山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

人間が咄嗟にとる行動について

2013-07-10 | 大空への憧れ
 人間がとっさの時にとる行動は、時としてより悪い事態を招くことがあります。この度のサンフランシスコで発生したアシアナ航空の事故でパイロットの操縦操作がそうだったのではないかと思います。
 専門家でもないものが何を言うかといったご批判もあろうかとは思いますが、飛行機好きの戯言としてお聞きくださればと思います。

 着陸時に規定より低高度かつ低速度というのは、最低最悪の状況です。何故そのような事態に陥ってしまったかは、今後の調査を待つしかありませんが、そのような状況でパイロットが取りうる操作は、パワーを入れて、決して機首上げをせず、運を天に任せること位しかないと思います。

 何と非常識なことを言っているのかと訝しく思われるでしょう。高度が下がっているのだから操縦桿を引いて機首上げをすべきだと思われることでしょう。事実ネット上でもっと早く機首を上げるべきだったといった指摘が散見されます。

 しかし、エアスピードが下がっているのに機首上げ操作を行うことは、更なるエアスピードの低下を招き、最悪の場合には失速に陥ってしまいます。今回の事故でもパワーを入れて数秒後に失速警報が鳴動したと報道されております。(何故そのようになるのか興味がある方は、「操縦訓練記(9)-学んだことと今後の課題」 をご参照下さい。)

 しかし、地上が間近に迫ると頭では理解していても本能的に操縦桿を引いてしまいます。もし私がそういった状況に直面したら、果たして操縦桿を引かずにいられるでしょうか。全くもって自信がありません。エアラインのパイロットはそのような訓練を十二分に受けていても、やはり操縦桿を引いて(ないしは維持して)しまったのです。

 もし、パイロットがパワーを入れると同時に操縦桿をいくらかでも戻していたらグライドパスか改善した可能性があるのではないかと考えます。岸壁に尾部が激突していると言うことはメインギアがある主翼は地上にあった訳です。ほんの数メートル前に行くことが出来れば、そしてフレアのような機首上げ姿勢でなかったとしたら、滑走路外ではあるけれどもギリギリ着陸できた可能性があるのではないかとも考えられます。

 このように飛行機の操縦は、一般常識からかけ離れています。だからこそ、咄嗟の時に正しい行動ができないと言えるのでしょう。人間がとる本能的・反射的行動を抑制して正しい操作を行わせるのは理性と正しい知識と訓練の積み重ねしかないのではないかと思います。

 それにしてもNTSBの情報発表は迅速ですね。日本の場合には、警察が入り犯罪捜査といった側面がありますので、情報がなかなか公表されませんし、当事者の証言も自分に不利な事柄については口が堅くなってしまいます。「取調べの可視化について」でも書いておりますように、被害者感情を抜きにして言えば、医療過誤や航空・船舶・鉄道事故など公共性が高い場合については、当事者を免責にしたうえで、真相究明及び再発防止を図った方が犯罪者をあら捜しするより社会的意義が高いのではないかと考えます。


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