国が紛争を解決する唯一の手段

民事訴訟は国が紛争を解決する唯一の手段ではない。もし、ロウがドエの牛を借り、決して返すことがなければ、ドエは王に、ロウに牛を返還させるか弁償させるか、頼むことができる。そして、私たちはそのことを民事(事件)とみなす。

しかし、王がその話を聞き、かれ自らも手を下し、ロウを監獄に入れることもあるだろう。そしてそれは、刑事(事件)とみなされる。
国家の唯一の役割が、紛争を解決する制度（裁判制度）を提供するというとき、二者間での紛争は、民事訴訟である。つまり、民事事件における典型的な救済策は損害賠償の判決や、（牛を返しなさいというような）何かをしろという命令である。
国家が出来事を追求し、起こりうる処罰が罰金、投獄もしくは死刑さえを含むとき、それは刑事訴訟なのである。

最後だが、イギリス国王が個々に裁判を開き、彼自身が臣民の紛争を決定していた(解決していた)時、誰が告訴できるのか、もしくはどんな手順を守らなければならないのかについてのルールを決める必要性はほとんどない。
国王が判決の根源であり、王国の主要な権威者であった。なので、もし臣民が問題を抱えても、彼らは容易に王のもとに出向くことができ、話をすることができた。裁判が制度化されてくるにつれ、ことは次第に複雑になっていった。
もし、人々が単に出向き、不平を話していたのならば、今日、裁判所はなくなっていただろう。この状況に対処するために、法律学者や裁判所は訴訟手続きを統治するルールを決めた。それら訴訟手続きの主体が民事訴訟法として知られており、その法律は、民事訴訟手続きのあらゆる段階をはじめから終わりまで定めている。

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