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英文読解 one パラ道場:自衛隊と共に歩む-自衛隊の武器使用をもっと自由に!

2011年11月10日 16時09分37秒 | 英文読解 one パラ道場

 


自衛隊の海外派兵を巡る記事を紹介します。尚、本文中に、「The pacifist Constitution is interpreted as banning the use of force overseas as well as collective self-defense.」(日本の平和主義の憲法は、集団的自衛権と共に海外での軍事力の行使を禁止しているものと解釈されている)とあります。もちろん、これは現在の政府見解を踏まえた記述ではありますが、しかし、本ブログの特殊な憲法解釈ではなく、この記述は現在の「憲法論-国際法論」からは必ずしも正確なものではありません。

つまり、海外での軍事力の行使も、それが自衛権の発動等々の場合には憲法が禁止しているものではなく、また、自衛権に個別的と集団的の区別(difference between individual self-defense and collective self-defense)はそもそも存在しない。よって、日本国憲法が「自衛権」を否定していない以上、当然に集団的自衛権の行使も憲法上認められる、と。

これらの点に関する私の基本的な考えについては下記拙稿をご一読いただければ嬉しいです。而して、前者に関しては、例えば、長谷部恭男『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書・2004年)を、後者に関しては、佐瀬昌盛『集団的自衛権―論争のために』 (PHP新書・2001年)を是非ご参照ください。

・集団的自衛権を巡る憲法論と憲法基礎論(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/65232559.html

 







SDF needs more freedom in using guns abroad
Seiji Maehara, the Democratic Party of Japan's new policy chief, said Wednesday that the stringent restrictions on the use of weapons by the Self-Defense Forces should be eased and that Japan's ban on arms exports should be reviewed.

In a speech delivered on the first day of a three-day visit to Washington, Maehara said the SDF should be allowed to use weapons to counter an attack on the troops of other countries with whom Japan is working with during overseas missions, such as peacekeeping operations.

He also said a review of the arms embargo policy would allow the Japanese defense industry to take part in joint development of leading technologies and follow the trend of international technology innovation.・・・

SDF participation in peace operations "is still not enough compared to that of other major states," Maehara told the audience of experts on the Japan-U.S. security alliance, saying he was only voicing his personal view.

"We need to solve legal issues. First, it is necessary to enable the SDF to defend other countries' military units operating with the SDF from imminent and unlawful infringement," he said.

Under the Constitution, Japan limits the use of arms overseas to situations in which SDF personnel are under direct attack. The pacifist Constitution is interpreted as banning the use of force overseas as well as collective self-defense.

"Concerning the controversy on the use of weapons of the SDF, the questions of self-defense and collective self-defense also remain unsolved," Maehara said.

Collective self-defense refers to the concept of helping defend an ally that is under attack.

On the almost blanket ban on arms exports, he said Tokyo "must also review the three principles on arms exports," as the policy is called in Japan.・・・


(286 words)

【出典:Kyodo, Sep. 9, 2011】





【語彙】
SDF:自衛隊(Self Defense Force, 尚、「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」;Japan Ground Self Defense Force(JGSDF), Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF), and Japan Air Self-Defense Force(JASDF)), the Democratic Party of Japan's new policy chief:民主党の政策面での新しい責任者(cf. chairman of the DPJ's Policy Research Committee:民主党政調会長), stringent:規則などが厳格な/現実と乖離して杓子定規な, ease:規制を取り除き身軽にする, ban on:~に関する禁止措置,

deliver:意見などを述べる, a three-day visit to Washington:三日間のワシントン訪問(cf. 「基数詞+ハイフン+名詞」で形容詞を作る場合には、ハイフンの後ろの名詞は必ず単数形になります。一度覚えれば間違いようがない簡単なポイントですが、これはTOEICの頻出論点ですよ), troops:軍隊, peacekeeping operations:平和維持活動(cf. 我が国では、「peacekeeping operations(PKO):平和維持活動」と別物とされる向きもありますが、所謂「平和維持軍:peacekeeping force」の活動も国際的にはPKOの一部と理解されている、というか、PKFこそPKOの中核であると認識されています),

arms embargo:武器輸出禁止措置, technology innovation:技術革新, experts on the Japan-U.S. security alliance:日米の安全保障同盟に関する専門家, voice:意見などを述べる, one's personal view:個人的な見解,

enable sb to-V:誰々に~することを許可する, military unit:軍隊の一部隊, imminent:差し迫った/急迫の, unlawful:不正な/違法な, infringement:権利の侵害(cf.「imminent and unlawful infringement:急迫・不正・侵害」の三者は、国際法においても国内法においても<正当防衛>が成立する主要な要件です),

