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経済成長という病

2009-06-08 16:33:49 | 書評
経済成長という病 (講談社現代新書)
平川 克美
講談社

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うちのブログは団塊世代は見てないだろうからはっきり書かせてもらうが
(いたら読み飛ばして欲しい)、僕は正直言って団塊世代が好きではない。
某公共放送局の団塊テーマの討論番組にキャスティングされたものの、危険視されて
外されるくらい好きではない(代わりに谷村新司が出ていた)。
嫌いな理由はいろいろあるが、その嫌な部分を煮詰めたような本がこれである。

もう帯からして泣ける。
「いま、本当に考えなければならないこと-崩れゆく時代の必読書」
なんだこの、当事者性のカケラも感じさせない説教臭いフレーズは。

昨年あたりから、保守層の一部に「そろそろ成長を諦めよう」的な意見が台頭しつつ
ある。60前後の論者が中心で、論壇でも
『もはや成長という幻想を捨てよう』(佐伯啓思:中央公論12月号)などがぼちぼち
顔を出す。

要するに、自分たちはこれまで高度成長だナンだと競争に突き動かされ、大事なもの
をいろいろ見失ってきた、だから今後は経済成長にこだわらず絆を大切にしましょうね、
という思いやり深い人間宣言である。

正気だろうか。ゼロ成長を続けるということがどういうことか、想像したことがあるのか。
個人の生活で言えば、給料が上がらない、出世も出来ない、ローンも組めないということだ。
たとえゼロ成長下でも原資全体の再分配を行なうなら、優秀者に限っては勝ちあがれる。
だが現状、職能給というわけのわからないガラクタのせいで既得権を含めた再分配は
認められていないので、若年層にはなんとも希望の無い社会となる。
給料が上がらないと嘆く30代も、正社員の椅子が空かないとこぼす派遣社員にも、
この手の自由競争否定論者は、いかなる答えも提示しようとはしないのだ。

あくまで国の成長自体を追及するか、それとも現状維持で
我慢するか。どちらにせよ、それは血まみれの大改革を
推進することで可能なのであり、痛みの伴う改革はすべて
イヤですというのは、国家規模の自殺行為でしかない。


そもそも、赤字国債というのはローンみたいなもので、今より将来は賃金が上がる
だろうが今はまだ買えない、でも今買っておくと後々まで有用だというモノに対して
使うべきものだ。
つまり、ゼロ成長なら、PB黒字化は最低条件であり、平成20年度でいえばあと
最低5兆円は歳出をカットしなければならなくなる。
さらにいえば、毎年の利払い分約9兆円も現役~将来世代が負担し続けるのは理不尽だから、
使い込んだ世代にきっちりツケを払っていただかないといけない。
(今の30歳以上が年齢に応じて負担するべきだろう)
現在の債務残高1200兆として、先進国最低水準の英国並のGDP比50%まで債務残高を減らすために1000兆円程度は必要になる。
とりあえず団塊世代には、総額80兆以上とも言われる退職金と年金全額返上くらいは
して誠意を見せていただかないと。

だが、“懺悔する団塊たち”は、そんなしおらしさはけして見せない。
ただひたすら、「もう無益な争いはやめよう」というのだ。

要するに、さんざん食い散らかした後で、遅れてきたヤツもこれから参加予定のヤツも
含めて「みんなで仲良く割り勘にしよう!人類みな兄弟!」って言ってるような
もんだろう。バブルからゆとり世代までひっくるめても、今の日本にこれほど
厚顔無恥な主張があるだろうか。

驚くのは、著者がまがりなりにも経営者としてビジネスの現場に携わってきた人間
だという現実だ。学生時代は学生運動、社会に出てからは中産階級として昭和的価値観
を担い、リタイヤと共にマルクスだの日本的美徳だのスローライフだの掲げてその実、
既得権に全力でしがみつく。この世代の節操の無さ、理念の低さは目に余る。

退化に生きたきゃ、どこか山の中にでも篭って勝手に暮らすといい。
もちろん、年金も医療も辞退した上で。


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34 コメント

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Unknown (pick)
2009-06-08 18:39:28
そこまで言って委員会に出ておられたときが顕著だったと思います。
基本的にあの番組は好きなのですが、テーマによっては非常に残念なときがありまして、
ある年代以上のうるさい黙って働けと言う主張には、ほんとに落ち込みます。数も多いし、力ももってますし。
Unknown (あ)
2009-06-08 19:15:33
非正規雇用も就職氷河期も、
極端な話団塊世代の賃金を半額にしてしまえば起きなかったのに結局席を譲らなかったし、
それでいて今更「成長は諦めよう」とか
「昔はよかった」などの懐古主義に浸って現実から目を逸らしているのには募り感じます。

