読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

白ゆき姫殺人事件

2014年03月27日 | ★★★★☆☆(お勧め)
湊かなえ(集英社文庫)

化粧品会社の美人社員が黒こげの遺体で発見された。ひょんなことから事件の糸口を掴んだ週刊誌のフリー記者、赤星は独自に調査を始める。人人への聞き込みの結果、浮かび上がってきたのは行方不明になった被害者の同僚。ネット上では憶測が飛び交い、週刊誌報道は過熱する一方、匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理。噂話の矛先は一体誰に刃を向けるのか。傑作長編ミステリー。

海に沈んだ町

2014年03月24日 | ★★☆☆☆☆(消化不良)
三崎亜記/著 白石ちえこ/写真(朝日文庫)

数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、海に沈んでしまった故郷を探しにゆく男、政府に監視されるニュータウン──。私たちが生きる現実から少しだけ乖離してしまった町を舞台に、そこに住む人びとを淡く繊細に描いてゆく、9つの物語。

僕の明日を照らして

2014年03月20日 | ★★★★☆☆(お勧め)
瀬尾まいこ(ちくま文庫)

中学2年生の隼太は、この春に名字が変わった。シングルマザーだった母が、町で人気の歯医者と結婚したのだ。すごく嬉しかった。なのに……。優ちゃんはときどきキレて隼太を殴る。母さんは気づかない。隼太が、優ちゃんの抗議をものともせず全力で隠しているからだ。この孤独な闘いから隼太が得たものはなにか。友だち、淡い初恋、そしてこの家族に、選択の時が迫る。解説 岩宮恵子

Story Seller annex

2014年03月16日 | ★★★☆☆☆(満足)
新潮社ストーリーセラー編集部(新潮文庫)

大好評アンソロジー「Story Seller」の姉妹編をお届けします。今回も、6名の超人気作家が豪華競演。オール読みきりで、読み応え抜群の作品を詰め込みました。あっと驚かされるミステリ、くすりと笑える話から、思わず涙がこぼれる恋愛小説まで。物語の力にどっぷり惹き込まれる幸せな読書体験をどうぞ。お気に入りが見つかったら次の本を探せる、作家別著作リストも完備しました。

孤高の人

2014年03月10日 | ★★★☆☆☆(満足)
新田次郎(新潮文庫)

(上)
昭和初期、ヒマラヤ征服の夢を秘め、限られた裕福な人々だけのものであった登山界に、社会人登山家としての道を開拓しながら日本アルプスの山々を、ひとり疾風のように踏破していった“単独行の加藤文太郎”。その強烈な意志と個性により、仕事においても独力で道を切り開き、高等小学校卒業の学歴で造船技師にまで昇格した加藤文太郎の、交錯する愛と孤独の青春を描く長編。
(下)
いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友人の願いを入れるが、無謀な計画にひきずられ、吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。日本登山界に不滅の足跡を遺した文太郎の生涯を通じ“なぜ山に登るのか”の問いに鋭く迫った山岳小説屈指の力作である。