SDF personnel :自衛隊の隊員(cf. personnelはpoliceと同様に単数形ですが集合的に複数扱いされる名詞です), pacifist constitution:平和主義の憲法/非戦主義の憲法(cf. 一般的に「pacifist:非戦主義(者)/平和主義(者)」は英語の語感としては「空想的/世間知らずの」といった軽蔑嘲笑の評価を含意する言葉です), interpret:解釈する, ban:禁止する/制約する, collective self-defense:集団的自衛/集団的に行使する正当防衛,

concerning:~に関して言えば, controversy:論争, self-defense and collective self-defense:自衛と集団的自衛/自衛権と集団的自衛権(cf. 「個別的自衛権と集団的自衛権:right of[to] individual self-defense and collective self-defense」。尚、後者のcollective self-defenseは国連憲章で初めて明文化されたものではありますが、その原初的形態は遅くとも19世紀末の「三国同盟-三国協商:Triple Alliance-Triple Entente 」には存在しており、なにより、現在では、国際法・国際政治の議論においてcollective self-defenseをindividual self-defenseとその正当性の根拠に関して区別する論者は日本以外には存在しないと言っても誇張ではありません), ally:同盟国(cf. 「alien:在留外国人」と間違わないように!),

blanket ban on:~に関する包括的な禁止措置, principle:原理/原則/行動選択の基本的方針(cf. 「doctrine:教義/主義/政策」と多くの場合互換的ですが、国際政治または法哲学の文献では、principleがdoctrineよりもより基本的な方針を表すことが多いと思います。他方、「policy:政策」はprincipleやdoctrineに基づいて設定された具体的な方針のこと。ただし、policyは国全体の外交政策から、例えば、「牛肉の関税の引き下げ率」等々、個々の条約の内容や締結の是非に至るまで、広狭いずれにも使われる。よって、それが実際にカバーする範囲の広さに関しては、principleやdoctrineとpolicyのいずれが広いか狭いかはそれらの言葉が使われる場面によって異なることは留意しておくべきでしょう)





【読解躓きの石】
第2センテンスの次の部分の「異様」さに気づかれたでしょうか。ここです。
TOIEIC頻出論点の「duringとfor」「duringとwhile」の使い分けと併せて以下説明します。

Maehara said the SDF should be allowed to use weapons to counter an attack on the troops of other countries with whom Japan is working with during overseas missions, such as peacekeeping operations.

(前原氏は、平和維持活動のような海外での任務に自衛隊がついている時、自衛隊と共に行動している他国の軍の部隊に対する攻撃に反撃するための武器の使用も自衛隊は許されるべきだと述べた)

さて、duringとforの違いは何か。

duringもforも、そして、whileも「~の間に」の意味ですよね。
そこで、まず確認すべきはduringとforの両者は共に前置詞ということ。
よって、duringもforもその後ろには名詞類しかこない。他方、whileは接続詞。
よって、whileの後ろには「S→V→・・・」構造が来ます。

whileの例外というか、例外もどきはただ一つ。それは次の場合、

Here are a few ideas of what you can do while staying in London.
(ロンドンに滞在される貴方ができること、これがそのお薦めのメニューです)

これは「Here are a few ideas of what you can do while [you are]staying in London.」
でwhileの後ろの「S→V→・・・」構造の主語(S')と述語動詞(V')が省略されたもの。
つまり、このstayingは動名詞(Vg-ing)ではなく現在分詞(Vp-ing)なのです。

cf. Here are a few ideas of what you can do during your stay in London.
この場合、stayにはmyが付いていることでも明らかなように名詞です。

さて、duringとforの違いは何か。基本的には、

・for は出来事が起きる/起きている期間を示し、duringは限定された期間を示す
・for は、for a long time 等の例外を除き、ほとんど全て数詞を伴う名詞が後ろに続く

①I stayed in Fukushima for 3 weeks.
②I stayed in Fukushima during the summer vacation.

duringは「夏休み」などの「具体的で明確な期間の間に」という意味を、forは「特定されていない期間の間に」という意味を表します。そして、一応、固有名詞(類似)の形容句がつく名詞(例えば、during Christmas Holiday)は最も具体的であり、数詞を伴う名詞つまり「数詞+単位時間」(for two weeks)は最も抽象的ですから、その両極が各々duringとforの専属管轄領域であり、その中間領域に近づくに従いduringとforの使い分けは徐々に曖昧になって行き(during the summer/for the summer)、最終的にはコンテクストを見なければどちらが適切かは判断できなくなると言えるの、鴨。繰り返します。重要な論点ですから。

蓋し、duringは具体的な「ある特定の期間、ずーっとその間」の意味。それに対して、forは「期間そのものの長さ」, ちなみに、inは「期間の中で/期間が過ぎれば」の語感。機能英文法では、during は「when・・・?」, for は「How long・・・?」という質問に答えるセンテンスに使われるとされています。

注意すべきは上にも記した「ある特定の期間」なるものにいう具体性は、何年何月何日の何時何分とかいう類の量的正確性という意味ではないこと。それは、「ほら、この前の嵐の間」(during the last storm) とか「1990年代」(during the 1990s)とかの謂わば「歴史的-1回ぽっきり的」の具体性ということ。

