For English, check ABOUT ME below the CATOGORY on the right.
やじゅんのページ/The World according to YAJUN



ハンマーヘッドシャークの大群@神子元島

昨日、伊豆でダイビングをしてきました。
ダイビングの経験本数は90本になりましたが、沖縄を別とすれば実はこれが初の国内ダイビング。
与那国島に匹敵するハンマーの群れがこんな近場で見られるとは。与那国島とはまた趣の異なる迫力がありましたね。

・・・
さて、だいぶ前から書く書くと言いながら延び延びになっていた米国についてのお話です。

順調な回復を続ける米国経済。
シェールガスという強力な武器を手にして、経済指標は堅調を継続しています。
懸念されていたSequestration(連邦予算の強制削減)の影響も、予想されていたとおり、限定的なものにとどまりました。
アベノミクスとは対照的にQE(金融緩和)の縮小すら取り沙汰されるほどです。
このままいけば米国の経済は当面安泰、リーマン前の状態を超えて発展を続ける可能性も大いにあります。
このへんの詳細はぐっちーさんの著書メルマガに譲りましょう(宣伝(笑))。

政治(内政)についてみると、前の記事で、オバマ大統領が大統領就任演説で、同性愛、銃規制、社会福祉といった問題に大胆に切り込んだことを書きましたが、その後、同性婚(最高裁判決)、銃規制(強化法)、移民政策(移民法改正)の分野において、すでに大きな前進を遂げています。

ところで、こうしたオバマの発言や政策は、多くの日本人にとって、特に不自然ではなく、親しみやすく感じられるものと思います。当たり前のことを言っているとすら感じられるかもしれません。これは、おそらく多くの日本人の感覚が米国における穏健なリベラル(中道左派)に近いものだからと思われます。

しかし、このHPで何度も述べてきたことですが、米国においてこれらの問題は、国論を二分する極めてセンシティブなイシューとなります。
米国の保守思想は、日本人にはなじみが薄いものですが、歴史的な蓄積と風土に支えられた強固なものであり、これらの問題に対する抵抗は(穏健な保守派の中でさえ)すさまじいものがあります。それは多くの日本人の想像を超えるものです。

このような背景の中で、問題を正面から取り上げ、しかも就任演説のような場で争点化するオバマの行為は、本当に勇気を必要とするものです。
仮にこれを計算なく思いつきでやっていたとしたら、それこそ鳩山総理なみに物笑いの種、単なる無謀に終わり、不毛で無残な結果を残すだけのものになります。
しかし、さすがはオバマ、そんな甘い人ではなかったわけですね。まだまだ前途は多難とはいえ、レガシー作りどころか批判にさらされレームダック化する傾向が強かったこれまでの米政権と比較すると、その意欲的な姿勢と実現力には驚かされます。特に、前述の同性愛、銃規制、移民に関する前進は歴史的なものであるとすら評価されています。

一方で、外交についていえば、内向きであることがしばしば指摘されています。
中東(中東和平、シリア、イラン)、アジア(北朝鮮、中国)、いずれにおいても、どちらかといえば慎重というか消極的な姿勢が目につきますね。
以前の記事で紹介した『オバマの戦争』からも感じられたところですが、オバマは、外交と安全保障については、経験不足もあり、割と他人任せというか、自分自身のこだわりやリーダーシップを発揮する傾向が弱い印象を受けます。
良い面悪い面ありますが、その機能主義、合理的な性格が、現在の米国の内向きな姿勢に投影されているようにも感じられます。

まあ、そんなわけで、米国は経済は好調、政治的にもある程度の安定と前進を見せており、前途に不安を感じさせる欧州や中国と比べれば、はるかに大きな期待を抱かせる状況にあります。踏み込んでいえば、ふたたび米国の黄金時代がやってくるといえるかもしれません。

そんな力強さを増していく米国に対して日本はどう向きあっていくのか。
政治・外交安保では、これまで通りやるということに尽き、ほぼ解は出ているのでしょうが、ビジネスについていえば、新興国と同じかそれ以上に見過ごせないマーケットとなるのでしょう。それも、ハイエンドの製品の販売や高い技術力を使った生産など、新興国とは異なるアプローチで収益を上げることが期待されるわけで、ある意味で日本企業にとっては単なる人口の多さや労働集約に頼るものではなく、未来を開くような新しいモデルが求められ、実現していく地域・分野のように思われます。
M&Aにしても、販売店などではなくて、それこそアップルなどのように、高い技術をもっているところを丸ごと買って新しいビジネスにつなげるようなアグレッシブなアプローチも求められるのでしょう。

ところで、「アメリカの時代」といえば、思い出されるのは、18世紀以降の米国外交を描いた古典的名著、ウォルター・ラフィーバーの『アメリカの時代』ですね。
もう古くなってしまった本ですが、レーガン時代の気運の高まりを「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と名付けた章で書くところなどオシャレだなと思った記憶があります。

・・・
最近読んだ本。

■ ブロニスワフ・マリノフスキ 『西太平洋の遠洋航海者』 『性・家族・社会』 『呪術・科学・宗教・神話』 『マリノフスキー日記』
文化人類学の礎を築いた巨人マリノフスキの論文集。
処女作『西太平洋の遠洋航海者』では有名なクラの交易が論じられる。贈与経済の古典的成果であり、モースの『贈与論』とともにジャレッド・ダイヤモンド『昨日までの世界』でも何度も言及される。ダイヤモンドの著作に関心のある人には、そのアプローチの淵源を見る素材としても勧められる。
『性・家族・社会』からは、デュルケームの社会学(歴史主義・進化主義批判)と師フレイザーの神話学・宗教学(特に『金枝篇』)からの継承、そしてレヴィ=ストロースに代表されるその後の人類学・構造主義への貢献をみることができる。その近代的な調査手法と体系的考察は、博物館研究を社会学に変えたといわれるが(トロブリアンド諸島での日々などを含む『マリノフスキー日記』からは、現地調査の精緻化をみることができる。)、婚前の性交渉の豊富な事例など、読み物としても面白く、レッドフィールドも『呪術・科学・宗教・神話』 で書いているとおり、科学より芸術の彩りを感じさせるロマン主義的な記述もある。
『呪術・科学・宗教・神話』 は、タイラー、フレイザー、マレット、デュルケームの宗教論を整理した上で、フレイザーが展開した宗教・科学論、トーテミズム、多産と豊穣崇拝に対して独自の解釈を加えている。
いずれも古い作品だが、家族から親族という考察対象の発展、数学に基礎をおく機能主義、大陸(中欧)型の人文主義的知性とアングロサクソン型の科学的知性との比較など、今読んでも楽しめる。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )