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やじゅんのページ/The World according to YAJUN




私を直接ご存じの方へのご報告ですが、昨日、無事結果が出たのを確認しました。安堵しました。
これからが本当の勝負という心境です。これまで支えてくださった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。これからもご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。

さて、本題ですが、「ロンドン、西アフリカ、ヨーロッパ」で書いたとおり、7月末に西アフリカを訪問しました。

今回は、最初の訪問先であるセネガルについて書きます。

ダカールに4日間滞在しましたが、滞在中は国際機関に勤務している友人にお世話になりました。この記事の末尾にある「食べるラー油」をおみやげに持って行った男が私です。笑

セネガルは、独立以来紛争やクーデターに見舞われることもなく、安定して発展してきた国です。アフリカの中では、しっかりした選挙が行われており、観光資源やある程度の産業の発達もあり、どちらかといえば優等生の国と言えます。

文学や音楽が盛んなことで有名ですね。初代大統領のサンゴールはネグリチュードで有名な詩人ですし、ユッスー・ンドゥール、バーバ・マール、イスマエル・ローらのミュージシャンは世界的に人気があり、ご存じの方も多いと思います。

そんなわけで、世界中のすべての国と地域を見たい知りたいと思っている私にとっても、その関心レベルはかなり高いところでした。
それにしても、西アフリカは遠いし、旅行も比較的ハードなので、なかなか行けないなあと思っていたところ、今回のロンドン行きの縁があり、また友人がちょうどダカールにいるということで、この機会を逃すべきではない!と一気に決断しました。

今回は友人にフルアテンドしてもらい、ダカール市内のあちこちを見せてもらいました。観光地として有名なのは世界遺産ともなっているゴレ島ぐらいでした。もっとも、私なんかは、旅行者が行くとされている観光地よりも、普段日常の生活の様子を見る方が好きで、ダカール市民が利用する市場や友人が通っている空手道場を見る方が楽しかったです。

  

ゴレ島も、奴隷の歴史が残っているという点に特色のある場所なのですが、ダカール市民の海水浴場と化していて、むしろ地元の人の憩いの場になっているのが印象的でした。

  

治安は良いです。ただ、私の滞在中には、ワッド大統領の三選をめぐって大規模なデモが行われ、緊張感がありました。この大統領は、公正な選挙で選ばれた人ですし、元々はそれなりにまともな人だったそうですが、長く政権の座にいるうち、独裁色を強め、最近は憲法が禁止している三選を追求し、多くの国民から批判を受けているとのことです。
(アフリカには、いったん力を手にすると、長らく独裁を続けるというパターンが多いです。ちょっと古い例ですが、ザイールのモブツは30年、ケニアのモイは25年。最近でも、トーゴのエヤデマは38年、ガボンのボンゴは41年(一昨年前にようやく死去(笑))、カメルーンのビヤは35年(現職)。セネガルのようなまともな国ではこんなことにはならないでしょうが、政権交代を含めたガバナンスの難しさを実感させるところです。)
その権勢を象徴する悪しき例として、大統領をモチーフにしたと思われる巨大な像の建設があります(写真)。名目的には、この像は大統領個人の像ではなく、「アフリカのルネサンス」を象徴するものだそうですが、ダカール市民から見れば大統領がモデルであることは明白だそうです。なんだか、トルクメニスタンのニヤゾフの像を彷彿させますね。

欧州(特に旧宗主国のフランス)からは避暑地、リゾートとしても人気があります。道路は(中心部に限りますが)思いの外整備されており、最近は、外資の導入も積極的のようで、外国人(旅行者、駐在者)や一部の富裕層向けに、高級ホテルとショッピングモールもできて、こうしたところだけを見ると、貧困国のイメージはありません。
(ショッピングモールにSamsungの巨大な店があったのが印象的でした。想像はしていましたが、韓国と中国のプレゼンスが高まる一方、日本は商社もメーカーも駐在の規模をどんどん縮小している傾向にあるそうです。この点については、次回のマリ、欧州の紀行文において詳しく書きたいと思います。)
また、ネットのインフラもしっかりしていて、それほど高級ではないホテルでもWi-Fiが通じています。これは西アフリカ全般に言えるそうで、次回述べるマリにおいても、観光地とはいえ、結構な田舎でも通じました。

