読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

快挙

2016年05月31日 | ★★☆☆☆☆(消化不良)
白石一文(新潮文庫)

写真家を目指す俊彦は、小料理屋を営む二歳上のみすみと結婚する。やがて小説に転向した夫を、気丈な妻は支え続けた。しかし平穏な関係はいつしか変質し、小さなひびが広がり始める……。それでもふたりは共に生きる人生を選ぶのか? 結婚に愛は存在するのか? そして人生における快挙とは何か? 一組の男女が織りなす十数年間の日々を描き、静かな余韻を残す夫婦小説の傑作。

高校入試

2016年05月09日 | ★★★☆☆☆(満足)
湊かなえ(角川文庫)

県下有数の公立進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。迎えた入試当日。試験内容がネット掲示板に次々と実況中継されていく。遅れる学校側の対応、保護者からの糾弾、受験生たちの疑心。杏子たち教員が事件解明のため奔走するが……。誰が嘘をついているのか? 入試にかかわる全員が容疑者? 人間の本性をえぐり出した、湊ミステリの真骨頂!

夏美のホタル

2016年05月03日 | ★★★★☆☆(お勧め)
森沢明夫(角川文庫)

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。そこでひっそりと暮らす母子・ヤスばあちゃんと地蔵さんに、温かく迎え入れられた慎吾たちは、夏休みを「たけ屋」の離れで暮らすことに。夏空の下で過ごす毎日は、飽きることなくシャッターを切らせる。やがて、地蔵さんの哀しい過去を知った慎吾は、自らできることを探し始めるが……。心の故郷の物語。