仙太の「雑杷ひとからげ」

「工房仙太」の新作紹介及び日々の雑想を連ねています。(ショップ http://k-senta.com/)

ツイストペン

2020年04月19日 22時23分51秒 | 新作
ボールペンの新作ができました。ねじっているから「ツイストペン」。



桧の端材を利用しています。2cm角の材料を削って約1cm角のねじれたペン軸に仕上げます。もっと細い材料でもそれなりのものはできますが、90度以上のねじれを出そうとするとこれくらいの太さのものが必要になります。半分以上を削って捨ててしまうことになりますね。



ノミで荒削りをして…



反りカンナで形を整えます。



磨きはサンダー等を使いますが、最後は手磨き。



”ひねりを加えた”新作ができましたが、コロナ騒動で販売手段が絶たれています。なんとかしなくては…。

ミドルバックチェア

2020年03月20日 22時40分08秒 | 新作
新作の椅子がやっとできました。
 
いつもやっている桧のテーブルに合う椅子がなかったので何とかしなくては…と思いながらズルズルと来ていましたが、やっと提案できるものができました。



背もたれはちょっと低めの30cm。わかりにくいですがカーブもつけています。



これもわかりにくいですが、座面にはくぼみをつけています。

試作を4脚作ってここに辿り着きました。やってみて改めてわかったこと。「脚の下を細くするととたんに椅子らしくなる。」
スツールならずんどうでもいいのですが、背もたれのある椅子は下を細く削ると急にしゅっとします。

それにしても…

「新型コロナ」と聞いて、「トヨタの新しいクルマ?」などと言いながら笑っていた頃はまさかこれほどの事態になるとは思っていなかった。
下鴨神社の森の手づくり市も、ATCホールのアート&手づくりバザールも、ゼスト御池広場の京北さくらフェスタも、北野天満宮のものづくりTENMANGUも全部中止。
茨木マリアナカフェのライブも、神戸スターティングオーバーのライブも中止。
世界中のことだからしょうがないとはいうものの、世紀末はとっくに過ぎているというのにこの惨状は一体何事か。

SFの世界でしか目にしなかった「パンデミック」などという言葉がテレビのニュースで普通に流れている恐さ…。
願わくば「カタストロフ」などという言葉がテレビのニュースで流れませんように!

欅(ケヤキ)スティック・桜スティック

2019年11月28日 23時11分36秒 | 新作
スティックが意外に人気です。

自分でも「こんなもの誰が買うねん」と思いながら作ったものです。とはいうもののできたものを見るとなかなかいい。いやいや、なかなかいいのはわかるけど、どう考えても興味のある人は限られている。しかもその限られた人が興味を示してくれたとしても市販のスティックの倍以上の値段のものを一体誰が買うねん。



と思ったらこれがけっこういらっしゃることがわかりました。いやいや、「けっこういらっしゃる」というのは語弊がある。「思ったほど少なくない。」と言うほうが正しいです。
スティック自体よりも木の木目が引き付けるのかもしれない。特に欅(ケヤキ)の木目などは美しいものです。



市販のスティックはほぼ全て外材で、ヒッコリー(クルミの仲間)が最も一般的です。硬くて粘りがあって適度な重みがある。それに比べると日本の胡桃(クルミ)は少し軽いような気がします。桜、欅(ケヤキ)も硬さやねばりは文句なしですが、やはりヒッコリーに比べると少し軽い。適度な重みという点でいかにヒッコリーがスティックに適しているか、ということを国産材で作ってみて改めて実感しました。ちなみに重さをお求めの方には樫(カシ)がお薦めです。(1枚目の写真の右から2番目)

「自分で作ったスティックを自分で使うなんて素敵ですね!」と言ってくれる方がいますが、実は私は市販のヒッコリー製ばかり使っています。自分で作ったものはもったいなくて使えない…。

奥深い長靴形ペン立て

2019年09月24日 22時45分21秒 | 新作
以前からお取引させていただいている某協会様より「クリスマスモチーフのグッズを何か考えてもらえませんか?」と言われ、ひねり出したのがこれ。木彫りの長靴です。
形は実際に世に出回っているものとはちょっと違う、イソップやグリムの童話に出てくる小人が履いている長靴のようなイメージです。



木彫りといっても刃物は全く使っていません。外側はグラインダーで形を作ってランダムサンダーと手磨きで仕上げています。杉なので削りやすい。
穴は直径5cm、深さ10cm。普通のドリルでこんな太いものは無いし、あったとしてもそんなものをギリギリねじ込んだらおそらく木が割れてしまうでしょう。なのでこれ用にボアビットという専用のドリルビットを買いました。それでもこれだけ奥の深い穴をあけるのはけっこう大変。



