太陽光発電シニア

太陽光発電一筋、40年をはるかに過ぎたが何時までも興味のつきない厄介なものに関わってしまった。

肩書に騙されるな

2017-11-14 08:33:01 | 社会観察

定例のエネルギー基本計画の見直しが検討されていることもあって原発や再エネが話題に取り上げられる機会も増えた。新聞の解説頁(かなり専門的な話が1面全部を使って載る、真面目なページである)の論点に東大名誉教授、日本学術会議連会員、原子力安全研究協会会長、工学博士のタイトルで寄稿がなされている。この肩書の一つでもあれば私の人生も変わったかと思われるほど豪華な肩書である。

論点の主旨は「再生エネ難しい需給調整」で天候により変動する太陽光発電、離島の例をあげて出力抑制の必要性が何れ本土にも、夜間発電しないこと、貯蔵に問題があることから太陽光や風力を基幹的なエネルギーとして扱うのには困難がある。原発は廃棄物の最終処分の問題を挙げながらも、無くなると人材も減り、放射線医療などにも支障が出る、中国が今後国内に200基、海外に200基の建設を計画している(だから日本も推進すべきと言いたいのか)、最後にとってつけたようにパリ協定を挙げて多様なエネルギーをバランスよく利用することが肝要と述べている。

御歳75歳とのこと。F1ドライバーが歳が行って免許更新で認知症の症状を指摘されてもなお、自分は誰より運転が上手いと信じるようなもの。この手の再エネ批判で原発を擁護する時代は既に終わっている。先日書いた原発1基分の太陽光は山手線の内側を埋め尽くすという比喩に似ている。相変わらず基幹エネルギーとか言って主役を何処かに担わせるという時代は終わっている。

調整力の点から言っても原発ほど調整が難しいものはない。立ち上げにも時間が掛り、出力調整は未だ出来ない固定出力電源である。太陽光発電は確かに天候に左右され出力調整は難しい。しかし、太陽光発電所の制御はパワエレで可能であり、ある発電所のON,OFF、出力を絞ったりする事は他の如何なる発電より応答は速い。これを複数の発電所を連携すれば尚調整能力は増す。課題は出力抑制問題で明らかなように所有権の問題であり制度は不備である。

離島の問題を出すまでも無く、エネルギーの地産地消には限界がある。もし、この離島が海底ケーブルで本土の大消費地と繋がっておれば問題は可也軽減される。原発だって産地直送で消費地に送られている。電気は産地直送型なのである。夜間は流石に太陽光は無理である。一部は核技術の維持が大目的で原発に任せ、蓄電は必ずやってくるEV(電気自動車)の蓄電池が相当大きな役割を果たしてくれるであろう。

ドイツを始めヨーロッパの国々では日本の何倍もの変動型再エネ(VR)を導入して運用している。蓄電が進んでいるわけでも無い。「運用」でそれを可能にしている。決して再エネを基幹電源にというスローガンではない。電源選択の時代が終わって今は「如何にして、どのようにすればもっと多くの再エネが導入できるか」に腐心している。主役の座を狙うのではなく、より多くするにはどうするかが課題である。

専門分野では素晴らしい功績があるのだろうが、もう少し広い視野でヨーロッパの再エネ事情も調査した上で寄稿された方が良いのでは。そんな時間など無いと言われるなら肩書の一つでもくれたらゴーストライターになります。何せ肩書や権威にすこぶる弱く憧れているもんですから。その時でも太陽光発電が基幹電源とは言わないことだけは約束します。より多く導入するにはの時代だと思っていますから。