ただ、そうはいっても、援助をしても時間をかけても、なかなか発展しない、一部の富裕層のみ金が回る、という多くのアフリカの国に共通する問題については、セネガルも例外ではありません。
お世話になった友人は、金融機関に勤めており、融資を通じてセネガルの発展に尽力しているのですが、彼から聞いた話の中で印象に残ったのは、ガバナンスや資源もさることながら、国が発展する上では人々のメンタリティ、おそらく勤勉さや克己心のようなものが重要なんだろう、ということでした。
どうも、セネガルの人々には怠惰な面があって、我慢強くないし、また、愛国心がないというか、教育や自己投資のために外国に出て行くのはいいのですが、その後に母国に戻って発展に尽くすという気持ちがある人が少ないのだそうです。
(念のため述べると、セネガル人は温厚で人柄の良い人たちが多いです。顔立ちは、目が大きくて目鼻立ちがくっきりし、唇が薄く、結構美形な人も多いです。ナイジェリアなどの獰猛な顔つきの人たちとはちょっと違う風情があります。)
なんとなく、国民性とか国民統合といったものを考えさせられました。
歴史教育もどうなっているのかなとも思いました。岡田英弘『歴史とは何か』を挙げるまでもなく、歴史というものは、国民統合の武器なんですよね。
現代のアフリカの国々は、ご承知のとおり植民地の区割りで独立をしていますから、国民国家といってもそのアイデンティティは宗主国に対するレジスタンスという形で外枠を与えられたとも言えます。セネガルも、隣国マリと同じ文明を長らく共有してきましたし、今現在においても、数多くの民族が混在しているとはいえ、西アフリカは通貨や法制度を共有してます。こういう背景からすれば、国民というアイデンティティがどのように形成されているのか、あるいはされていないのか、興味深いところです。ここはもうちょっと勉強してみたいと思います。
(そういえば、アフリカの国をすべて手頃におさえられる本はないかなと探したことがあるのですが、これがなかなかない。『現代アフリカ史』というシリーズがあるのですが、これは記述が古すぎる。『新書アフリカ史』がありますがこれはアフリカの歴史を地域ごとに分けてクロノロジカルに追った本で、各国ごとの現代史は薄いです。これなら『Lonely Planet』の概説を国ごとに読んだ方がはやいくらい。でも、先に述べたとおり、本来アフリカの歴史は現在の国割りで語れるものではないのですから、学問的にはこのアプローチは王道とも言えるのでしょう。)

最後に、魚や鶏肉を中心としたご飯もなかなかおいしかったですね。これは、友人のお店と料理のチョイスも良かったおかげなんでしょうが。それに比べると、隣国のマリでは結構苦労しましたが、それは次回の「マリ紀行」で。

写真はフェイスブックに出しているので、興味ある方はご覧下さい。

・・・
最近読んだ本。

■ 下條信輔 『意識とは何だろうか』 
脳の来歴、科学の限界(中枢のパラドクス)、心の哲学(脳・身体・環境、他者と意識、言語ゲーム)、意識と無意識、これら一連の切り口から自由意志と決定論というアポリアに挑む。その論の運びの鮮やかさは感動的。
心理学と認知行動科学から人間・科学・哲学を語ることには新鮮な興奮があった。
同じ著者の『サブリミナル・マインド』も、認知過程の潜在性のドグマと人間観という壮大なテーマを多くの具体例を挙げつつ掘り下げており、ページをめくるたびに発見があって目から鱗。お勧め。
でも、そんな下條先生の講義が面白かったという記憶はない・・・笑 ま、当時の自分の受容力不足のためでしょう。

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セネガルの友人の複雑な出自 (yagian)
2011-09-09 10:59:50
いつも楽しんで拝読させていただいています。

最近、lang-8で知り合った18歳のセネガルの女の子の出自を聞いて、こんな育ち方もあるのかと印象深く思いました。

富裕層に属しているようですが、父親はセネガル出身、母親はモーリタニア出身のアラブ人で、生まれはケニア、現在は、ダカール在住とのことです。

家では、ケニアの公用語である英語、スワヒリ語、セネガルの公用語のフランス語が混在した言葉を話しているとのことです(学校ではフランス語)。

高校卒業後は、両親からはフランス留学を薦められているけれど、本人は日本オタクで日本留学を希望しているとのこと(本人曰く、自分は「アフリカのセーラームーン」)。

私にはよく区別はできませんが、アラブ人とのハーフであること、ケニア出身であることなど、セネガルへアイデンティファイできない(差別されているとまではいわないですが)という悩みがあるようです。

彼女を見ていると、留学後、セネガルに帰ってくるかどうかよくわからないですね。国民国家を創り上げることは難しいですね。
 
 
 
なるほど (やじゅん)
2011-09-11 08:35:39
>yagianさん

はじめまして。暖かいお言葉ありがとうございます。

なるほど、その女の子のアイデンティティはかなり複雑そうですね。普通のセネガル人よりもさらに国への愛着が相対的になりそうな気がします。

話がちょっとそれますが、西アフリカの人たちのマルチな語学力はすごいですね。ご存じかもしれませんが、セネガルにはWolof、Fulaといった現地語があって、共通の言語同士ではその言葉をしゃべりながら、異なる言語同士ではフランス語でしゃべります。複数の現地語を話せる人も多いです。マリもBambara、Fula、Dogonなどたくさんの現地語があり、フランス語は全員ができます。
インドにも似ていますが、何となく国を超えた言語共同体があるようにも見えます。言語もまた国民国家の一つの要素と言われますから、こういった面も影響するのかもしれません。
 
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