ところで、奥深いといえば、最近テレビなどのアナウンサーがこの言葉を「おくぶかい」と発音するのが以前から気になっていました。私は生まれてこの方ずっと「おくふかい」と言ってきたので。
そこでこのたび調べてみました。

それによると、従来からどちらの読みも使われてきているとのことでどちらも間違いではないのだそう。年代別にどちらの読み方をする人が多いか調べたデータもあり、なんと「おくふかい」と読む人は60代以上に最も多かったらしい。なるほど、そーゆーことだったのか…。不本意ながら妙に納得。

また、「奥深い」という言葉はたとえば洞窟などの「奥が深い」という場合と、物語などの意味が「深遠である」という場合の2通りの使い方があるが、どちらかといえば「奥が深い」ときは「おくふかい」、「深遠である」ときは「おくぶかい」と表現することが多いのではないか、とのことでした。
勉強になりました。

スティックオーナメント

2019年04月02日 22時38分37秒 | 新作
ドラムをやっている知り合いから「杉でスティック作ってくださいよ~。」と頼まれていました。ただの話のタネだと思って、「あ~、それもええね~。」と適当な返事をしていたのですが、次に会ったときにまた頼まれたので「あ、本気やったんや!」



冗談だと思い込んでいたのにはちゃんと理由があって、杉の木は柔らかいので細くして強い衝撃を与えると折れやすいのです。つまりドラムスティックには最も向いていない木だと言えます。なんでもその方は杉のファンで、部屋の飾りにするという。そういうことなら喜んで!と作ることにしました。



(桜)

木工旋盤は持っていますが、こんなに細いものは機械に取り付けることができない。なのでカンナで削りました15mm角に挽いた材をひたすらガシガシと。でも、やってみるとこれがなかなか楽しい。概ね丸くなったものをベルトサンダーで削って、最後は手磨きで仕上げます。先のチップを作るのがちょっと手間かかりますが、慣れればベルトサンダーを駆使して案外うまくいきます。丸型とティアドロップ型の2種類。私は丸型が好きですが、ティアドロップ型の方がスティックらしく見えますね。



(栃)

塗装はウレタンです。家具などはオイル塗装をすることが多いですが、スティックはウレタンでてかてかにしておかないと滑って使いにくいので。
油性のウレタンは艶出しにはピカイチですが、乾きが遅い。下手すると1週間くらいべたつきが残ります。その点水性ニスは乾きが早いのはいいのですが、木に「濡れ色」がつかないのが難点です。そこで一計を案じました。まず油性ウレタンを塗って1日置く。そして水性ニスで上塗りする。こうすれば1~2時間でサラサラになります。



(欅)

実は先日、実際に使ってみました。いざ作ってみたらどうしても使ってみたくなって京北のバンド「Squonk」の練習で欅を試してみました。結果は…。折れることはなかったですがちょっと軽い。
杉・桧は強度の関係で実用には向きません。広葉樹ならその点は大丈夫ですが、栃(トチ)、欅(ケヤキ)は軽すぎて、バカスカ叩くタイプの私には使いにくいです。メープルのスティックを使うジャズドラマーの方ならいけるかもしれない。

とにかくなかなかいいです。仙太の新作にします!
K様、ありがとうございました!





杉小皿 -拭き漆仕上げー

2017年10月21日 22時17分42秒 | 新作
 明日の福知山ワンダーマーケットは台風接近のため中止になりました。残念ですがやむをえないですね。主催者の方、お疲れ様です。
 
 このイベントは出店料は当日徴収だから我々としてはいいけど、事前に振り込ませるイベントの場合はちょっと事情が違います。「荒天によるイベント中止の場合でも出店料は返金しません。」と最初から謳ってるところが多いので、その場合は出展者が丸損になってしまう。お天道様とは議論はできません。

 そんなわけでこの新作の杉小皿のお披露目は来週のきこり技能大会に持ち越しになります。いや、実は先日の京北クラフトにも出していたのですが、それはもう研磨も足りないし塗りも甘い代物だったので今度こそ本当のお披露目ということで。

 左が約20cm、右が約16cmです。円形の器は旋盤を使う人に敵わないので楕円でいこうと。杉の、しかも節もお構いなしに使った器は珍しいのではなかろうか。

 やはり漆はすごい。杉でも塗れば塗るほど深い艶が出ます。これで4回塗り。根気が続けばこの次は10回くらい塗ってみようと思います。
 
 

レフティーピアノ

2016年12月13日 22時58分02秒 | 新作
 楽器シリーズのピアノの在庫が少なくなったので追加したのですが、その際今まであまり気にしなかった疑問がふと頭をよぎりました。「これって、左右どっちやったっけ…?」

 
 ピアノは弦をハンマーで叩いて音を出します。なのでグランドピアノは低音側が長くなっているはずですが、さて、その低音側がどっちやったっけ?

