英語と書評 de 海馬之玄関

KABU家のブログです
*コメントレスは当分ブログ友以外
原則免除にさせてください。

英文読解 one パラ道場:ドイツを撃破-世界が驚愕した<なでしこジャパン>!

2011年07月17日 19時47分47秒 | 英文読解 one パラ道場

我等が<なでしこジャパン>の活躍を報じた記事です。今回もTOEICパート7の後半問題に見たて、関連する記事を2本紹介します。ご自分がTOEICの出題者ならこの2パッセージからどんな設問を作るか。そう考えながら読んでいただければTOEIC対策の効果も一入、鴨。





Japan’s Late Goal Shocks Germany
Japan scored one of the biggest upsets in the history of women’s soccer Saturday, defeating the two-time defending champion Germany, 1-0, in overtime of the World Cup quarterfinals and thwarting German expectations of winning a third title on home soil.

In the 108th minute, the substitute forward Karina Maruyama took a diagonal pass from midfielder Homare Sawa and put an acutely angled shot past German goalkeeper Nadine Angerer. It was the latest goal ever scored in a Women’s World Cup match and one of the most stunningly decisive.

Germany’s players and 26,067 fans were left in disbelief in Wolfsburg, Germany, as Japan advanced to Wednesday’s semifinals to face Sweden or Australia, who will meet in a quarterfinal Sunday.

Japan’s victory came nearly four months after a devastating earthquake and tsunami struck the country’s northeast coast, killing more than 15,000 people. Players expressed hope in May during a pair of exhibitions in the United States that their country might take some hope and consolation from the soccer team’s perseverance. ・・・


(168 words)

【出典:New York Times, July 9, 2011】





Japan beat Germany to make Women's World Cup semis
Japan knocked two-time defending champion Germany out of the Women's World Cup, reaching the semifinals with a 1-0 win when substitute Karina Maruyama outran the defense and scored on an angled shot in extra time.

In Germany's first loss in the tournament in a dozen years, Japan absorbed relentless pressure during regulation time and hit back when it counted.

Standout midfielder Homare Sawa still had the alacrity in the 108th minute to spot a deep run from the substitute, serve her perfectly and see Maruyama slip it around goalie Nadine Angerer to stun the 26,067-sellout crowd and an expectant nation.

"I saw her running, I saw the gap in the defense and I gave the assist," Sawa said. Such sharpness of mind when others could hardly run won the 32-year-old the player of the match award.

"I take my hat off to her," said Germany coach Silvia Neid. "It is her fifth World Cup and she still plays so well."

Germany threw everything forward in the final dozen minutes, but it didn't matter. As throughout the tension-filled match, the ball never fell kindly to the hosts in the goalmouth. Instead, Japan was through to its first World Cup semifinal. ・・・

For too long, Germany's fear of elimination had doused the spirit of creativity. In the end, fatigue got the better of everyone as the quarterfinal turned into a survival of the fittest. And in the end it was the "Japanese game" that coach Norio Sasaki promised that made the difference _ one precision pass and lightness of feet outdid two hours of grinding and pushing by the hosts.・・・


(270 words)

【出典:AP, July 10, 2011】





【語彙1】
score:勝利を収める, upset:番狂わせの試合結果/大金星, defeat:破る/打ち負かす, defending champion:前回優勝チーム, overtime:延長戦(cf. extra time, extra innings(野球の場合の延長戦)。但し、injury time, additional time はあらかじめ時間が決まっている延長戦ではなく、怪我の治療に要した時間等々、審判がそれまでの試合進行の経緯を考えて規定の時間に付け加える延長時間。ちなみに、「ロスタイム:loss time」は和製英語!), quarterfinal(s):準々決勝, thwart:挫折させる/立ちはだかり通さない, on home soil:地元で/本拠地で,

substitute:補欠選手/途中交代で出場した選手, diagonal:対角線の/対角線, angle:真っ直ぐではなく角度をつける, past:~のそばを通り過ぎる, stunningly:かっこよくも/愕くべきことには, decisive:勝利を決定的にする, in disbelief:信じられず茫然として, semifinal(s):準決勝, face:~と対戦する,

devastating earthquake:破壊的な地震, a pair of exhibitions:2試合の練習試合, consolation:慰め, perseverance:忍耐強さ/ねばり強さ



