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やじゅんのページ/The World according to YAJUN



音楽バトンTV番組バトンに続いて、雪斎さんからいただいた「映画バトン」、遅ればせながら試みます。
雪斎さんに倣ってカテゴリーを勝手に増やした結果、長くなってしまったので、二回に分けることにします。

■ 最近見た映画
○『春の雪』(行定勲2005)
原作ファンでしょうか、観客に年配の方も多かったです。ちょっと長すぎのような。原作を読んだ人でないとつらいかも。大正時代の風景や雪が降る場面の映像は美しいです(カメラマンは『恋々風塵』などホウ・シャオシェンの映画を担当していた人とか)。

■ 思い入れの深い映画5本
作品の面白さもさることながら、鑑賞した当時の個人的な事情もあって思い出深いものを選びました。

<外国映画(英語圏)>

○『街の灯』(チャールズ・チャップリン1931)
「You...」
チャップリン扮する乞食と盲目の美少女との触れ合いを描いた悲しい喜劇です。映画史上屈指の、美しくも残酷なラストは、サイレントだからこそ生まれた奇跡のような感動を与えてくれます。チャップリンの映画でもう一つ選ぶとしたら『殺人狂時代』ですね。

○『アラビアのロレンス』(デビッド・リーン1962)
「Nothing is written! I shall be at Aqaba!」
言わずと知れたLawrence of Arabiaの活躍を描くスペクタクル。スケールといい音楽といいオープニングといい、まさに映画の醍醐味に満ちた大作です。主人公のみならず、脇を固めるアレック・ギネス、オマー・シャリフ、アンソニー・クインが滅茶苦茶カッコイイ。(というか、主人公はちょっとアレな人なんですよね。それがまた面白いんですが。ピーター・オトゥールは『将軍たちの夜』でもやはりアブナイ人だった(笑)。)

○『時計じかけのオレンジ』(スタンリー・キューブリック1972)
「Being the adventures of a young man whose principal interests are rape, ultra-violence and Beethoven.」
レイプと超暴力とベートーベンに魅せられたアレックスの冒険譚。キューブリックの映画はどれも激しく素晴らしいと思いますが、選ぶとしたらこれですね。この作品が魅力的に見えるのが人間の業の深さでしょうか。

○『狼たちの午後』(シドニー・ルメット1976)
「The Dog Day Afternoon」
実話を元に、アル・パチーノとジョン・カザールが起こす銀行強盗騒ぎを描いたアメリカン・ニューシネマの名作。米国の影をユーモアを交えて浮き彫りにします。個人的な事情もあって思い出深い作品です。アル・パチーノは『ゴッドファーザー』と『スカーフェイス』で定着したギャングのイメージが強いですが、個人的にはこの映画や『哀しみの街かど』、『セルピコ』、『スケアクロウ』といったニューシネマの頃の青白く線の細い若者の役が好きです。

○『タクシードライバー』(マーチン・スコセッシ1976)
「You talkin' to me? 」
ジョージ・ウォレス狙撃事件を元に、米国のダークサイドを描ききった傑作。この頃のデニーロの活躍は、本作のトラヴィス役をはじめ、一つの時代を代表するほどのものでしたね。

(番外)
○『フェリスはある朝突然に』(ジョン・ヒューズ1986)
「You're still here?」
数ある青春映画の中で「米国若者事情」で触れた『ブレックファスト・クラブ』とともに、心に残る珠玉の一本です。高校生の「突然」の一日をさわやかに描き、青春の胸の高鳴りがグッときます。ラスト、エンドロールがもう終わるかなー、というところで・・・いい意味で「やられた」気分になります。

<外国映画(非英語圏)>

○『処女の泉』(スウェーデン:イングマール・ベルイマン1960)
中世の北欧を舞台とした、娘を殺された父親の復讐の物語。静謐で美しい画像、マックス・フォン・シドーの異様な存在感、『ヨブ記』を思い起こさせる宗教性の強いストーリーが強い印象を残します。

○『エル・トポ』(メキシコ:アレハンドロ・ホドロフスキー1969)
異次元世界のような荒野でガンマンが様々な敵と死闘を繰り広げ、ハーレム状態になり、地底でフリークスと出会い・・・とまったく説明不能な作品ですが、一度見れば忘れられない衝撃を与えます。ジョン・レノンが版権を買ったことでも有名です。

○『アポロンの地獄』(イタリア:ピエル・パオロ・パゾリーニ1969)
「オイディプス王」ですが、冒頭と最後の現代への橋渡しが面白いです。パゾリーニの映画は、もしかしたらただの変態が撮っただけかと思いますが、なぜか異様な芸術性を感じてしまいます。それにしても、ヤコペッティのモンドもの、マカロニ・ウエスタン、アルジェントやフルチなどの流血系ホラーを見ると、エログロと芸術を両立させるイタリア人の感性には驚かされるばかりです(笑)。

○『ニュー・シネマ・パラダイス』(イタリア:ジュゼッペ・トルナトーレ1989)
と思うと、イタリア人はこういう映画も作るので油断できません(笑)。映画を愛する少年と技師の物語です。見た当時、学生でしたが、ズルイ映画だと思いながら泣けました。

○『アンダーグラウンド』(ユーゴスラビア:エミール・クストリッツァ1995)
旧ユーゴ独立を題材にした一種のファンタジーです。普段見慣れた映画の規格を逸脱したような、不思議な余韻の残る映画です。

