ぶんやさんち

ぶんやさんの記録

雑誌「一個人」12月号特集「キリスト教入門」

2010-10-29 19:44:00 | ときのまにまに
町の書店の雑誌売り場でときどき「一個人」という変な雑誌があるということは気付いていましたが、あまり興味が持てそうではありませんでした。ところがツイッターでかなりの人が「一個人」の12月号が「キリスト教入門」を特集あていることを囀り、面白そうなので買ってみました。頁をめくるとかなりの頁が特集のためにさかれており、画像も豊富で面白そうです。全体は6部に分かれています。

第1部は「カトリックの聖地バチカンを旅する」というタイトルで、旅行案内の形式で、現在のバチカンのことがかなり詳細に取り上げられています。この部の最初の両開きの頁に、聖ペトロ大聖堂のバルコニーから眺めたバチカン市国の写真が掲載されています。この写真は圧巻です。以下10頁にわたって、聖ペトロ大聖堂やシスティーナ礼拝堂に保存されている絵画がおしげもなく掲載されています。また、バチカン市国のことや教皇の権威等が述べられ、読者の興味を惹きます。また、教皇を選出する「コンクラーヴェ」仕組みとプロセスが分かりやすく解説されている。

第2部は「教会建築の歴史」で、初期の教会建築から現代の聖堂まで、うつくしい写真によって紹介されている。同じ教会建築といっても時代と地域によってさまざまである。これらの建築物の写真がわずか10頁の中に凝縮されている。

第3部は「キリスト教の基礎知識」というタイトルで、聖書について、神学について、諸聖徒たちについて、各教派の成り立ちや流れについて概説されている。キリスト教徒であるならばこれぐらいのことは常識として知って欲しいと思われる最小限の知識が13頁の中に盛り込まれている。

第4部は「キリスト教の歴史を読む」というテーマの元に、イエスの死から、原始キリスト教の成立、迫害、ローマ帝国への浸透、世界宗教としての展開、十字軍、宗教改革等々、キリスト教の歴史が概観される。

この特集の最大のプレゼントは次の2部である。第5部は「西洋美術で読む旧約聖書」、第6部は「洋絵画で読み解く新約聖書」。いずれも2000年のキリスト教の歴史が生み出した芸術作品が満載である。中にはかなりエロチック名作品もあるが、いずれにせよ各時代の最高の芸術家が精魂込めて描いた「聖書の物語」である。とくに目を惹くのはヤン・ブリューゲルとルーベンスの≪エデンの園(人類に堕落≫の部分画で非常に迫力があるがアダムとイブがいかにも西洋人ポクいやらしい。また、レンブラントの≪バト・シェバ≫はダビデがフラフラとなり横恋慕したことが納得がいく作品である。新約聖書の聖画としては私たちが見慣れたダ・ヴィンチの≪最後の晩餐≫とは別のアンドレア・デル・カスターニャの≪最後の晩餐≫が掲載され、細かい解説がほどかされていて非常に興味深い。
この第5部と第6部だけでも680円という誌代の値打ちは十分にある。

一部プロテスタントの信徒たちからプロテスタントについての記事が少ないという批判があるが、もともとその種の遺産を否定したのがプロテスタントなのだからしょうがないであろう。

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1 コメント

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興味深いです。 (うしじま)
2010-10-30 09:31:17
興味深い記事ありがとうございます。
私も購入してみたいと思いました。最近Penといい、雑誌のキリスト教記事はやりでしょうか?
プロテスタントの方からの意見面白いですね。誰でも我がところがとりあげられないと不満に思うのですね。以前別冊太陽が日本の教会の特集を出した時にも、似たような話を聞いたことがあります。そのときは、結局、有名なプロテスタント教会の多くで取材許可が出なかったということらしいのですが。。。。