伊達 純のヒロシマ日記

反戦・反核・反基地などの平和運動、反原発運動、反貧困運動、グローバリゼーションの問題などについてヒロシマから発信する

中山成彬国土交通相の三里塚闘争「ごね得」発言糾弾!

2008年09月27日 05時25分53秒 | 政治
 中山成彬国土交通相が、成田空港建設反対運動を行なった三里塚の農民のことを「ごね得」などと述べたことが問題となっている。

「成田反対ゴネ得」「日本は単一民族」 中山国交相「誤解招く」と撤回
(産経新聞 9月26日)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/080926/stt0809261253015-n1.htm

 これはとんでもない発言である。そもそも成田空港建設は、地元の三里塚住民の意向を無視して頭越しに決められたものだ。反対運動が起きるのは当然ではないのか? また、どれだけたくさんの人たちが傷ついたと思っているのか? 土地・建物が強制収用された地元の住民もいる。警察官からだけではなく支援者の中からも亡くなった人がいる。まさに命がけの闘争だったのだ。そんなことは1980~90年代に何度かしか三里塚へ足を運ばなかった私にだってわかる。

三里塚闘争(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E9%87%8C%E5%A1%9A%E9%97%98%E4%BA%89

「戦後教育が悪く、公共の精神が欠けている」「(反対住民らは)公のため自分を犠牲にする精神がなかった。自分さえよければいいという風潮の中で、空港が拡張できなかったのは残念」という発言にいたっては言語道断である。日本国憲法第13条には「すべて国民は、個人として尊重される」とある。これは『注釈憲法』(有斐閣新書)によると「国家とか民族という全体が国家生活の究極の価値ではなく、もろもろの個人が究極の価値であるという個人主義の原理を表明したものである。国家や公共団体における政治やいろいろな制度は、諸個人の平等な人格の発展に役立つかどうかという観点から評価される」と説明されている。個人が国家のために犠牲となって当たり前だった戦前・戦中の日本に対する反省を読み取ることが出来るのではないだろうか? もちろん憲法第13条の後半は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とも書かれている。しかし「公のため自分を犠牲にする精神」とは何なのか? まさに個人が国家のために犠牲となって当たり前だった戦前・戦中の日本の考え方そのものではないのか? また、「麻生太郎が自民党総裁に就任」でも書いたことだが、このような憲法第13条に反する中山国交相の発言は、国務大臣、国会議員をはじめとする公務員の遵守義務を定めた憲法第99条にも反している。そもそも中山国交相は、国務大臣、国会議員としての適格性が欠けているのではないか?

麻生太郎が自民党総裁に就任
http://blog.goo.ne.jp/jundandy_2007/e/9c6054f1e5532407ebc9d29020f19c5f

 また三里塚闘争の主体となった現地の農民の多くは戦前の教育を受けた人たちであり、「天皇陛下万歳!」の人もいたという指摘もある。

TAMO2ちんの日常 「知性の欠片もない大臣」
http://red.ap.teacup.com/tamo2/850.html

 さらに中山国交相は「(空港整備が進む)中国がうらやましい」ということも述べたことが産経新聞の記事には書かれている。これは噴飯ものの発言である。中山国交相は日本を中国のような国にしたいのだろうか? 中国や北朝鮮といった国々を「特定アジア(特亜)」などと呼称するような人たちからすれば中山国交相は、糾弾すべき対象ではないのか?

「日本人=単一民族」言説については、「まだこんなことを言う閣僚級の政治家がいるのか?」という印象である。小熊英二の『単一民族神話の起源――<日本人>の自画像の系譜』『<日本人>の境界――沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮:植民地支配から復帰運動まで』(新曜社)でも読めと言いたくなる。

小熊英二(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%86%8A%E8%8B%B1%E4%BA%8C

『単一民族神話の起源――<日本人>の自画像の系譜』

『「日本人」の境界―沖縄・アイヌ・台湾・朝鮮 植民地支配から復帰運動まで』

 中山国交相は、「慰安婦」問題での調査で「南京大虐殺は存在しない」という報告書を提出した「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の会長でもある。そもそもが非常に保守的、反動的な考え方の持ち主だ。麻生首相と同様に、統一教会との関わりがあることも指摘されている。

中山成彬(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B1%B1%E6%88%90%E5%BD%AC

 繰り返しになるが、中山国交相の「(反対住民らは)公のため自分を犠牲にする精神がなかった」等の今回の発言は、個人尊重、個人主義を謳った憲法第13条に反し、また国務大臣などの公務員の憲法遵守義務を謳った憲法第99条にも反している。つまり中山国交相は国務大臣としての適格性を欠いている。辞任すべきである。


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