(番外)
○『シティ・オブ・ゴッド』(ブラジル:フェルナンド・メイレレス2002)
最近の映画の中から一本。ファベーラ(貧民街)の少年たちの凄惨な日常を描いた、ブラジルのパワー全開の社会派エンターテイメントです。ちなみに音楽も有名な名作『黒いオルフェ』は実はフランス映画なんですよね。

<外国映画(アジア映画)>

○『ゴッド・ギャンブラー』(バリー・ウォン1989)
香港の猥雑なエネルギーが凝縮したかのような快(怪?)作です。チョウ・ユンファの汚れぶりを含め、豪華キャストの暴走ぶりが痛快です。何となく昔の日本映画の無茶苦茶ぶりを彷彿させます。

○『覇王別姫』(チェン・カイコー1993)
京劇と中国の現代史をテーマに、壮大な時代の流れとその中で生きる人のはかなさを描いた大作です。その内容に丁関根など共産党幹部が激怒したと言われ、国内では当初公開が禁じられました。自殺したレスリー・チャンの姿が切ない。

○『恋する惑星』(ウォン・カーウァイ1994)
ウォン・カーウァイの映画はそれほど好きではないのですが(物語がどうというよりは、ミュージックビデオのように雰囲気を楽しむのでしょうね)、この映画は、フェイ・ウォンの「夢中人」(オリジナルはクランベリーズの「Dreams」)を聞くたび、香港への旅行など、見た当時(学生時代)の思い出が蘇る切ない作品です。

○『鬼が来た!』(チアン・ウェン2000)
日本の敗戦直前の中国の農村を舞台に、村民と日本兵との交流と戦争の不条理を描いた作品です。壮絶なストーリーと最後(カラーに切り替わる瞬間)まで根底に流れる不思議なユーモア。140分の時間を感じさせない優れたエンターテイメントでもあります。

○『ブラザーフッド』(カン・ジェギュ2004)
朝鮮戦争を題材にした韓国版『プライベート・ライアン』ですが、個人的にはこっちの方が面白いです。「ここまでやるか」というほどの自らの歴史に容赦ない凄惨な描写。過酷な状況の中で変わることのない兄弟の愛。ちょっとくどいですが、私は泣かされました。韓国人からよく勧められる映画の一つです。

<後編に続く。>

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
映画とセリフの言語 (pp)
2005-11-11 14:02:22
>ちなみに音楽も有名な名作『黒いオルフェ』は実はフランス映画なんですよね。



セリフもフランス語なんで、それに気付くと鼻白むものがあります……

もっとも、世界のどこを舞台にしていても登場人物が英語を喋るハリウッド映画に比べれば遙かにマシですが。

究極は「猿の惑星」でしょうね。

猿が英語を喋ってる時点で気付けよゴルア!と言いたくなりますw

 
 
 
確かに (やじゅん)
2005-11-13 23:11:30
>ppさん

なるほど、それを思うと『キルビル』などの変な日本語はかえって評価できるのでしょうか(笑)。

ちなみに2000年のリメイク版はブラジル製作なのでちゃんとポルトガル語みたいですね。

言葉の話からずれてしまいますが、昔の日本映画には、明らかに熱海あたりでロケした風景に、「ニューヨーク」という字幕を事もなげにドーンとかぶせるものもあって、その無理やりがかえってすがすがしかったです。
 
 
 
熱情 (Hache)
2005-11-17 00:21:20
やじゅんさんの熱情が伝わってくる記事ですねえ。私が見たこともない映画も含まれていて参考になります。



 キューブリックで『時計じかけのオレンジ』を取り上げているのは、やじゅんさんらしいというか、この辺りは好みがはっきりでるところで興味深いです。"Dr. Strangelove"

や『2001年 宇宙の旅』も代表的な作品ですが、キューブリックらしさが出ているという点では『時計じかけのオレンジ』でしょうね。個人的にはDr. Strangeloveが秀逸です。

ピーター・セラーズの熱演に思わずソ連外交官役が噴出してしまっているシーンが印象的でテーマがしゃれになっていないのにほのぼのしています。
 
 
 
お久しぶりです (やじゅん)
2005-11-17 22:06:04
>Hacheさん

このような独りよがりな記事にまでコメントをいただいて恐縮です。

「熱情」ですか・・・お恥ずかしい限りです。Hacheさんがおっしゃるとベートーベンを思い出しますね。私の「クール」なイメージが変わらないことを願うばかりです(笑)。

『Dr. Strangelove』は私も大好きです。『時計じかけ』とどっちを選ぶか迷うほどです。ピーター・セラーズはものすごかったですが、カーチス・ルメイを彷彿させるジョージ・C・スコットの演技も素晴らしかったですね。『パットン』も演じましたけど、まさにはまり役だったですね。

それにしてもキューブリックはすごいですよね。あれだけ多岐にわたる映画をとって、いずれも自分のこだわりを貫きながら、なおかつエンターテイメントとしても一級品、というのは本当にすごいことだと思います。『Dr.』と『時計』の次に挙げるとしたら『突撃』かなあ・・・『フルメタル・ジャケット』も『バリー・リンドン』も『現金に体を張れ』も捨てがたいですが。
 
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