彼らが社会保障に回るころに地獄絵図にならない事だけを願います。
Unknown (999)
2009-06-08 19:22:11
この本は読んでないので、この著者に限っては、見当ちがいかもしれませんが、こういう本を書く人や文中の保守論者みたいな人に限って高度成長がなければ維持できないような「日本的経営」、「日本的雇用」なるものを賞賛しますよね(苦笑)
同感 (kenji)
2009-06-08 19:22:17
人口構成を考えれば、若い人を助ける(?)事以外に、道がない。それは馬鹿でも分かる。また年金の仕組みを考えれば、現在の受給金額を、対数方式で30パーセント削減して、その分若い人々の負担を引き下げるのが、身のまわりの受給額から考えると山勘で正しいと私はおもっている。
 本当に身勝手な世代である。ホント全体が見えない奴の集まりで、妙に群れる。
 元々全共闘運動など自身、中身がないことに耐えられず、それを見つめる事をせず、暴れたに過ぎない。
 女を抱きに言った事と同じである。
西洋的な年金など止めて、俺達の伝統である姥捨てでやろうではないか。開闢以来昭和40年代までしてきたから、元に戻す事は難しきくない。
 どうせ、うやむやにしか解決方法はない。一種の契約解除で財産権をクリアして、保険の破産と同じ方式を取れないか。契約ならそれができるはずだと思うが。空想か。
Unknown (Unknown)
2009-06-08 20:44:19
団塊をあんな風に団塊たらしめたものは何なのか、いつも不思議に思われます。
単に数が多かったために場が狭く群れひしゃげ、人格的にあんな風(田母神!)になってしまっただけなのか、それとも60年周期で人類はそんな風になるように設定されているのか・・・。
アメリカでもおそらく諸先進国どこでも同様なのでしょうが、団塊・ベビーブーマーの老後に向けてとりあえず経済危機、そしてその後どうなってしまうのでしょう?
ところで城さんの親は団塊ですか?興味深いです。
記事の紹介です。 (KKMM)
2009-06-08 20:47:31
「このままじっと我慢してれば、そのうち良くなる」。そんな神話を信じる老害社員はなぜ増えたのか? - カレーなる辛口Javaな転職日記
http://d.hatena.ne.jp/JavaBlack/20090607/p1

圏外からのひとこと(2005-09-15)
http://amrita.s14.xrea.com/d/?date=20050915

若い時に高度成長期を経験し、その体験から抜け出せないのが団塊世代の勘違いの原因のようです。

「上の世代から見ると、労働市場はみんなを食わしてくれるはずのものなので・・・・・・」
この言葉が、すべてを物語っていると思います。

団塊世代にとっては、安定が当たり前で、不安定とか停滞とか衰退なんてものはあってはならないものなのでしょう。
同意見です (maru)
2009-06-08 21:30:55
いつも拝読させていただいています。
ありがとうございます。

1970年代中盤生まれの者です。

その本は読んでいませんが、基本的に同意見です。

この国の歪んだ意思決定構造を是正するために、例えば、思い切って、選挙権は、成人1人1票ではなく、細かくちぎった上で、年齢と反比例して分配し、未成年の分はその両親に分配して欲しいと思っています。そうすると、将来の世代にツケを回すような政策は多少是正されるんじゃないでしょうか。リタイアした世代より、少子化対策、子育て支援にお金が回るようになるかもしれないですね。

でも、多分憲法上許容されないので、せめて、年代別に国会議員その他代議員を選べるようななればと思います。
どうも思いつきません (JFK)
2009-06-08 22:04:26
ただですね、もし今から「年功序列は廃止!」「職能給から職務給へ変更!」ってことは、それこそ士農工商をぶっつぶした明治維新並みのドラスティックな改革な訳でして。。。
その明治維新の時も、「抵抗勢力」の反撃は結構あり、最後は西南戦争にまで至ることになり。。。
今までの歴史において、大改革は原則外圧が必要であった(と思っっております)わが国で、そんな夢や希望が持てるのかと言えば。。。
どんなハッピーエンドのシナリオが存在するのでしょうか?
Unknown (野田一丁目。)
2009-06-08 22:25:06
>これから参加予定のヤツ

さっきまで風呂で長男(小学6年生)に年金の仕組みを教えてました。「貰う前に死んだらメチャクチャ損じゃん!」と長男。まあ、その通りなんだけど。(苦笑)

〝これから参加予定のヤツ〟には、何を教育したら良いですかね?(笑)日本国のカラクリを教えれば教えるほど絶望するだろうし、勉強しても報われないこと教えると勉強しなくなるだろうし。難しい課題ですね。
いろいろ (城)
2009-06-09 07:09:59
>極端な話団塊世代の賃金を半額にしてしまえば起きなかったのに

左派でも斉藤貴男などはこの点で団塊を非難している(中公06.12)。やはり90年代、彼らの保守化は痛かった。

>アメリカでもおそらく諸先進国どこでも同様なのでしょうが

実はアメリカの年金危機は日本以上かもしれない。GM破綻の主因もシュワちゃんが苦しんでるのもそれ。
もっとも、企業単位なので破綻させても大勢に影響は無いし、実際破綻しまくっています。

>年代別に国会議員その他代議員を選べるようななれば

ヨーロッパの一部にある考えですね。僕の周囲にも同じ意見の人は何人かいる。年齢層の歪みは先進国共通なので、同じ問題意識があるのでしょう。

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