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スポーツ・マスコミあれこれ(24)

◎ロボットが記事を書く?
 未来を占う記事が、ときどき新聞の紙面を飾ります。10年か20年先には、ロボットの発達によって、人のやる仕事(職業)の数がかなり減るようです。
 例えばタクシーの運転手。自動車が自動化されて、なくなるかもしれないとか。介護の仕事も自動化されて、介護士などが不必要になるそうです。私が驚いたのは、そのような無くなる職業のなかに「スポーツライター」があげられていたことです。
 ロボットがスポーツの記事を書く。とても信じられません。だが、あり得ることらしいのです。
 「何分にXX選手がゴールを決めた」というような試合経過や「平板なインタビューや人物評」だけなら、ロボットがやってくれるかもしれません。
 だが、スポーツ界の現況分析、論評や未来の予測などは、ライターの主観や培ってきた物の見方などが必要です。ここらあたり政治や経済のライターとなんら変わらないはずです。
 考えてみれば、世の中の人々は「スポーツライター」とは、所詮その程度の簡単な仕事と思っているのかもしれません。スポーツもライターも随分なめられた話。まさに一大事です。

◎平板な記事に不満
 では、現状はどうか。私は現在の(テレビを含めた)スポーツメディアが本来の役割を果たしているか、と問われれば「不満足」と答えざるを得ません。
 新聞は紙面数が増えましたが、現状追認で平板な紙芝居のような記事が、とくに人物論に多すぎます。深みのない通りいっぺんのレポートも目立ちます。
 私が古い記者かもしれませんが、いまのスポーツ界はなんだか変な方向に向かいつつあります。
 テレビを見ていると、強化費をたっぷりもらった有名選手が、大衆にコビを売っています。まるで人気とりの芸能人なみのハシャギようです。露出することによって普及に役立つとでも思っているのかもしれませんが、むしろ逆効果でしょう。
 テレビのアナウンサーは無批判に「世界中を驚かせた」とか「日本中を感動させた」などとがなり立てています。
 昔、スポーツはやる人個々にとって生きる楽しみでした。いまは有名になるための手段になりました。親の方が熱心で子供を駆り立て国際大会に同行し、また高校や大学は優先入学が当たり前となりました。
 奇妙にもてはやされることが多くなったスポーツ界、そして選手たち。そういう傾向が、時代の大きな流れのように様変わりしています。

◎まともな評論を待つ
 このような傾向は、政府ぐるみの「メダルとれ、とれ」といった浅薄なナショナリズムに彩られ、4年後の東京オリンピックに向けてもう後戻りができないくらい、ものすごいいきおいで突き進むことでしょう。興行化も進んでいます。
 メダルを獲ることは、ほんとうにスポーツ振興なのでしょうか。一億総活躍的ななだれ現象は、もうこわいくらいです。
 こんな傾向に誰が歯止めをかけるか。それはメディアであり、心あるスポーツ・ジャーナリストでしかありません。
 2020年オリンピックが終わった後、日本スポーツ界はどうなっているでしょうか。私はもう生きていませんが、気になって仕方ありません。
(以下次号)

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