独自の金属原子移動型スイッチ"NanoBridge"技術を搭載したFPGA(NB-FPGA)を開発した。
現在のFPGA(SRAM型FPGA)は、人工衛星など宇宙環境で利用する際、放射線の影響でSRAMに書き込まれた回路情報が変化し誤作動が生じる課題がある。一方、NanoBridgeは従来のFPGAの電力効率を10倍向上することに加え、優れた放射線耐性を備えている。
今回、NECは開発したNB-FPGAを用いて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で地上の過酷な放射線環境下で動作実証を行なった結果、NanoBridgeのオン・オフが放射線の照射前後で変わらないことを確認した。これによりNECは、SRAMと比較してNanoBridgeが放射線によるエラー発生頻度を1/100以下にできると予測し、高放射線耐性と超低消費電力を両立するLSIを実現できる。