読んだ文庫をつらつらと…

備忘録として、6(5+1)段階評価で

ちょっと今から仕事やめてくる

2017年08月03日 | ★★★★☆☆(お勧め)
北川恵海(メディアワークス文庫)
第21回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞受賞作

ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。なぜ赤の他人をここまで? 気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で自殺した男のニュースだった──。スカっとできて最後は泣ける、第21回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作。

都立水商!

2017年07月28日 | ★★★★☆☆(お勧め)
室積光(小学館文庫)

水商売業界に朗報! 前代未聞「お水の高校」設立!! 平成××年3月2日、東京都教育局は、水商売(風俗産業)に関する専門教育を行う都立高校を歌舞伎町に設立すると発表した。正式名称「東京都立水商業高等学校」。通称「都立水商」。 ホステス科、ソープ科、ホスト科など七学科で発足、プロ中のプロを講師に集めた水商だが、入学してきた新入生は問題児ばかり──彼らに水商売の未来をたくすことはできるのか!? 単行本発売時には名だたる書評家たちも唸らせた、笑いあり感動ありの傑作青春小説待ちに待った文庫化!(解説=吉田伸子)

おまえのすべてが燃え上がる

2017年07月22日 | ★★★☆☆☆(満足)
竹宮ゆゆこ(新潮文庫nex)

逃げて、逃げて、逃げて。私は“彼”に出会う。
樺島信濃は、逃げていた。誰から?包丁を持った女から。なぜ? 愛人であることがバレたから。逃げて、逃げて、逃げて。今はスポーツジムのアルバイト。けれど、給料では生活費すら賄えず、貢がれたブランド品を売って、なんとか暮らす二十六歳の日々。これではダメだ。わかっている。でも。そんなある日、弟が元恋人とやってきて……。愛とは。家族とは。切なさ極まる長篇小説。

ケモノの城

2017年07月14日 | ★★★☆☆☆(満足)
誉田哲也(双葉文庫)

警察は、自ら身柄保護を求めてきた少女を保護した。少女には明らかに暴行を受けたあとがあった。その後、少女と同じマンションの部屋で暮らしていた女性を傷害容疑で逮捕するが、その女性にも、暴行を受けていたと思われる傷があった。やがて、少女が口を開く。お父さんは、殺されました──。単行本刊行時に大反響を呼んだ問題作がついに文庫化。読者の心をいやおうなく揺さぶる衝撃のミステリー。

イノセント・デイズ

2017年06月26日 | ★★★★★☆(最高!)
早見和真(新潮文庫)
第68回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門受賞作

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。

君の膵臓をたべたい

2017年06月03日 | ★★★★☆☆(お勧め)
住野よる(双葉文庫)

ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて──。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!

自分を好きになる方法

2017年05月30日 | ★★★☆☆☆(満足)
本谷有希子(講談社文庫)
第27回三島由紀夫賞受賞作

16歳のランチ、28歳のプロポーズ前夜、34歳の結婚記念日、47歳のクリスマス、3歳のお昼寝タイム、63歳の何もない一日。リンデは「お互い心から一緒にいたいと思える相手」を求め続ける。密やかな孤独と後悔、それでも残るほのかな期待を丁寧に描いて、女性たちの圧倒的な共感を呼んだ第27回三島由紀夫賞受賞作。

ガソリン生活

2017年05月11日 | ★★★☆☆☆(満足)
伊坂幸太郎(朝日文庫)

のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死! パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ……!? 車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚! 愛すべきオフビート長編ミステリー。《解説・津村記久子》

ひかりの魔女

2017年03月16日 | ★★★★☆☆(お勧め)
山本甲士(双葉文庫)

うちのばあちゃんって一体何者!? 浪人生の真崎光一は、一緒に住み始めた祖母が、方々で先生と慕われることに驚く。どうやら昔から色々な人を幸せにしてきたらしいのだ。実際、家族の抱える諸問題もいつの間にか解決してしまった。光一は目撃する。ばあちゃんの作るびっくりするほど美味しい料理や「優しいうそ」の力がもたらした信じがたい奇跡を──。「こんな人がいてくれたら」ワンダフルでスペシャルなおばあちゃんが惹き起こす幸せの物語。

冬空トランス

2017年03月07日 | ★★★☆☆☆(満足)
長沢樹(角川文庫)

少女はなぜ4階のこの教室から飛び降りなければならなかったのか? 撮影不可能な映像はいつどうやって撮られたのか? タイムリミットは一晩。絶体絶命の完全密室から、脱出することはできるのか? 屋上観覧車、校舎、放送室……様々な場所に仕掛けられた難解トリックに“可愛すぎる名探偵”樋口真由が挑む。文庫書き下ろし「『消失グラデーション』真の解決編」も収録した、横溝賞〈大賞〉受賞作家、真骨頂の学園ミステリ決定版!