大切なことは、①「during+期間を表す名詞」がそのセンテンスの<時>を牛耳る場合、センテンスの述語動詞は、それが状態を表す継続的意味の動詞なら「その間、ずっーとその状態である」の意味になるのに対して、動作を表す動詞の場合には「その間に、してしまった」という完了的の意味になること。

これは、duringが「when?」に対する回答の担い手だから自然な流れ。逆に言えば、「How long?」には、時間の長さが主な関心事なのだから「for+期間を表す名詞」を含むセンテンスでは、すべからく、状態にせよ動作にせよ継続していなければ辻褄が合わないということになります。




さてさて、本論。蓋し、during以下は「~している際に」の意味を表す副詞句であることは上の
説明で明らかでしょう。よって、本編のセンテンスの構造は、

【主語:Maehara】→【述語動詞: said】
            ↓
【目的語:[that] the SDF should be allowed ・・・such as peacekeeping operations.】
  ||
【名詞節を導く接続詞のthat】→【主語':the SDF】→【述語動詞':should be allowed】
                             ↓
                         【目的語':to use weapons】
                             ↓
【目的連関を表す副詞句:to counter an attack on ・・・with whom Japan is working】
  ↑             ↓
  ↑             with 
  ↑
【時間連関を表す副詞句:during overseas missions】
  ↑
【同格・類似の名詞句:such as peacekeeping operations】 .


海馬之玄関式に記号化して表記すれば、

S→V→O(that:S→V→O→M→with→M→M)’


要は、2番目のwithは「迷子」または「座敷童」あるいは「盲腸」なのです。
つまり、that節の内部、最初のMのthe troops of other countries以下は、
the troopsを先行詞とする関係節。

よって、with whomはwith the troops [of other countries]であり、

而して、この箇所は、

Japan is working with the troops with during overseas missions.
(海外で任務を遂行している際、日本はその外国の部隊と活動を共にしている)

という意味。そして、2番目のwithの前後とも意味的にも文法的にも一応完結しています。

Japan is working with the troops with during overseas missions.

しいて言えば、このwithは、with being together(一緒にいる)の省略であり、
「during overseas missions:海外での任務の間」の中でも、更に、短い特定の局面で
日本の自衛隊とその外国の部隊が「一緒に活動している際に」と言いたかったの、鴨。
ただ、いずれにせよ、このwithは非文(文法的には間違い)と言えると思います。





尚、本ブログで使用する「従属節の記号化の表記ルール」については、
下記拙稿をご参照ください。

・英語の従属節-記号表記の試案
 http://blog.goo.ne.jp/kabu2kaiba/e/9ee7fdce2f5e1d256850b930664ea154

そして、本ブログ記事で使う準動詞用の記号ももう一度掲げておきますね。

◎準動詞のKABU式表記
・原形不定詞:ba-V
・to不定詞:to-V
・動名詞:V-ing(g)またはVg-ing
・現在分詞:V-ing(p)またはVp-ing
・過去分詞:V-pp
・分詞:Vp






【和訳】

海外での自衛隊の武器使用は一層緩和されるべきだ
民主党の政策の最高責任者である前原誠司氏は、水曜日【2011年9月7日】に、自衛隊の厳格にすぎる武器使用ルールは緩和されるべきであり、また、日本の武器禁輸制度は見直すべきではなかろうかと述べた。

三日間の日程でワシントンを訪問した初日に行われた講演の席で前原氏は、平和維持活動のような海外での任務に自衛隊がついている時、自衛隊と共に行動している他国の軍の部隊に対する攻撃に反撃するための武器の使用も自衛隊は許されるべきだと述べたのだ。

加えて、前原氏は、もし武器輸出が解禁されれば、日本の防衛産業も先端技術開発に参加でき、また、国際的な技術開発の動向について行くことができるようになるのではないかとも発言した。(中略)

自衛隊の平和維持活動への参加は「他国の平和維持活動と比べればいまだに見劣りするものだ」と、日米の軍事同盟の専門家からなる聴衆に対して前原氏は述べたのである。もっとも、彼は、これらの発言はあくまでも自分の個人的な見解の披露にすぎないと予防線を張ってはいたのだけれども。

「日本は法的な問題を解決しなければならない。第一に、自衛隊と行動を共にしている他国の部隊を急迫不正なる侵害行為から自衛隊が守ることができるようにする必要がある」と前原氏は述べた。

憲法上、日本は、海外での自衛隊の武器使用を自衛隊の隊員が直接攻撃される場合にのみ制限している。また、その平和主義の憲法は、海外での武力行使を集団的自衛権の行使とともに禁止しているものと解釈されている。

前原氏によれば、「自衛隊の武器使用を巡る議論については、自衛権と集団的自衛権の関連に関する問題がいまだ未解決のまま放置されている」とのこと。

ちなみに、集団的自衛権とは、攻撃にさらされている同盟国を護るために資する行動と考えられている。

而して、実質的には包括的な武器輸出の禁止に関して、前原氏は、日本政府は、日本国内でそう呼ばれている所の「武器輸出三原則もまた見直すべきである」と語った。(後略)



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