醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

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醸楽庵だより  336号  白井一道

2017-03-08 11:10:25 | 随筆・小説

 ぼくは、主権者

P 君たちは一番偉いんだと、先生は言っていたけども、僕たちはちっとも偉い人のように扱ってもらっていませんよ。
T そりゃそうでしょ。私は先生だよ。君たちは生徒だからね。
P 先生、言っていることがおかしいよ。確かにイギリス絶対王政についての授業の時に生徒といえども現代日本にあっては君たちは主権者だから一番偉い人なんだと、言っていました。その言葉と矛盾しませんか。
T なるほどね。さすが君は鋭いね。君の質問を現在の日本の指導者たちと国民との関係に置き換えても考えることができるね。
P 先生が何を言っているのか。全然わかりませんよ。僕の質問にちっとも答えていないじゃないですか。
T 教師は君たちの指導者だからね。指導者である教師は生徒を敬わねばならないとは思うが個々の生徒を敬うということとは違うだろう。
P 先生は今、目の前にいる僕を敬うことはない。そう言っているですか。
T うん、そういうことになるかな。だって君は授業中よく内職なんかしているでしよう。
P この間、一回しただけでしょ。やむを得なかったんです。次の時間、数学だったでしょ。僕、当っていたんですよ。先生の授業時間が悪かったんですよ。数学の前だったから。
T 私は内職したり、掃除をサボったり、授業中おしゃべりしたりする生徒たちであっても敬っているよ。だって君たちは主権者だからね。
P 先生は僕たちの何を敬っているんですか。
T だからね。生徒会が決定したことは尊重するとか。クラスで決まったことは守るとかと、いうことだよ。
P ああ、そういうことですか。
T そうだよ。
P 一人一人の生徒の気持ちとか、要望とかを大事にしてくれるということじゃないんですか。
T そういうことも勿論大事にするよ。それはわがままを認めることにもつながるから何でも全部ということにはならないけどね。
P 当たり前のことじゃないですか。それはちっとも僕たちが偉いということにはならないように思うけどな。
T 確かに、学校にあって生徒であるということは制約されているね。だから主権者といっても制約された主権者かな。
P 生徒は制約されている以上、ちっとも偉くないですね。
T そんなことないよ。正しい行いや主張は教師も学校も敬わねばらないからね。
P それでは誰が生徒の主張を正しいと判断するんですか。
T 確かにそうだね。それは難しい問題なんだ。その主張が多くの人々から支持されるものでなければならないからね。そのために主張の正当性を支持してくれるよう人々に働きかけていくことも必要になるだろうね。結構、大変なことではあるね。

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