【語彙2】
beat:叩く/打ち負かす, semis:《米口語》=「semifinal:準決勝」, knock out:相手を敗退させる/勝ち抜き戦で相手を退ける, outrun:~より早く走る, score on:~を上手くやる/上手にやる, an angled shot:自分から見て正面ではなく角度をつけたシュート, in extra time:延長戦の時間帯に,

absorb:吸収する/受け止めて受け流す, relentless:情け容赦のない, regulation time:規定の試合時間, hit back:反撃する, count:やって見る価値のある/意味のある,

standout:傑出した, alacrity:敏速さ/活発さ, spot:見逃さない, slip:滑り込ませる, goalie:ゴールキーパー, stun:驚きのあまり気絶させる/茫然自失させる, expectant:期待に溢れている, defense:(不可算名詞として)守備陣, sharpness:鋭利さ, the player of the match award:試合ごとの最優秀選手賞, coach:監督,

throw everything forward:背水の陣で攻めに徹する, matter:重大なことである, as throughout:(「as+前置詞またはV-pp」の形で群前置詞となり)~の期間や事態を通して/その間中ずうっと, tension-filled match:緊張感溢れる試合/緊張に満ちた試合, goalmouth:サッカーのゴール, be through to:~に至る/を手に入れる,

elimination:脱落/除外, douse:ずぶ濡れにする/火の勢いを止める, in the end:最終的には, fatigue:疲労, get the better of:~を負かす/上回る/~より優勢になる, survival of the fittest:適者生存/最適者生存, promise:断言する, make the difference:決定的な差をつける(make a difference は「違いが生じる/重要である」の意味), precision:精確な, lightness:軽快さ, outdo:優る/ものを言う, grinding and pushing:ギリギリと押し付けるようなプレッシャー




【読解躓きの石】
先ずは語彙・熟語の確認から・・・。

第1パッセージの最初のセンテンスの表現、これです。

thwarting German expectations of winning a third title on home soil

(地元で三度目の優勝を飾りたいというドイツの期待を打ち砕く)

序数詞表現である「第三番目のタイトル」になぜ定冠詞の the ではなく、
不定冠詞の a がついているのでしょうか? 

要は、「今大会を逃せばもう二度と優勝のチャンスがない」という場合には
「the third title」と言うしかないのですが、「今回を含め今後のどの大会でも、
優勝すればそれが三度目のタイトルになる」という状況では、つまり、
「とにかく次に優勝したらそれが三度目のタイトル」という場合には、
「a third title」を使います。類例では、

You have seconds! (おかわりは自由ですよぉー!)
Would you take a second? (もう一杯いかがですかぁー?)
 

次に、毎度御馴染みのTOEIC頻出表現。
第2パッセージ、そして、第1パッセージの共に冒頭のセンテンス。
the two-time defending champion
(直近2大会で優勝したチーム)

はい、ハイフンがつないだ「数詞-名詞」が形容詞句を作る場合、ハイフンの後ろの
名詞は必ず単数形を取ります。



第2パッセージの第4センテンス。構文に曖昧な所はなかったですか?

Such sharpness of mind when others could hardly run won the 32-year-old
the player of the match award.


この箇所は文の要素ではない副詞節、つまり修飾語句を「レントゲンで捨象」すれば、

Such sharpness of mind won the 32-year-old the player of the match award.
(そのような精神の敏捷さによって、この32歳の選手は試合の最優秀選手賞を手にした)

となります。ならば、元の贅肉を戻した全体の意味は、

Such sharpness of mind when others could hardly run won the 32-year-old
the player of the match award.
(他の誰も走り出せないでいるのに対して、自分はアクションを起こせる、そのような精神の敏捷さによって、この32歳の選手は試合の最優秀選手賞を手にした)

という所でしょうか。



7センテンス目、この箇所は日本人にとっての躓きの石、鴨。これです。

And in the end it was the "Japanese game" that coach Norio Sasaki promised that made the difference _ one precision pass and lightness of feet outdid two hours of grinding and pushing by the hosts.


まず注意すべきは「主語のit」は何かということ。TOEIC760点くらいの中級クラスでも、
()it ~thatの強調構文のit
()前のセンテンスのthe quarterfinal
と2説が出できます。

次に、二つのthatは文法的には各々何なのか? 

