For English, check ABOUT ME below the CATOGORY on the right.
やじゅんのページ/The World according to YAJUN



今日は暑かったですね。洗濯物を干すのが気持ちよかったです。軽くテニスしただけでえらく日焼けしました。夜は久しぶりにカレーを作ってみました。一回作ると冷凍なんかして3食ぐらい持つのが不精者にはぴったりです。

・・・

<先に「その1」をお読み下さい。>

前回は、日米関係があたかも自明のものであって、米国に気を遣う必要はないとする主張に対する疑問について述べました。

一方で、昨今はこれとは逆に、むしろ、「日本と米国は同じ価値観を共有するパートナーである。価値観を共有しない国が結束することは当然である。共有しない国に対しては常に協働して対抗するものである」とする論調が強まってきているような気がします。

これまで「嫌米?親米?」などの記事で述べてきた通り、米国は日本にとって最重要の国であり、かけがえのないパートナーであるべき国だろうと私は思っています。個人的にも米国は好きな国です。しかし、だからと言って、日本が米国と運命共同体であることを所与のものとしたり、あるいは日本人と米国人の間には特別な友情があって、日米の友情はゆるぎないと考えることには、そうなのだろうか、そう考えて良いのだろうか、という違和感をおぼえます。それは、さきほどの「米国は(約束があるし、日本が大事だから)日本を裏切らない」という考えと案外通じるような、一種の楽観主義のような感じがするのです。

・・・

前回にも述べたように、同盟とか協力関係というものは、究極的にはお互いの利益が一致という一点において担保されるものと思います。友達だから、友情が大切だからというナイーブな感情も、もちろんそれはそれで確かに認められるのですが(最近では「米国の普遍性と特殊性」で触れたように、ウィルソン主義やネオコンのような一種のイデオロギーへの傾倒が米国の外交の一側面であることは事実です)、基本的には主権国家の行動が国益に基づくものである現実から離れるわけにはいきません。

具体的な例を挙げてみます。「米軍再編と普天間基地移設」で少し書きましたが、日米間で長きにわたって議論されてきた在日米軍の基地と構成の変更の問題は、米国からすれば、冷戦時代の軍事態勢を抜本的に見直し、新しい国際環境に順応させることがそもそもの出発点でした。一方で、日本からすれば、米国の新しい安全保障政策にパートナーとして協力すると同時に、あるいはそれ以上に、自衛に適切な環境を整えること、また沖縄の負担軽減など国内事情を改善することが非常に重要でした。

両者の利益は必ずしも相反するものではなく、お互いを補完し合う、プラスサムになる形はあります。例えば、米国は「米軍を歓迎しないところよりも歓迎するところに優先的に基地を置くようにする」という方針を明らかにしましたが、日本にしてみれば、沖縄に過大な負担がかかり、住民感情の悪化が基地の能力の低下につながることを懸念していたのであり、それは日本にとっても渡りに船の話であったわけです。こうした日米の利益の一致は、以前から専門家や実務者の間では分かっていたことなのでしょうが、それが望ましいことだと分かっていても、いざ開始するとなると様々な問題に波及し、膨大なリスクや事務負担が予想されることから前進しなかったのだろうと思います。それが今回米国がトランスフォーメーションという戦略的にも国内的にも説明がしやすい大きな視点から、基地と兵力構成の変革に取り組む決断をしたことで、事態が動き出したのは、両国にとって貴重な機会が提供されたと見ることもできます。

ただ、日米それぞれが最も利益を最大化できる状況がまったく重なるとは限らないわけです。例えば日米間で合意された米陸軍司令部の座間への移転は、純粋に日本の国防という視点からすれば大きな意味はなく、米軍の「不安定な弧」を中心とする地域に展開するための拠点作りを見据えたものと見られます(どのような経緯からこの案が出されたのかは交渉に関わる話なので何とも言えませんし、また陸の連携を強化するという広い意味ではもちろん日本にとってもプラスではあるのですが)。一方、空軍司令部を日本からグアムに引っ込めると言われた米国の当初のパッケージ案は、日本の国防に深く関わるものであり、空自の反対もあって実現に至らなかったと言われています(久江雅彦『米軍再編』参照)。日本の防衛が米国にとっても重要であることは間違いない事実ですが、そうは言っても、実際に何かが起こったときにどこまでの被害が許容できるかについて、日本の考えと一致するとは限らないと思います。これは日本の防衛を完全に人任せにすることはできず、自らの主体的な思考も求められるという、当たり前でありながらこれまで自覚されることの少なかった現実の裏返しでもあります。

