先生と話している時は、笑いながらだったんだけど、少しづつ、悲しいような気分が湧いてきて、帰る頃には、不機嫌になっていた。
電車の中では、俯いたままで、涙が出そうになるのを堪えていた。
この気持は、何だろう?
先生は、あの娘とセックスしたわけではない。
でも、ナナさんや、私に対する裏切り行為のような感覚があった。
ナナさんにしても、もちろん私にしても、先生と恋愛関係にある訳ではない。
ただ、互いに信頼し合った間柄が、たまたま身体の繋がりも持ったということなのだろう。
だから、先生が他の人と何をしようと、とやかく言える義理ではないのだが..。
何故か、寂しかった。
自分のマンションに戻ってからも、ベッドに寝転んで、天井を見詰めてばかりいた。
先生に対して、怒っている訳ではない。
私なり..、もちろん、ナナさんなりに、頼ってもらえなかったことが、寂しかった。
でも、よくよく考えると、水くさいと思うけど、頼らないところが、先生の優しさなのかも知れない.。
そう思った時、帰り際の自分の態度を反省した。
スネて見せたつもりが、先生の心を傷付けてしまったかも…。
私は、この冬 何度目かの、鬱に落ち込んだ。