S2000奮闘記

スポーツカー偏愛録。
S2000のメンテナンスノート。

BMW Z4 =No.1=

2007年10月06日 | 雑記
BMW Z4 ~ 竜氏のZ4 ~

(No.1)
その報告は突然だった。
「Z4買ったよ。」
その言葉に一瞬、箸が止まった。
消え去ろうとしている春風と真新しい新緑の香りが交錯する4月の終わり、竜氏との食事中のことである。
あの夏、まだ藤沢市にあったASMを訪ねて1号車(当時は筑波スペシャル2004)との衝撃的な出会いをしてからというもの、事あるごとに「またS2000を購入したい。今度は白を!」と言っていた男が・・・
「BMW Z4」である。
一度は真紅のS2000に乗って、その「想い」を捨てきれないまま仕方なく手放した男が・・・
「BMW Z4」である。
竜氏のS2000への想いは人並外れたモノがある。
S2000発表前、ほんの少しの機密情報を関係筋から聞いただけでディーラーへ駆け込んで予約をねじ込むほどである。もしかしたら予約の順番は地元でもトップクラスであろう早さであった。
それまで乗ってきた車も全てホンダ車。そんなホンダ党の彼が・・・
「BMW Z4」である。
しかも、浮かない顔をしている。車を買ったというのに喜びが見えない。
どうやら話を聞くと会社からの希望(ほぼ命令)らしく、役職は一般社員のモチベーション向上のために外国車保持が社内希望(ほぼ社内命令)だそうで「買った」というより「買わされた」に近い。それなので外国車の中で最もS2000に近いであろうという理由だけでZ4を選んだとのこと。選んだ理由が彼らしくておかしかった。「腐っても鯛」ではないけど天下のBMWだ・・・そんな慰めじみた言葉をかけてみても馬耳東風であった。
仕方なくして買ってしまったZ4。本当に買いたい人からしてみれば羨ましいほどの話であるが・・・彼は憂鬱だった。

 そんな「BMW Z4」だが、ロングノーズ&ショートデッキのデザイン。クリス・バングル率いるデザインチームが「炎」をイメージしたというこの車は「止まっていても走っているように見える」との形容句があるほど独特で斬新なデザインである。しかし、この手の車のデザインは好き嫌いが色濃く出る。永きに渡り色褪せない先進的なデザインは、なかなか受け入れられにくい部分があるのは仕方が無いことだろう。でもボクはZ4の流麗なサイドフォルムは美しいと思っているし、幾何学的なボディラインは大好きである。
3000ccストレートシックスのエンジンに6 速のセミオートマ「SMG」。車重は1.4トン弱。ボディのシッカリ感は、高水準でその辺の屋根付きの国産セダンと比べてもそれ以上である。BMWのボディ剛性の素晴らしさが読み取れる。足回りも「すでに完成されている」と沢山の自動車評論家の方々からお墨付き。確かに高級セダンに乗っているかの如く、錯覚を起こしてしまう。
乗る者に対して、優しすぎるほどに優しい。
電動ソフトトップはボタン一つで幌の開閉が可能でロックを外す必要も無くおよそ 10 秒で開閉する。これだけでもS2000と比べると羨ましい限り。特に自動ロック機能はお手軽である。
しかしこれほどのZ4の魅力を持ったとしても、彼の中に存在するホンダ車への想いやS2000への憧れには到底及ばないらしい。いつしか上司に内緒で「Z4売却計画」まで持ち上がるようになっていた。

 どの車にもメリットとデメリットがあるように、それはZ4にも存在する。特に個性の強い車はどちらとも鮮明に浮き出てしまう。でも、そこが車好きを酔わせる美酒でもあり毒でもある。しかし当時の竜氏の中でZ4は、美酒よりも圧倒的に毒の方が勝っていたのだ。
「メリットがデメリットに負けてしまう車」
竜氏がZ4への第一印象であり、最も嫌う理由であった。

 まず純正マフラー。すでに竜氏はASMでS-Specialという名器に出会ってしまっていたので、純正マフラーでは満足できずにいた。あのサウンド、あの吹け上がり、そして車を走らせるという喜びを心から楽しませてくれる様な逸品のマフラーがZ4にも無いのかと口癖の様に呟きながら探し回っていた。
次にランフラットタイヤ。ランフラットは、冷えているときの乗り心地はかなりキツい。暖まってくると、今度はその重さがステアリングを握る手にまでまとわり付くような感じがして、走れば走るほど「楽しさ」は失われていく感じがする。
それと、親しみを込めて!? ‘弁当箱’と名づけた大きなホーンのステアリングと、まだまだ開発途上のシステムの電動パワステ。それらは見た目にもフィーリングにも違和感が伴う。
それに「完成された車」故にアフターパーツの少ないことは、「車と接する楽しみ」が少ないことを意味する。
「走る楽しさ」が失われていく感覚は、スポーツ車を愛する者にとって耐え難い苦痛である。失われていく「楽しさ」を取り戻すのが、竜氏のZ4のテーマの1つとなった。

No.2へ続く




竜氏のZ4①

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