風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「居心地のいい本屋さん」Casa BRUTUS

2016-12-07 | 読書

かつて盛岡には東北一売り場面積の大きな本屋があった。
その東山堂ブックセンターが無くなり、
その代わりのようにしてジュンク堂が来た。
今は広い売り場面積を誇るTSUTAYA書店もある。
町の本屋も好きだったワタシだけれど
大きな本屋に行くのははまた別の楽しみもあった。
普通の本屋には置いていないような
大手出版社ものやベストセラーもの以外の本、
そして地方出版などの希少本が見つけられたから。
あまり知られていないながらも
良書や興味が湧く本、貴重な本など見つけると
多少高くても宝物を見つけた気分になり
思い切って買ったりもした。
だから「本屋は大きいところがいい」と思い込んでいた。

その思いが覆されたのは今年の春。
盛田隆二さんと中島京子さんのトークショーのため
下北沢の書店B&Bさんに初めてうかがった時だ。
本屋は本屋だが、並んでいるのは見たことのない本ばかり。
一般的に並んでいる売れ筋本や新刊書があまりない。
置く本の分野をかなり絞り込み、
小さな出版社や少部数本などもたくさん並んでいる。
それまでのワタシの認識では、本屋さんは
取次から配本されるものを待つ受け身だと思っていたので
自らセレクトした品揃えの本屋さんは衝撃だった。
なるほど確かにこういうやり方もある。
しかも片隅にはカウンターがあってビールも飲める。
(なるほど名前はB&B=Books & Beer)
トークショーが始まる前の時間
ワタシは並んでる各棚にすっかり夢中になってしまった。
(アートや文化的な分野が多かったせいもある)
なるほどなぁ・・・

そして今回目にしたCasa BRUTUS。
そんな本屋さんが全国にあることに再度驚いた。
その前に「小さな出版社の作り方」を読み
シブヤパブリッシングアンドブックセラーズ(SPBS)が
販売する本をセレクトしていることを知ったので
そんな特徴ある書店経営方法については学んでいたが
なるほど全国に広がっているのか。
SPBSはニューヨークのインディペンデント系書店を参考にし
店周辺も巻き込んで文化圏を作りつつあるというが
そういう本屋さんのあり方もあるんだなぁと目からウロコ。

もちろん書店がある街のロケーションや
その街が持つ文化をリサーチした上でだけど
そんな書店がひとつあるだけで周辺の雰囲気は変わるだろう。
それが本屋さんの力。
コメント
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