なにがあっても。

なにがあっても(ときどき再開編)。
カンボジアと影絵芝居にまつわるあれこれ。

お盆の影絵。

2016-09-19 | シエムリアップ
9月15日。
ワット・チョーク(チョーク寺)でスバエクやるよ、というのでプオンに連れて行ってもらった。6時すぎに「早く、早く」とプオンがせかすので、そんなすぐに始まるのか?と思ったら、そうではなく。演者にふるまわれる上演前の夕飯が、めっちゃうまそうなんだ、ということだった。ちなみに、ソムロー・マチュー(酸っぱいスープ)と、コー(豚の角煮)で、見た目なんてことないのに、やたらおいしくて、まるきり関係ない私もご飯を3杯も食べてしまった。

この日に演じたグループは、ティー・チアン一座の分家というようなグループで(まあ、いろいろあったんだけど結果オーライで)、立ち上げのときにはプオンも遣いや語りを教えていた。きょうも急きょ手伝ってと声かけられたらしい。

そういう経緯はともかく。なによりいいのは、これがお盆期間が始まる前夜祭といえるお祭りで、スバエクをやってもらおうかね、とお寺がグループを雇ったということだ。カンボジア人が楽しむためのスバエク。始まる時間やら、終わる時間やら、出来やら不出来やら気にしなくていい。もとい、私もただの観客だからぼけっと見てていい。

それで、お盆なわけだから着いたときからずーっと本堂では読経が行われている。外に向けてつけられた4つの拡声器から、割れた声のお経が途切れることなく響いている。生の音楽も入る。燃やすヤシ殻を積み上げたり、マイクを設置したりと準備はひととおり済んで、でも始まる気配がいまひとつない。「何時に始まるの?」と試しに聞いてみると、「お経が終わったらね」。楽器も、読経の合間合間に演奏するのに使われているから、いずれにしてもそれが終わらないと影絵は始まらない。気にすることはないのだ。あといちにちで満月になる月が空から境内を照らしている。いい時間だよ!

で、8時半も過ぎて人が集まりだし、200人ほど集まったか、9時頃に読経も終わり、それからお坊さまたちが上演の場所に出て来て、演者たちがその前に集まって寄進をしたり、お礼を申し上げたりしたか、しばしのときが過ぎ、ようやく上演が始まった。演目は「魔物コンパン」。と、語り手のおっちゃんがトーン(も遅れて見に来ていた)に駆け寄って来て、「頼む、ソンペア・クルーの儀式の語り手伝って!」。おっちゃんは、散文は充分練習していたけれど、韻文を語るのはこれが初めてだというのだ。トーンは、普段着で短パンの格好だしいやだよ、と激しく遠慮したのだが、プオンにも「行って来いよ」と押されて手伝いに前へ出た。

演者はほとんど若い子ばかりで、技術はまだまにしても気合が入っていて元気な演技だ。観客は、小さい子どもがたくさん、前のゴザを占めている。それに、剃髪したおばあさんたちが20人ほ、脇に固まって地面に直接座って楽しそうに見入っている。丸剃りのおばあちゃんがずらっと並んでいる様子、これもちょっとかわいくて笑ってしまう。



後半になってトーンは退場、プオンが語りの助っ人に入った。助けに入ったり、出たり、演技がこなれてなかったり、そんなことはどうでもよくて、演者も観客も楽しそうだっていうのがいちばんのことだった。雨も降らず、風も穏やかで火は落ち着いて燃えて、いいスバエクの夜でした。





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