後ろの方から言えば、最初の that は関係代名詞で、後ろの that は promise の目的語として
の名詞節を導く接続詞の that です。ちなみに、「coach Norio Sasaki promised」は関係節
内部の挿入句。よって、「主語のit」は()が正しいと思います。

尚、先行詞と関係節との間の挿入句の例は、『ロイヤル英文法』によれば、

I saw a woman who I thought (that) was a friend of my mother's.
(私の母の友達だよなと思う女性にお会いした)

ということで、7センテンス目の核心部の意味は次のようになると思います。

it was the "Japanese game" that coach Norio Sasaki promised that made the difference
_ one precision pass and lightness of feet・・・
(この試合の帰趨を決定したものは「日本流の試合」であった。それは佐々木則夫監督が断言しているように、精確なパスと軽やかなフットワークが開催国ドイツのギリギリと詰め寄せる2時間に亘る圧力に優ったと言うことである)





【和訳1】

試合終了近くの日本のゴールがドイツを震撼させる
土曜日【7月9日】、日本が女子サッカーの歴史の中でも最大級の激震を引き起こした。過去2回連続で優勝して今大会に駒を進めていたドイツをワールドカップ準々決勝で延長戦の末「1-0」で降したのだ。これにより、地元で三度目となる優勝を飾りたいというドイツの悲願もまた消滅した。

激闘も試合開始後108分、途中出場の丸山桂里奈は、中盤の澤穂希から出たピッチを対角線状に切り裂くパスを受け取ると、ドイツのゴールキーパーNadine Angererの脇を抜ける角度の大きいシュートを精確に放った。これが女子ワールドカップ史上最も遅い時間帯に決まったゴールであり、そして、最も劇的な決勝点の一つとして記憶されることになるだろう。

Wolfsburgの試合会場でドイツチームと26,067人の観衆は起こったことが信じられず茫然自失のあり様。而して、他方、日本は水曜日の準決勝で、日曜日に準々決勝を戦うスウェーデンかオーストラリアのいずれかと見えることになる。

対ドイツ戦の日本の勝利は、日本の北東部沿岸を壊滅的な地震と津波が襲ってから約4ヵ月後のことになる。この災害では15,000を越える死者が出た。日本の選手達は、5月にアメリカでアメリカとの2試合の公開練習試合を行う間に、なでしこジャパンの忍耐強さが母国に何らかの勇気と希望を与えることになれば嬉しいと吐露していたのである。(後略)





【和訳2】

日本、ドイツを叩きワールドカップ準決勝に進出
日本が女子ワールドカップの直近大会で連続2回優勝のドイツを降して準決勝に駒を進めた。試合も延長に入る中、途中出場の丸山桂里奈が相手ディフェンス陣を振り切り、角度のついたシュートを決めたことによって1-0で日本が勝利したのである。

この敗戦はドイツにとってはワールドカップでは12年振りの敗戦。日本はこの試合の前後半、ドイツの凄まじい攻勢に耐え続け、そして、千載一遇のチャンスをものにした。

傑出した中盤の選手として知られる澤穂希は、試合開始後108分経過した時点でもその機敏な動きを失ってはいなかった。而して、彼女は、自陣から敵陣に向けて長躯駆け上がる途中交代で出場した味方の一人の選手の動きを見逃さず、完璧なパスをその選手に供給して、そして、その丸山が敵ゴールキーパーNadine Angererをかわしたのを見ていた。澤と丸山の活躍によって、売り切れの大入り満員の26,067人の観衆と優勝の期待に湧く国民は茫然自失の状態に落ち込んだのである。

「丸山が走って行くのが見え、敵ディフェンス陣の隙が見えたんです。だから、丸山がシュートを打てるようにとパスを出した。それだけのことなんですけどね」と澤は語っている。他の誰も走り出せないでいる状況の中で、アクションを起こせる、そんな精神の敏捷さがあればこそ、この32歳の選手は試合の最優秀選手賞を手にしたのである。

ドイツのSilvia Neid監督は「澤には脱帽です」と述べている。「澤は今回で5回目のワールドカップなんですのよ。それなのに、まだこれだけやれるんですからね」とも。

ドイツは延長後半の残こされた12分間、背水の陣で怒涛の攻めを見せたが形勢を変えることはできなかった。畢竟、緊張で張り詰めたこの試合を通して、開催国ドイツに天は味方せず、ドイツ選手の放つシュートがゴールネットを揺らすことはなかった。而して、対戦相手の日本が初めてワールドカップの準決勝に進むことになったのである。(中略)

この試合の多くの時間、ドイツは準々決勝敗退の危惧のために金縛り状態に陥り創造性に富む冒険心が萎えてしまっていた。而して、結局、疲労の蓄積が顕著になってしまい、この準々決勝は疲労を鑑みての適者生存のゲームになってしまった。そして、終にこの試合の帰趨を決定したものが何かと言えば、それは「日本流の試合運び」であった。すなわち、佐々木則夫監督が断言しているように、精確なパスと軽やかなフットワークが開催国ドイツのギリギリと詰め寄せる2時間になんなんとする圧力に優ったと言うことである。(後略)







最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。