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パールハーバー

だいぶ時間が経ってしまいましたが、9月にハワイに行きました。
これまで70か国近くを訪問しましたが、ハワイは初めて。いつでも行けるという安心感とリゾートは何となく後回しというスタンスから、ずっと行く機会がなかったのですね。でも、周りの人はみんな良いと言うし、『深夜特急』を書いてバックパッカーの象徴的存在となった沢木耕太郎も一番好きなのはハワイと公言するエッセイ(あえて裏をかくという意図もあったのかもしれませんが・・・)を読んだりして、興味はありました。

沖縄に住んで以来ダイビングを趣味とするようになったのが今回の旅行のきっかけでした。
もともとはエジプトの紅海でダイブする予定を組んでいたのですが、クーデターを見てキャンセルし、急遽変更したという経緯です。

実際行ってみるとなかなか良かったですね。
ダイビングは、ハワイ島でナイトダイブでマンタを見るというのがハイライトだったのですが、それ以外でも、イルカ、ゴンドウクジラ、ネムリブカ、カメ、Corsairという大戦中に沈んだ米軍の戦闘機など色々なものを見れました。


マンタ


イルカ


F4U Corsair

また、パールハーバーは非常に印象深い場所でした。戦艦ミズーリ、アリゾナなどとともに日本軍の人間魚雷「回天」の展示を見ました。



スミソニアン博物館で人間爆弾「桜花」が「Baka Bomb」と言われて展示されていたのを思い出します。

こんな風に日本の特攻兵器が米国で展示されるのを見ると、胸が詰まりますね。
前回の記事で、映画『風立ちぬ』に言及した際、最近は零戦のことを知らない人も多いということを書きましたが、零戦、回天、桜花などを見て、特攻を含め、極限の状況の中で命を散らした人々に思いを馳せ、言葉を失うという感覚は、いつまでも忘れず、大事にしたいものと個人的には思います。

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ところで、先日、山崎豊子氏が亡くなりましたが、同氏は、まさにこうした忘れてはいけない現代史を凄まじい筆力で描き出した稀代の作家だったと思います。
山崎氏の作品は、主要作品はほとんど読みましたが、文学作品として一番好きなのは『大地の子』です。激動の時代を伝える迫力だけでなく、主人公、その家族、友人など人間の描写が本当に素晴らしい。「大地の子」という言葉の美しさも心を震わせます。 NHKドラマも、上川隆也、仲代達也の名演もあり、非常に優れた映像化作品でした。
脚色はもちろんあるとはいえ、限りなくノンフィクションに近い迫真の魅力を感じさせる作品として抜群の完成度を誇るのが『不毛地帯』。これも2回もドラマ化されましたが、山本薩夫監督(1976年)の映画が一番好きですね。ライバルの鮫島(日商岩井の海部八郎がモデル)を田宮二郎が演じますが、これが『白い巨塔』の財前、『華麗なる一族』の美馬と同様に鮮烈な印象を残します。
現代の政治経済社会を対象とする小説の書き手は、今の時代こそ以前の記事でも紹介した黒木亮を含め何人も挙げられますが、今なお古典といえる作品を書いた人は、松本清張、城山三郎、山崎豊子と思います。私などが今さら言うまでもないことですが、骨太な社会経済小説のまさに先駆者といえるでしょう。

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最近読んだ本。

■ エルヴィン・シュレーディンガー 『生命とは何か』
ワトソンとクリックの分子構造模型の創造より10年も前に分子生物学の世界像を提示したといわれる古典。
シュレーディンガーは自身の専門である量子力学の成果(分子、非周期性、遺伝子、エントロピー)を駆使して生命の定義(遺伝子の永続性・安定性)に挑む。
一つの鍵となるのは自然界の量子的構造(非連続性)と決定論的世界観との関係の理解だが、この点について、量子力学の発展を含め問題の背景を知るには、ポアンカレの科学思想を紹介した以前の記事でも引用した『世界の名著・現代の科学2』所収の湯川秀樹の解説が良い。
マトゥラーナらの他の古典的理論や最新の議論と対比して相対的に眺めるなら今年出たクリストフ・マラテール『生命起源論の科学哲学』。この本では生命の「リスト形式による定義」のうち「代謝的、熱力学的、エネルギー的な定義」の代表例として紹介されている。

■ クリストフ・マラテール 『生命起源論の科学哲学 - 創発か、還元的説明か』
創発論と還元論という古くからの論争を現代フランスの科学哲学が捌く。
あくまで(科学)哲学の本なので、生物学的な論考を期待すると面食らうかもしれないが(むしろ『キャンベル生物学』『ケイン生物学』の序論の方がしっくりくるだろう。)、その徹底的な理屈の掘り下げ(生命の起源、創発の概念の実用主義性・批判)は、ヘンペルやファン・フラーセンの議論になじみのある人なら興味深く読めるだろう。
創発の切り口からの科学史の描写(量子化学、分子生物学、前生物的化学、心の哲学、論理実証主義批判、システム科学・複雑系)、シュレーディンガーの『生命とは何か』(リスト形式による生命の定義)やマトゥラーナ、ヴァレラ『オートポイエーシス』(モデル形式による生命の定義)等の古典と最新の議論の対比・引用は、頭の整理にも役立つ。
フランスの科学哲学というのもフランスの分析哲学を知ったときの驚きと似て新鮮。

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