Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

ダリアの花、69

2017-03-06 20:09:24 | 日記

 やや間があって、源さんは蛍さんに少し事情を話してくれました。

「あのさっきいた男の人ね、茶色い髪で目の緑色をした人だろう。」

うんと蛍さんが言うと、その人はね、と源さん。

家やこの寺とも少し縁あってね、奥さんと幼いお子さんを残して死んだから、

奥さんと子供の事が心配で時々ああ酷く落ち込むんだよ。落ち込む、気落ちする、元気がなくなる。気持ちが暗くなる。分かった?

なるほど、と蛍さんは思います。

「お前を見て残してきたお子さんを思い出したんだよ。奥さんも思い出したのかもな。」

そんな事を訳知り顔で蛍さんに説明するのでした。俺も澄も子供は無いから、親の気持ちは想像するだけだけど、

やっぱり可なり辛いと思うよ。来た方も残った方もつらいよね。しみじみとそんな事を言うのでした。

 「私と同じ年くらいの子供かしら。」

蛍さんは何となくですが、あの男の人の気持ちを察することが出来ました。何故なら、蛍さんは自分がいなくなったならば、

父が泣くだろうことを知っていたからです。

父は何故か、2度ほど蛍さんに、お前がいなくなったら父さんは泣くぞ、と言った事があったからでした。

よく事情が分からなくても、蛍さんには父親の愛情という物を感じるには十分な言葉でした。

それで、何があってもちゃんとこの世にいなくてはいけないと感じる事が出来たのでした。

蛍さんが何回か復活を遂げるのには、こういった理由も大きな原動力になっているのかもしれません。

幼くても蛍さんは、家族愛というものを何となく理解できるのでした。さっきの男性、父、残された子、自分という立場を想像すると、

目には熱い涙が湧いてくるのでした。残されたお子さんは泣いたでしょうね、蛍さんはぽつりと言うのでした。

源さんの傍らで、蛍さんまでがしんみりと涙を落とし始めたのを見て、酷く怒った声が聞こえてきました。

 「あんちゃん、何で蛍を苛めたんだ。」

それは、何と蛍さんの父の言葉でした。お寺の奥様に変わって、今回は蛍さんの父が彼女を迎えに来たのでした。

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