翳りゆく光のなかで

たちきられているものなどひとつもないように

『迷子』

2008-11-18 21:57:07 | 
  むかしは僕らすれ違ったって
  袖などすり合っちゃうことに
  なにかを見つけていたりもしたのに
  そんなこともいつしかなくなり
  今はもうただ違いがあるだけ

  ばっちりぴったり合っちゃうよりも
  向き合いズレちゃってることに
  なにかを感じてみたりもしたのに
  そんなこともいつしかなくなり
  今はもうただズレているだけ



  交わることができないのなら
  もうこの辺で終わりにしようよ
  交わることができないのなら
  どんどん伸びていったらいいよ



  むかしはうまく行っちゃうことに
  少しは退屈したりもしたのに
  そんなこともいつしかなくなり
  今はもうただ懐かしいだけ



  どこにも行けなくなった僕ら
  どこでも会えなくなった僕ら
  どこにもたどり着けない僕ら
  どこでも迷子になれない僕ら



  交わることができないのなら
  もうここからは離れていいよ
  交わることができないのなら
  どんどん伸びていったらいいよ



  どこにも行けなくなった僕ら
  どこでも会えなくなった僕ら
  どこにもたどり着けない僕ら
  どこでも迷子になれない僕ら



  むかしは良かったじゃないけれど
  そうして僕らはオトナになった
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思い出し笑い

2007-01-15 08:32:35 | 詩の周辺
最近よく思い出し笑いをする
思い出し笑いするひとってエッチなんだっけ?

別に振り向いたわけではなく
ふっと思い出しては笑う
ほんとに他愛ないことが
今思い浮かべるとなんとなく愛しい
死期でも近いのか?なんて思ったりもするさ

あの時 あの時 あの時
あの時はリアルタイムで幸せだったのかな?
それとも今だから笑えるのかな?

どちらにしても顔の筋肉が動くのが気持ちよくて
そしてもう一度 くすりと笑う










たとえ 思い出のなかにしか
もう笑顔が残っていないとしても



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「鎖」 ※試作

2006-10-30 10:28:17 | 
繋いでゆけば どこまでも長く
その鎖を伸ばすことができる

あなたの鎖骨のくぼみにも
あなたの胸のあいだにも
ぴたりと飾れる鎖ができる

けれど
それは最初から繋がれたものではない
あなたのためだけに繋がれた鎖

あなたといつか出会うと決まるまで
私は視力測定用の図柄のように
一部に切り込みの入った環に過ぎなかった

ひとつひとつ 切込の入った環
繋がることなどできるわけがない

けれど それじゃあなたに会えない

切られた部分をひねり その亀裂を広げ
先に亀裂を閉じられた もうひとつの環へ繋げ
今度は開いている方の亀裂を閉じて
ちょっとやそっとじゃ離れぬようにと
ロウ付けする

あなたの喉元に似合うまで
あなたの胸元に似合うまで

私は切られた亀裂を広げ合わせ閉じ続ける

どうかあなたには忘れて欲しい
あなたの元へ届く前の私の姿を

今 私はあなたの鎖だから
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「枯」(※お題を頂戴いたしました)

2006-10-09 04:00:18 | 


老人の顔は見れば見るほど猿に似ている

多少の熱さにも多少の寒さにも負けない皮膚

深部まで入り込んでいきそうな深い皺

うっすらと口元に白い産毛のような髭を生やした老婆

生きてきた時間と今という時間の歪みに耐え兼ねて

皮膚に刻まれた海溝を伝う汗

既に己の為ではない 自分より若き者たちの為に

何十年も掘り下げられた井戸から汲み上げられた涙

けしてその井戸は枯れてはいない

老人の顔は見れば見るほど猿に似ている

けれどけしてその内部は枯れてはいない

彼の 彼女の 何を私たちが見たというのだろう?