・・・

同盟の維持の核が利益の一致にあるという現実は重いです。自由と民主主義という価値観の共有が果たす役割は大きいとは言え、それが同盟の担保のすべてと考えることはできないと思います。「外交政策における合理性と価値観」「自由と民主主義の価値観と世界」で、冷戦後の世界においては自由と民主主義の価値観が普遍的なものと認められ、各国の外交を決定づける大きな因子となっていると述べましたが、それは理念的・道義的観点からだけではなく、そうした価値観を重視することが結局はその国にとって利益に適うという現実的な観点から来るところも大きいかと思います。例えばアイゼンハウアーの時代から重きを置かれ、レーガンの時代まで続いた反政府勢力によるクーデターの支援や秘密工作のようなやり方は、現代においてはコストとリスクが高すぎて割に合わず、また、民主主義国との政治的に安定した関係や経済的相互依存こそが自国の利益にも適うということが自覚されるようになったのではないかと思います。

こうした考えに立って、少し見る角度を変えれば、非民主国家との間でもその国が満足できる利益を収穫できるのであれば、何も「オール・オア・ナッシング」の思考で単純に排除する必要はないし、適切とも思えないわけです。例えば「日米同盟とアジア外交」で述べましたが、米国は中国を敵として扱っているわけではないと私は思います。非民主国家だから信頼関係や協力には限界はあるが、役立つ存在であれば活用するし、収穫を得るために許容できる範囲のリスクなら見逃す。多少のブレはあっても、そうした現実主義的・機会主義的なスタンスが基調をなしていると思います。

・・・

日本が民主国家であるという理由で米国が無条件に味方になってくれるという見方はナイーブすぎると思いますし(もちろんインドに対する米国の姿勢に現れているように、それは一定程度の真実ではあるのですが)、日本としても、価値観の重視を含めて、あくまで自国の利益にとって何がプラスになるかという現実主義的な思考が重要と思います。非民主国家の中にも、北朝鮮のような独裁体制から中国のような集団指導体制もありますし、情報のオープンさなども異なりますから、これらを一義的に取り扱うことはできず、それぞれの現実に応じた細かい対応が必要ではないかと思います(「外交と予見可能性」も参照下さい)。また、次回述べますが、そうした冷徹な計算こそが、日米の関係を本当の意味で強固なものとできる要素なのではないかと思います。

<なんか、うまくまとまるのか怪しくなってきましたが(笑)、一応、次回で最後の予定です。>

コメント ( 4 ) | Trackback ( 2 )



« 日米同盟につ... 日米同盟につ... »
 
コメント
 
 
 
いいタイミング (やすゆき)
2006-05-23 18:09:04
やじゅんさん、こんにちは。ダレもコメントしてないみたいなので・・・。



敗戦直後から米軍占領下、そして元々日本は資本主義国でしたから、西側陣営で日米同盟締結ってのは、ほぼ所与のものだったと言えるでしょうね。あれだけ安保闘争の嵐が吹き荒れても、とうとう枠組みは壊れずに現在に至りました。ゆえに、ともすれば「あって当たり前」の日米同盟と言う感覚になってしまうのでしょう。

丁度、米軍再編の動きがある、旧安保締結から50年以上たっている。何のための同盟か、考え直すにはいい時期です。そしてそんな問いを立てた途端、途方にくれる自分が居ます(w
 
 
 
そう思います (やじゅん)
2006-05-26 22:51:42
>やすゆきさん

ツッコミもしにくいような独り言(笑)に暖かいコメントどうもありがとうございます。

確かに、環境というか、時代の雰囲気や条件と離れては、こういう問題を考えることはできないのだろうと思います。それだけに、今だからこそ、ただ存在しているからという理由で日米関係をとらえるのではなくて、もっと主体的・積極的にリアルにとらえるべきなのかと思います。その上で日米のパートナーシップがより強固なものになっていってもらえればと思います。
 
 
 
はじめまして (まりりん)
2006-05-28 15:50:25
 初めてコメントさせていただきます。

やっと国防というものに目覚めたばかりの50代主婦です。

とてもわかりやすく納得のいく記事だと思います。これからも楽しみにしております。

 
 
 
どうもありがとうございます (やじゅん)
2006-05-29 00:42:14
>まりりんさん

はじめまして。どうもありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。内容にあまり自信はないですが、わかりやすく書きたいとだけは思っておりますので。

こちらの記事も参考になるかと思いますので(私もコメントを残しています)、よろしければご覧下さい。

http://journalintimedehache.cocolog-nifty.com/negoto/2006/05/525_1a70.html

ご一緒に勉強させていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。
数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。
 
◎ “ 前向ブログ 引越ししました! ” (◎前向 一歩の~珈琲たいむ~)
◆◇投資・転職・起業のお試し報告ブログ 稼ぎま商学部!◇◆ ※“閲覧無料です。”⇒ 応援クリックお願いします! ◎【前向一歩の~珈琲たいむ~】は BER 1倍! 人気blogランキング・投資(全般)で只今 第1位!! ◆ こんにちは、前向 一 ...
 
 
 
日中軍事バランス補論 開明的な国防政策への試論 (寝言@時の最果て)
 まず、昨日の記事の補足について述べます。昨日の江畑さんのお話は私が直接、「取材