医療・介護を支える継続企業の知恵袋

毎日ブログを書き続け10年が過ぎました。2025年、2042年に向けた医療介護の厳しい時代を乗り切る策を考えます。

かかりつけない患者

2016-02-12 06:28:04 | 薬局
絵に描いた餅はいただけるのか。

「かかりつけ薬剤師包括管理料」が270点と、取れるものなら取ってみろとばかり登場した。
これは地域包括診療料・加算、及び新しく出来る認知症地域包括診療料・加算を算定している患者が対象である。
地域包括診療料・加算は高血圧症、糖尿病、高脂血症、認知症の4疾患のうち2つの適用症がある患者である。
認知症地域包括診療料・加算は認知症があって、その他に1疾患があれば対象になる。
その患者を“かかりつけ薬剤師”が処方せんを応需した場合に算定できる。
因みに、2015年7月とちょっと古いが、全国に地域包括診療料の施設基準の届け出が93施設、地域包括診療加算が4,713施設となっている。
今回は多少の要件緩和があるが増えるだろうか疑問だ。

包括の内容は調剤基本料及びその加算(基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算など)、調剤料及びその加算(一包化加算など)、薬剤服用歴管理指導料などになる。
例えば調剤基本料が41点、基準調剤加算が32点、後発医薬品調剤体制加算が22点、調剤料(28日分)が80点、一包化加算が128点(32点×4)、薬剤服用歴管理指導料が38点とすると、合わせて行くと341点になった。
何かおかしい。
計算違いなのか。

基準調剤加算も意外に算定が難しくなった。
一番のネックは管理薬剤師に係る要件である。
薬局の勤務経験が5年以上、当該薬局に1年以上の在籍が求められた。
これはかなり痛い。
また、集中率が90%を超え、後発医薬品の調剤率が30%未満は算定不可となった。
地方のマンツーマンで後発医薬品が嫌いな医師には困る。

後発医薬品調剤体制加算の後発医薬品使用率は私の予想が外れた。
点数は変わらずの18点と22点であるが、算定要件は65%以上と75%以上になった。
これにより今まで55%以上で18点を算定していた薬局が沈んだ。
また、65%以上で74%未満の薬局は22点から4点減点となる。
実はこれも大手調剤チェーンに有利な体制である。
大手の処方元は病院が多く、しかもDPCを採用している。
となると出て来る処方せんは一般名処方せんが多くなる。
院内が後発医薬品なので処方せんで先発に切り替える必要がない。

大型門前もゆるゆるだ。
同一法人グループ全体の処方せんが月間40,000回を超えると定義が出た。
これは先日のブログでも書いたが月間2,000回の応需の店舗が20店舗相当になる。
その根拠が新たに特例の要件に加わった受付回数が2,000回超の集中率が90%以上である。
2,000回の受付がある薬局を準大型店舗とみなしているようだ。
因みに、特定の医療機関からの受付回数が4,000回超は医療モールをイメージしていると思われる。
上位3医療機関からの合算が怪しい。
話が飛んだが、そのグループ企業で集中率が95%を超えるまたは不動産の賃貸借契約がある薬局が調剤基本料3の20点になる。
95%はまさに門内薬局を想定しているのか。
不動産の賃貸借契約とはどこまでの範囲で関与するのか。
どちらにしても患者にとって負担が安くなるのは歓迎となる。

ますます門前に集中する。
果たして門前の景色は変わるのか。





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2 コメント

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違和感 (駒形ファン)
2016-02-12 08:15:02
病院前の景色を変えること無くして医療費削減は不可能なんじゃないでしょうか。調剤報酬改定だけを眺めているぶんにはそんな気になりました。財政が逼迫した状況で、あれだけ中医協などで集中放火を食らった調剤報酬改定が、こんなもんですんだことに、変な話、違和感を感じました。

一方で、7対1入院基本料、療養病床の再編に目を向けると、病院経営はますます厳しくなる気配です。また、紹介状無しで大病院にかかる場合、初診時+5000円、再診時+2500円が患者さんの負担となるので、大病院に気軽にかかる患者さんが減りそうでもあります。

根本的に病院にかかる患者さんを削減して、結果として門前薬局にかかる患者さんの絶対数を減らす計算なのでしょうか。あるいは先に病院がK.Oされてしまうとか。
ゆっくりですが (駒形和哉)
2016-02-13 05:54:43
動いています。
病院の診療報酬も大きく変わりそうです。
着実に「地域医療構想」に基づき機能分担が明確になってきます。
そして、病院は入院機能がより一層求められていきます。
外来受診は紹介状が必要になり、いわゆる通院は少なくなると思います。
これはかなり前から言われていたんですが、なかなか実施までに至りませんでした。
そろそろですね。

そうなると病院前に薬局が出来ても患者は処方せんを持ちません。
処方せんではなく紹介状に対する診断結果になります。

少しは門前の景色も変わるかもしれませんね。

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