深い深い井戸を持つ 私がここに在る為の先達たちの
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無題

2006-08-23 07:48:58 | 
ときに悟りを得るまでに
それをただ待つ坊主のように

ときに鼻水垂らしつつ
草むら駈けてく子のように

捕らわれてさえいなければ
きっと言葉はどこまでもゆける

言いたいことに 届かぬままに
届かぬものに 触れようと
  
言い得ぬものに溢れているなら
言うしかほかにないこともまた

捕らわれてさえいなければ
きっと言葉はどこまでもゆける

捕らわれてさえいなければ
きっとたましいはどこまでもゆける
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無題

2006-07-26 01:38:29 | 詩の周辺
堕ちろ 堕ちろ

這い上がれないところまで

ぶちのめせ ぶちのめせ

容易く起き上がれぬように

絶望しろ 絶望しろ

逃げ道など闇で塗りつぶせ

堕ちろ ぶちのめせ

堕ちろ 絶望しろ

堕ちろ 焼き尽くせ

堕ちろ 絶望しろ



絶望しろ 絶望しろ

絶望しろ 渇望しろ



飢え 孤独 その先に


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無題

2006-07-26 01:36:26 | 詩の周辺
これまで持ってた可能性なら

どれもこれも 期限切れ

誰かに奪われたわけじゃない

どれも これも

この手で握り潰してきたんだ

ああもなれた こうもなれた

けれど今では 何もない

与えられた選択肢なら

どれもこれも とっくに時効

戻れる場所など どこにもない

過ぎてきたものは

掘り返せぬよう埋め踏み固めた

光は どこからも射してこない

誰かを呼ぼうと 叫びもしない

受け入れるべきものは

失くしたものは かえらないこと

あとはもう これ以上

逃げられない 今があるだけ


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この町に住む

2006-05-25 00:18:28 | 
この町に住む
陽が沈み窓の灯りに家々がけぶる
色とりどりのネオンが舞い
あるいは月がひっそり見守り
そしてまたあるいは静寂

この町を謳う
町のなかには淡い緑
整然と並ぶ欲望の森
町の離れには深い緑
肺を大きく膨らませ子等が遊ぶ

この町を憂う
あの町やあの町からひとびとが訪れ
けれどあの町に行った青年は帰ってこない

木々が色づけばそれを愛で
酒と湯に火照った体が冷める頃雪虫が舞い
風花はやがて地面を染める

白が硬くこの町を閉ざす
厚手のコートに身体を包み雪を踏みしめ
一息ごとにそろりそろりと靴底を滑らせ

柔らかな日差しが暖かい
桜を咲かせ梅を咲かせライラックを咲かせ
ひとらの頬に笑みを咲かせて
けれどまだあの青年は帰ってこない

うつむいてばかりでは幸せがわからない
頷いてばかりでは哀しみが見えない

じいやの節くれだった指を忘れ
ばあやがぶつぶつと繰り返す小言を忘れ
この町の家の布団は死を忘れ
この町の奥の寝室は産声を忘れ

みにくいものはよく見える
あるものが見えない
ないものばかりが見える
わたしが見えない

この町に住む
厳しい自然を追い払い
厳しい鬼となったひとの末裔として

この町は囁く
大地から奪ってしまったものへのオマージュ
先人たちの思いはブロンズ像では語れない
死を食いつなぐひとびとの
すれ違いけれど確かにそこにある微笑み

この町に住む
まだ生まれていないものたちと
死んでしまったものたちを繋いで
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『見る前に跳べるか』 改

2006-05-24 14:03:21 | 
私には何もないと貴方は言い
私はその問いに答えられずにいる

私には何もないと私は感じ
私はその問いを抱きつづける

生きる目標が見つからないと貴方は言い
私はその問いに答えられずにいる

生きる目的がわからないと私は思い
私はその問いに答えを与えずにいる



『ほしいものは いったい何?』



愛されても 愛されても いつでも愛は足りないし
伝えても 伝えても 言葉はいつも想いに足りない

今 この瞬間に思ったことも次に瞬間には飲み込まれ
今 この瞬間という場所をうまく生きてゆくことが出来ない

愛して欲しいと嘆きつづける貴方を
私は抱きしめることが出来ない

愛して欲しいと嘆きつづける私を
私は抱きしめてやることしか出来ない
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memo

2006-05-21 00:45:11 | 
コップを左手に持ち

右手で蛇口を捻る

水を注ぎ終わった時

最初の一滴は

どこにも いない


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