読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

アイドル新党

2012年10月25日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(徳間文庫)

かつて一世を風靡したグラビアアイドル・春乃マキ。今や崖っぷち、落ち目のマキを再浮上させようと、事務所社長は政界アイドルへの転身を目論む。絶対に嫌だと怒るマキだが、マネージャー山崎の説得で故郷の市議選出馬を決意。ヤンキー時代の仲間たちに支えられ、サイレント・マジョリティー=〈マジョ〉の代表として「あたしがやってやる!」とヒートアップ。マキの闘いが始まった!

謎解きはディナーのあとで

2012年10月22日 | ★★★☆☆☆(満足)
東川篤哉(小学館文庫)
第8回本屋大賞受賞作

国立署の新米刑事、宝生麗子は世界的に有名な『宝生グループ』のお嬢様。『風祭モータース』の御曹司である風祭警部の下で、数々の事件に奮闘中だ。 大豪邸に帰ると、地味なパンツスーツからドレスに着替えてディナーを楽しむ麗子だが、難解な事件にぶちあたるたびに、その一部始終を相談する相手は“執事兼運転手”の影山。「お嬢様の目は節穴でございますか?」──暴言すれすれの毒舌で麗子の推理力のなさを指摘しつつも、影山は鮮やかに事件の謎を解き明かしていく。 二〇一一年ベストセラー一位のミステリ、待望の文庫化。書き下ろしショートショート『宝生家の異常な愛情』収録。

ハング

2012年10月19日 | ★★★☆☆☆(満足)
誉田哲也(中公文庫)

警視庁捜査一課の堀田班は、宝飾店オーナー殺人事件の容疑者を自供により逮捕。だが公判では自白強要があったと証言され、翌日、班の刑事の一人が首を吊った姿で見つかる。そしてさらなる死の連鎖が……。刑事たちは巨大な闇から仲間を、愛する人を守ることができるのか。誉田作品史上もっともハードな警察小説。 <解説>宇田川拓也

神去なあなあ日常

2012年10月15日 | ★★★★☆☆(お勧め)
三浦しをん(徳間文庫)

平野勇気、18歳。高校を出たらフリーターで食っていこうと思っていた。でもなぜか三重県の林業の現場に放り込まれてしまい──。携帯も通じない山奥!ダニやヒルの襲来!勇気は無事、一人前になれるのか……?四季のうつくしい神去村で、勇気と個性的な村人たちが繰り広げる騒動記!林業エンタテインメント小説の傑作。

廃墟建築士

2012年10月06日 | ★★★★☆☆(お勧め)
三崎亜記(集英社文庫)

いつか崩れて自然へと回帰していく姿に魅せられ、「私」は廃墟を造り続けてきた。時の経過によって醸成される廃墟こそが、その国の文化的成熟度を表すのだ。だがある時、「偽装廃墟」が問題となり……(『廃墟建築士』)。七階での事件が多発し、市は七階の撤去を決定した。反対する市民は決起集会を開くが……(『七階闘争』)。意識を持つかのような建物に現実と非現実が同居する、不思議な4編の物語。

往復書簡

2012年10月01日 | ★★★☆☆☆(満足)
湊かなえ(幻冬舎文庫)

高校教師の敦史は、小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いに行く。六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていた。それぞれの空白を手紙で報告する敦史だったが、六人目となかなか会うことができない(「二十年後の宿題」)。過去の「事件」の真相が、手紙のやりとりで明かされる。感動と驚きに満ちた、書簡形式の連作ミステリ。