夏服パースペクティヴ

2017年02月26日 | ★★☆☆☆☆(消化不良)
長沢樹(角川文庫)

都筑台高校2年生にして弱小映研部長の遊佐渉は、気鋭の映像作家・真壁梓が夏休みに企画した撮影合宿に参加することに。しかし、キャストの女子生徒が突然倒れ込む。なんとその胸にはクロスボウの矢が深々と突き刺さっていた。セミドキュメンタリーの撮影現場で起こる虚構の殺人が、いつしか本物の惨劇へ。交錯する思惑、驚愕のトリック、慟哭の真実。“美少女”探偵・樋口真由が、難攻不落のクローズド・サークルに挑む!

スクールカースト殺人教室

2017年02月06日 | ★★★★☆☆(お勧め)
堀内公太郎(新潮文庫nex)

クラスの女王に媚を売り、カースト底辺はイジり倒す。それが殺された人気教師の素顔だった。犯人候補は多数。警察が捜査を始めた矢先、保健室に謎の手紙が届きだす。明かされる上位メンバーの過去、裏切り、そしてイジられ役からの悪魔誕生。1年D組に復讐ゲームが広がる中、第二、第三の死者も発生し……。すべてを計画した“神”は誰だ? 衝撃的結末の学園バトルロワイヤル!

公開処刑人 森のくまさん ―お嬢さん、お逃げなさい―

2017年02月03日 | ★★★★☆☆(お勧め)
堀内公太郎(宝島社文庫)

ネットに実名が晒された犯罪者を殺していく殺人鬼“森くま”。結衣が転入した高校では、生徒が自殺した責任を問われて、教師の江沢がTVやネットで騒がれていた。結衣は江沢のために級友のつばきとある行動に出る──。いっぽう、恋人を何者かに強姦された高校教師の優平は、恋人の弟らと仇を討つべく動き出した──。ラストで新たな世界が現れる、二度読み必至のサイコパス・サスペンス。

ファイヤーボール

2017年02月01日 | ★★★★☆☆(お勧め)
原宏一(PHP文芸文庫)

家族も顧みずに一心に働いてきた咲元は、突然の社内抗争に巻き込まれ、窓際部署に追いやられる。家庭でも疎んじられ、妻から押し付けられて町内会の会合に出席することに。そこでつい発した一言が波紋を呼び、町に「今より十倍盛り上がる祭り」を生み出さなければならない羽目になってしまうのだが……。咲元は果たして祭りを実現できるのか。バラバラだった家族はどうなるのか。とびっきり熱い感動の長編小説。

ゲームウォーズ

2017年01月24日 | ★★★★☆☆(お勧め)
アーネスト・クライン/著 池田真紀子/訳(SB文庫)

(上)
西暦2041年。革新的なネットワーク〈オアシス〉が張りめぐらされた世界は、深刻なエネルギー危機に陥っていた。ある日、その〈オアシス〉の画面に、「ジェームズ・ハリデー死去」のニューステロップが流れる。ハリデーは、〈オアシス〉を開発し運営する、世界的億万長者で、ゲーム業界のカリスマ的存在だ。テロップに続いて、ハリデーの遺書ともいえるビデオメッセージが現れ、〈オアシス〉内に隠したイースターエッグを一番先に見つけたものに、遺産のすべてをゆずることが宣言された──! 全米ナンバーワン、SFアクションアドベンチャー!

(下)
その日から、老若男女問わず、世界中の〈オアシス〉ユーザーが、“エッグ・ハント”を開始した。勝者となるには、ゲームをはじめとするハリデーのあらゆる趣味嗜好に精通していなければならない。彼の残したヒントによると、〈オアシス〉のどこかに3つの鍵が隠されているという──。一方、めぐまれない環境で育ったウェイドは、現実世界では人と関わることが苦手な少年。学校の成績も容姿も並みで、コンプレックスの固まりのよう。その彼が莫大な遺産をめぐる争奪戦でトップに立ったことから、一躍、時の人となるのだが…。