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やじゅんのページ/The World according to YAJUN



指揮:鈴木雅明
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
G.F.ヘンデル:オラトリオ「メサイア」HWV56(1754年孤児養育院版)

週末、クリスマス気分で聴いてきました。
なんとなく雰囲気の暗いこの頃でしたが、気分が明るくなりましたね。
BCJは、4月にはマタイ受難曲の公演があります。楽しみです。

「メサイア」ですが、CDで聴いているのはこれ。どちらも定評のある名盤です。

■ ネヴィル・マリナー/アカデミー室内管弦楽団&合唱団 1976年
■ ジョン・エリオット・ガーディナー/イギリス・バロック管弦楽団 モンティベルディ合唱団 1982年

ところで、「メサイア」のような宗教音楽は、音楽としての美しさだけ楽しむのも良いですが、背景知識があると面白さが増します。

たとえば、歌詞は聖書からの引用なのですが、それぞれがどの場面のどの意味のものを指すかが分かると、全体が一貫したストーリーにあることが分かります。
これは、聖書に慣れ親しんでいる欧米の人には自明のことなんですが、そういう文化がない私たちには、記述が断片的過ぎて、予備知識がないとなかなかピンときませんよね。
音楽が普遍的な文化といっても、その受取り方がオリジナルの地域の人とそうでない人では違ってくることの良い例と思われます。

以下の本は、素人の私にも分かりやすく、曲を理解する上で非常に役立ちました。

■ 三ヶ尻正 『「メサイヤ」ハンドブック』
歌詞(楽譜はないので他で見る必要あり)、解釈、聖書からの引用箇所、他の曲に与えた影響、演奏のバリエーションなどの情報が曲ごとに詳しく述べられています。

この本でも述べられていますが、「メサイア」について面白いと思うのは、
①(新約聖書ではなく)旧約聖書からの引用が大半を占める。
②秘蹟の具体的な強調が多い。
という点。
これは、台本作家のジェネンズが、教会の制約にとらわれることなく、自由に創作した結果であり、①はキリストの預言者としての性格(これはタイトル「メサイア」にも現われている。一方で旧約聖書のイメージである「地上の王」としての性格は回避され、また「ハレルヤ」のコーラスに見られるように「ヨハネの黙示録」の引用も重視されている点も注目に値する。)、②は当時影響力の強かった理神論への抵抗で、①②により、キリストの神性を強調しようとしたものと言われます。
このような独特な制作のあり方ゆえに、時代と宗派を超えて支持される普遍的な魅力が備わったのでしょう。

・・・

以下の本は教会音楽全般を知るのに役立ちます。

■ 三ヶ尻正 『ミサ曲・ラテン語・教会音楽ハンドブック』
初心者でも分かるよう丁寧に書かれた入門書。
ミサ曲の構成や音楽形式の変遷は、音楽理論として見ても興味深いですが、権力や哲学のぶつかり合いの産物という、一つの歴史的なドラマでもあります。西欧の歴史を知る上でも貴重な参考資料となります。
この本は、入門書とはいえ、内容は充実しており、キリスト教の典礼や教義、ラテン語の解説も豊富です。
ちなみに「ミサ(mass, Die Messe, missa)」の元来の意味は「解散」ですね。
典礼の最後に司祭が「Ite, missa est」(ここで会を終わるので、立ち去るがよい)と言ったことに由来します。
これを知ると、語源に「miss」のある英単語、dismiss, emission, mission, permissionなどの意味も類推できますよね。「英語の勉強法(その3)」で述べたetymologyの話です。
ついでに述べると、ミサのドイツ読みの「メッセ」は「見本市」を意味するようになります。「幕張メッセ」も元をたどればここから来ているわけですね。
こういうところからラテン語に入っていくのもいい考えなんだろうなと思ったりします。

■ 皆川達夫 『中世・ルネサンスの音楽』
新書(今は文庫になっているのかな?)でサクっと読める入門書。
著者は中世・ルネサンス音楽研究の大家。薄くても内容は十分に濃い。
古い本ですが(はしばしの表現に時代を感じる(笑))おすすめ。

・・・

以下の本は、もっと詳しく(マニアックに)なります。私もちょっとついていけないところが結構あります。

■ 皆川達夫 『西洋音楽史 中世・ルネサンス』
上記の本と同じ著者。内容も似ていますが、こちらは思い切り重厚な専門書。素晴らしい本と思いますが、アマゾンにはない様子・・・残念。

■ 井上太郎 『レクィエムの歴史』
レクイエムが好きな人向け。学者の本とは趣が違うが網羅ぶりがすごい。

■ トラシュブロス・ゲオルギアーデス 『音楽と言語』
ミサ曲を中心的な主題にして西洋音楽を俯瞰するもの。
もともとはハイデルベルク大学での講義録で、それもあってか新カント派的あるいは現象学的な考察が述べられており、かなり難解。でも面白い。
著者は講義中にチェンバロなど弾きながら講義をしていたらしいです。

・・・

今年もあとわずかですね。
私は明日から連日飲み会になりそうです(汗)。時間的にも金銭的にも問題がありますが、まあ、年末ということで大目に見ます。
そんなわけで、年越しに向けて、もうひといき、飲み過ぎに注意しながら、がんばっていきましょう。

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