本日(2017年6月28日)の朝日新聞朝刊を見てびっくり!
オスロのムンク美術館が所蔵するムンク《叫び》が2018年10月に東京都美術館にやってくる!
ムンクの「叫び」来秋日本へ
ノルウェーを代表する画家エドワルド・ムンク(1863~1944)の代表作「叫び」などを紹介する回顧展が来年秋、東京・上野の東京都美術館で開かれることが27日決まった。ノルウェーにあるムンク美術館のスタイン・ヘンリクセン館長と、主催する朝日新聞社の渡辺雅隆社長が合意書に調印した。
「叫び」は、神経症や女性関係などに悩んだムンクが、それらで経験した感情を表現したもので、同名で似た構図の絵画やリトグラフが複数枚あり、同国のオスロ国立美術館が所蔵する作品が最も知られている。
来年秋に展示される「叫び」は今回が初来日。油彩・テンペラ画で、1910年に描かれたという説がある。このほか、同館が所蔵するムンクの油彩画や版画、素描など計約100点が出品される。会期は2018年10月27日~19年1月20日の予定。
初来日らしい。
ムンク《叫び》は、いくつかのバージョンが存在する。
まず、オスロ国立美術館所蔵の1893年制作の《叫び》油彩画バージョン。1993年10月5日〜11月7日に東京の出光美術館で、11月15日〜12月12日に大阪の出光美術館で開催された「ムンク展」にて来日している。
同作品は、日本からノルウェーへ帰国後、リレハンメルオリンピック開会式当日の1994年2月14日に、オスロ国立美術館から盗まれる。同年5月、犯人逮捕時に発見。
個人的には、観たばかりの憧れの作品の盗難事件であり、かつ、我が家に貼っていたムンク展の《叫び》ポスターを他のポスターに貼り替えた数日後に起きた事件であったので、印象に強く残っている。ムンク展のポスターに貼り戻したことは言うまでもない。
今回、初来日する1910年制作のテンペラ画バージョンは、オスロ市立ムンク美術館所蔵のバージョンとなる。
本作品も、なんと2004年8月にムンク美術館から盗み出される。2年後の2006年8月にオスロ市内で発見され、2008年5月からムンク美術館で展示が再開されたが、盗難時に液体による損傷を受けていて、完全な修復は不可能だったらしい。
もう一点、1895年のパステル画バージョン。ノルウェー人実業家のペッター・オルセンが所蔵していたが、2012年にニューヨークでサザビーズの競売にかけられ、当時の史上最高額である1億1990万ドル(約96億円)で落札されたことがニュースになった。
上記以外にも、オスロ国立美術館が所蔵する1893年のパステル画バージョンがあり、また、リトグラフもある。
私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。
そう、この絵に描かれた人物が叫んでいるのではない。叫んでいるのは周囲の環境。人物は、周囲の環境が発する叫びに耳を塞いでいるのである。
1883年のインドネシアの火山島クラカタウの大噴火。その成層圏まで達したという凄まじい噴煙の影響で、北半球全体の平均気温が0.5℃から0.8℃も降下したという。また、その後数年にわたって異様な色の夕焼けが各地で観測されたらしい。ムンクの《叫び》も、この噴火による夕焼けが関係しているとの説がある。
ムンクは好みの画家。《叫び》は勿論のこと、どんな作品が出品されるのか、非常に楽しみである。