 実はうちの嫁さんはピアノ教師であり、家にもグランドピアノがあります。こんなことがわからなくなったなどということは嫁さんには口が裂けても言えないことです。なのでそーっとグー○ルで調べてみたらわかりました。写真左側のが正解です。ということは右側のは偽物…。困ったことです。これは前回4~5個作ったもののひとつ。在庫はこれを含めて2個だから少なくとも2~3個は売ってしまったことになる。いや、それまでのが必ずしも正しかったとは限らないので、もしかしたらそれ以上の数の偽物を世に出してしまっているかもしれない。

 お客さんも納得して買ってくれたわけだし、もうしょうがないといえばしょうがない。「これ、逆さまやん!」と言われたらすみませんというしかないです。

 そういえばエレキギターには左利き用というのがあって、本来のボディーを裏返しにした特別仕様の形になっています。「実はこれ、左利き用のピアノなんです!」と主張したら…「あほか!?」と言われるでしょうねー。いや、変に主張するから叱られるんであって、軽く「レフティー用のピアノで~す。」と言ってしまえばこ洒落た冗談として受けるかもしれない。それでいきます!

 というわけで今回のカテゴリーは「新作」。
 

そら豆スツール

2016年10月31日 21時50分38秒 | 新作
 出ました新作!名前の由来は座面の形です。



 杉をどんどん使いたい。
 材が柔らかいのですぐに傷がついたりへこんだりして、家具には向かない木ですが、柔らかいということは人に対する当たりも柔らかいし、何といってもその軽さは大きなアピールポイントです。
  
 この良さを少しでも広めたい。ファンを増やしたい。という想いから今、力を入れています。



 並べて輪にする意味があるのか?と聞かれれば、それはもう「ありません」と答えるしかないのですが、少なくともクスッと笑える光景ではあるのではないかと。

 開催中のロハスフェスタ1日目に早速1脚お買い上げいただきました!ありがとうございます!

 3日からもよろしくお願い致します!

斧キーホルダー3種

2016年09月04日 22時32分32秒 | 新作
 この秋京都で開催される林業関係の一大イベントに出店させていただけることになりました!

 「つきましては、何か山関係のグッズ的なものがあれば…。」というお言葉だったので斧(オノ)3種を復活させました。上記カテゴリーは「新作」となっていますが、嘘です。ケヤキの楽器シリーズの延長で何年も前に作ってしばらく店に並べたことがあるのですが、全く売れなかったのでお蔵入りしていました。
 
 ある意味「ここしかない!」というタイミングです。これでダメなら本当に見込み無しです。そこそこまとまった数ないと格好つかないので15個ずつ計45個作りました。

 
 十把ひとからげで「斧(オノ)」と言ってしまっていますが、実は我々山関係者の間ではあまり「オノ」という言葉は使いません。同じ字を書きますが、「斧(ヨキ)」というのが一般的です。写真の真ん中のものは薪割り用の「オノ」と言えるかもしれませんが、左のものは完全に「ヨキ」です。全長約50cmで、腰のベルトの背中側に差して持ち歩いたりします。そして右側のものは全長約30cmで、枝打ち用の「鉈(ナタ)」。腰にぶら下げた鞘(サヤ)に入れて携帯します。
 どれもこれも山仕事にはなくてはならないものですが、四条河原町あたりでぶらぶら持って歩いたら間違いなく銃刀法違反でしょう。

 日の目をみるといいなー。

キャップ付きボールペン

2016年06月16日 21時04分20秒 | 新作
 以前から、「ボールペンのキャップはできませんか?」というお声は時々ありました。そのたびに「そーですねー…。1本1本あつらえになりますからねー…。」という答えで逃げていたのですが、ここへ来てそのお声を聞いて同じ答えをする頻度がどんどん多くなり、先日の木の家具40人展ではなんと3日間で3回も同じやりとりをするに到り、とうとう重い腰を上げました。



 と言いつつ、実は過去に一度古木ボールペンのキャップ付きをオーダーでさせていただいたことはあります。同じ材料で、ペン軸の太さに合う穴をあけてさらにそれを微調整し…。と、けっこう手間をかけてやった覚えがあります。それがこの度、発想を逆転させることに成功しました!つまり、ペン軸に合わせてキャップを作るのではなく、キャップに合わせてペン軸を削ればいいのだ、ということです!

 …これを読んでいただいている方の冷笑が聞こえてきそうです。「そんなん当たり前やん。」と。これに気付くのに数年かかった自分が情けないです。

 というわけで、3種類くらいの大きさのキャップを作って、そのどれかに合うようにペン軸を調整することにしました。今週末の「ものづくりガーデン」(at京都府立植物園)でデビューです。

 よろしくお願いします!