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やじゅんのページ/The World according to YAJUN



選挙でしたね。
政権交代。官庁にいる人たちは大変だろうなあと、完全に他人事ですが、思います。世間で言われるような実体的な面というよりは、まずは手続というか、色んな形式を整える面で、とりあえずめんどくさそうだなあと。もちろん政権交代自体は良いことだと思ってますが。

それにしても鳩山代表のNYタイムズへの寄稿論文
大丈夫ですかね、これは。なんでこんな米国の反感を買うようなことをあえてするのでしょう。失言どころではない問題と思いますが。。。選挙を意識してのことなんでしょうか。
まあ大した話にはならないと思いますが、とりあえず米国に「ノー」と言ってみたかった細川政権を思い出したりもします。

ちなみに文中に出てくる東アジア共同体ですが、前にちょっと記事()を書いたことがあります。古いですが興味がある方のぞいてみてください。
それにしても東アジア共同体って本当に好きな人多いんですよね。そういう独特な誘引力がまた何となく戦前からのアジア主義のDNAを感じるような。考え過ぎか。

関係ないですが、鳩山氏がおしまくる「友愛」(fraternity)、論文も書かれてましたけど、これも欧州に固有の歴史的背景のある言葉で、結構複雑なニュアンスを含んでいるんですよね。それをこんな風に使いまくるのもちょっと?と思わなくもありません。まあ、いいんですけど。

ところで選挙と同時にあったのが最高裁判事の国民審査。
前にも紹介したことがありますが、私がよく参考にするのがこのサイト
先日、日経新聞に、国はもっと分かりやすい判事の情報を出すべきだ、なんて書いてましたけど、私人の方が作られた中にこういう素晴らしいものがあるんですよね。メディアの方こそ、文句とか要望ばかり言わないでもっと汗をかけ、と言いたい。

■ 伊藤正己 『裁判官と学者の間』
最高裁判事として数々の(長文の(笑))意見を書いた著名な英米法・憲法学者の回想録。
古い本なのでそういうものとして読む必要がありますが、判事の日常であるとか、こまごました記述もなかなか味があります。
ご自身の見解として興味深いのは抽象的違憲審査制をプッシュしていること。めずらしいですよね。しかも英米法の人だし。その理由として最高裁は「和」の精神から政治部門に遠慮して違憲判決を出せないんだ!という趣旨のことを(穏当なトーンですが)はっきり言いきっているのもなかなかアツイ。
ただ本の半分は自分の書いた少数意見。今となってはこんなの売るのかと思いますが、出版当時は重宝したんでしょうね。

・・・
ついでに最近読んだ本。すっかり書評サイト化(笑)。これ、脈絡なく書けるので、楽でいいです。

■ アクセル・ホネット 『承認をめぐる闘争』
フランクフルト学派の第三世代を代表する社会学者による現代社会論。
ひとことで言えば、(初期の)ヘーゲルが描いた愛、法、人倫からなる三つの人間の「承認形式」を、社会心理学者のミードが、愛、法、連帯の三つの形式にとらえなおしたのを受けて、師匠であるハーバーマスのコミュニケーション論を加えて新しく仕立て上げたホネット版の承認理論、という趣のものです。
といってもこれではわけがわかりませんよね。ま、私もよく分かってません(笑)。
ただヘーゲルの「承認」に対する考え方を知っていればある程度のポイントはつかめます。
非常に乱暴に言えば、ヘーゲルは、人間の生きる意味を自己保存ではなく他者からの承認に見出すのですね。人はなぜ動物と違って、他者のために、国のために、誇りのために死ねるのか、その理由はここにある、他者からの承認を求めて命をかけるのが真の人間であり、その承認をめぐる闘争が歴史なんだ、ということを言うのです。カッコイイですよね(笑)。
この「歴史哲学」はフランシス・フクヤマの『歴史の終わり』 の下敷きにもなってます。ヘーゲルの思想は色んな問題をはらんでいますが、壮大かつ精密な体系をもっていて、どんな問題にも対応することができ、それゆえマルクスから現代の哲学者まで色んな人たちにその枠組みが再解釈・活用されるのですね。そういう意味では、ずいぶん昔の人ですが、その思想を知るのは決して単なる懐古趣味に終わらず、今なお勉強のしがいのある人です。
私は調べものの一環で問題意識があったので入りやすかったですが、素のままで入るにはかなり前提知識が必要になるやっかいな一冊です。でもこういう知の蓄積を感じるのが面白いところですね。

■ リチャード・ニーバー 『アメリカ型キリスト教の社会的起源』
米国のキリスト教の多様性の歴史的考察を行った名著。
著者は現代最高の神学者の一人と言われたラインホルド・ニーバーの弟です。
ウェーバーとトレルチが作り出した「セクト」と「チャーチ」という教会の類型論をあてはめながら、米国の諸宗派(denominations)の発展の歴史を具体的に描いています。ありそうでなかなかない本です。
米国の宗教性については昔ちょっと書いた記事があります。もうちょっと読んでみたい人はのぞいてみてください。

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