来年度から新学習指導要領に基づく新教科書が使用される中学校の社会科公民的分野と技術・家庭科家庭分野の各社の教科書の「契約」に関する記述がどうなったのか。昨日の技術・家庭科家庭分野の続きで、社会科公民的分野の教科書を読んでの雑感です。雑感だというのは・・・読んだといっても、家庭科と違って会社数が多く、本来なら全体をきちんと読んだうえでどうなのかという分析が必要なのですが、残念ながらそれだけの時間がなく、「契約」がどこでどのように取り上げられているのかという部分のみ閲覧してきたからです。
下記の5社のものだけ、とりあえず閲覧しました。
東京書籍
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu24/subject/komin.htm
日本文教出版
http://www.nichibun-g.co.jp/c-shakai/kou/index.html
帝国書院
http://www.teikokushoin.co.jp/textbook/junior/index09.html
清水書院
http://www.shimizushoin.co.jp/kanri/files/toppdf/pdf/toppdf/1.pdf
教育出版
http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/view.rbz?cd=2080
新学習指導要領では、(1)大単元「私たちと現代社会」中単元「現代社会をとらえる見方や考え方」の中で、対立と合意、効率と公正、きまりの意義などについて学習することになっているのですが、その際に、個人の尊厳と両性の本質的平等とともに、「契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任などに気付かせる」という部分、(2)大単元「私たちと経済」中単元「市場の働きと経済」の中で「身近な消費生活」を学習する部分が、「契約」に関する学習にあたります。
ところが、実際の教科書では、上記(1)(2)の一方、または双方に「契約」という言葉が出てきていますが、どちらに重点を置いているのか、どのように扱うのかという方針が各社バラバラで、かつ、どれも「契約」の意義や原則、考え方を理解させるような詳しい記述がなく、単なる用語としてしか取り上げられていないのではないか(そういう意図ではなくても、生徒にはそう見えるのではないか)というように感じました。
例えば、【1】「きまりをつくる目的と方法」の説明の中に、「約束、規則、ルール、契約、法律、条約」と並列的な記述はあるものの、「契約」の説明が不十分で他の「きまり」との区別も不十分と思われるもの、【2】「消費者契約法では、契約という言葉を重視しています」という記述しかないもの、【3】「契約は、対等な個人間での自由な意思にもとづいて行われるもの」という記述があり、でも契約をした「責任はすべて消費者にあるのか」という問題提起をして考えさせる工夫をしているものの、契約そのものの説明がないもの、【4】こんなときに勝手に契約が解除できるのかという事例を、お客さん、お店双方の立場にたって考えさせるなどの工夫をしているものの、契約そのものの説明が不十分と思われるもの、などがありました。
これらの教科書で「法教育としての消費者教育」をという立場にたって授業をすすめるには、よほど工夫をした指導書ないし解説書がなければ、教える側の教師のみなさんにとっても、指導は難しいのではないかと思いました。
そんな中、日本文教出版のものは、上記(1)の中単元中で「契約の意義と個人の責任」という独立した単元(2頁)をつくり、契約の意義と責任について詳しく記述があり、無効な契約にも言及しています。また、日本国憲法の自由権(経済的自由)の記述の中で、契約自由の原則の修正についての言及があったり、上記(2)の消費生活のところでも、悪質商法、消費者契約法に触れるなど、3か所で「契約」についての記述があり、かつ、「私たちに身近な司法」のところでは、法テラスの設置も含めた司法制度改革に関する簡単な記述があり、面白い構成ではないかなと思いました。しかし、これも実務家から見て面白くても、やはり、何が論点か、どう関連させて指導するか、という部分のモデルがなければ、指導はやはり難しいのではないかとも思いました。
以上、「契約」に関する部分だけのざっと読みの感想ですが、家庭科では、契約(特に売買契約)そのものについて詳しく学び、考え、実際に行動する練習をすることを、社会科では、なぜ契約が重要で守らなければいけないのか、原則を修正する必要はどうしてでてくるのか、その際、どのようにより良い法律をつくっていくのか、といったことを、それぞれ学習するのが教科間の役割分担かな?と感じましたが、特に家庭科と比べて体系化されているようには思えない社会科の方で、家庭科での学習との関連性を生徒に意識させるようにしなければ、とても理解しづらいのではないかな、というようなことを感じました。
なお、初めにもお断りしたとおり、公民的分野の教科書は「契約」に関する部分だけを読んでの意見ですので、全体の流れを詳しく読んだうえで「契約」という私法の部分の法教育がどう扱われているのかを検討する必要がありますし、歴史的分野の教科書の記述(自由権、平等権、社会権の登場のあたり)ともつきあわせて検討することも必要かもしれませんので、とりあえずの感想です。
今回の教科書比較はここまでですが、また後日時間がつくれたら、第二弾のご報告をしてみたいと思います。
下記の5社のものだけ、とりあえず閲覧しました。
東京書籍
http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu24/subject/komin.htm
日本文教出版
http://www.nichibun-g.co.jp/c-shakai/kou/index.html
帝国書院
http://www.teikokushoin.co.jp/textbook/junior/index09.html
清水書院
http://www.shimizushoin.co.jp/kanri/files/toppdf/pdf/toppdf/1.pdf
教育出版
http://www.kyoiku-shuppan.co.jp/view.rbz?cd=2080
新学習指導要領では、(1)大単元「私たちと現代社会」中単元「現代社会をとらえる見方や考え方」の中で、対立と合意、効率と公正、きまりの意義などについて学習することになっているのですが、その際に、個人の尊厳と両性の本質的平等とともに、「契約の重要性やそれを守ることの意義及び個人の責任などに気付かせる」という部分、(2)大単元「私たちと経済」中単元「市場の働きと経済」の中で「身近な消費生活」を学習する部分が、「契約」に関する学習にあたります。
ところが、実際の教科書では、上記(1)(2)の一方、または双方に「契約」という言葉が出てきていますが、どちらに重点を置いているのか、どのように扱うのかという方針が各社バラバラで、かつ、どれも「契約」の意義や原則、考え方を理解させるような詳しい記述がなく、単なる用語としてしか取り上げられていないのではないか(そういう意図ではなくても、生徒にはそう見えるのではないか)というように感じました。
例えば、【1】「きまりをつくる目的と方法」の説明の中に、「約束、規則、ルール、契約、法律、条約」と並列的な記述はあるものの、「契約」の説明が不十分で他の「きまり」との区別も不十分と思われるもの、【2】「消費者契約法では、契約という言葉を重視しています」という記述しかないもの、【3】「契約は、対等な個人間での自由な意思にもとづいて行われるもの」という記述があり、でも契約をした「責任はすべて消費者にあるのか」という問題提起をして考えさせる工夫をしているものの、契約そのものの説明がないもの、【4】こんなときに勝手に契約が解除できるのかという事例を、お客さん、お店双方の立場にたって考えさせるなどの工夫をしているものの、契約そのものの説明が不十分と思われるもの、などがありました。
これらの教科書で「法教育としての消費者教育」をという立場にたって授業をすすめるには、よほど工夫をした指導書ないし解説書がなければ、教える側の教師のみなさんにとっても、指導は難しいのではないかと思いました。
そんな中、日本文教出版のものは、上記(1)の中単元中で「契約の意義と個人の責任」という独立した単元(2頁)をつくり、契約の意義と責任について詳しく記述があり、無効な契約にも言及しています。また、日本国憲法の自由権(経済的自由)の記述の中で、契約自由の原則の修正についての言及があったり、上記(2)の消費生活のところでも、悪質商法、消費者契約法に触れるなど、3か所で「契約」についての記述があり、かつ、「私たちに身近な司法」のところでは、法テラスの設置も含めた司法制度改革に関する簡単な記述があり、面白い構成ではないかなと思いました。しかし、これも実務家から見て面白くても、やはり、何が論点か、どう関連させて指導するか、という部分のモデルがなければ、指導はやはり難しいのではないかとも思いました。
以上、「契約」に関する部分だけのざっと読みの感想ですが、家庭科では、契約(特に売買契約)そのものについて詳しく学び、考え、実際に行動する練習をすることを、社会科では、なぜ契約が重要で守らなければいけないのか、原則を修正する必要はどうしてでてくるのか、その際、どのようにより良い法律をつくっていくのか、といったことを、それぞれ学習するのが教科間の役割分担かな?と感じましたが、特に家庭科と比べて体系化されているようには思えない社会科の方で、家庭科での学習との関連性を生徒に意識させるようにしなければ、とても理解しづらいのではないかな、というようなことを感じました。
なお、初めにもお断りしたとおり、公民的分野の教科書は「契約」に関する部分だけを読んでの意見ですので、全体の流れを詳しく読んだうえで「契約」という私法の部分の法教育がどう扱われているのかを検討する必要がありますし、歴史的分野の教科書の記述(自由権、平等権、社会権の登場のあたり)ともつきあわせて検討することも必要かもしれませんので、とりあえずの感想です。
今回の教科書比較はここまでですが、また後日時間がつくれたら、第二弾のご報告をしてみたいと思います。











