Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

傘の思い出2

2018-01-19 10:08:30 | 日記

 学業の方を辞めてしまった私は就業の意欲も全く欠いてしまい、半年が過ぎ、その後の翌年正月に、所在無く投稿した某新聞の新春文芸で詩の部門に入選しました。新聞を広げて佳作欄に自分の名前と作品を見た時は、面映ゆく目の覚めるような心地がして感動の新年を迎えた物でした。以降、暫くは詩人を職業としました。勿論自称です。単純なものです。

 単純な私ですが、当時どうしても就業の意欲が湧かなかった為、職業欄に何か書こうとするとこれしか書けなかったのです。海外渡航時の職業欄も「詩人:Poet」でした。これはイギリスへの研修旅行時にもそうでした。

 東京でダメージを受けて帰郷した頃は私自身も大層具合が悪いと感じていましたから、大学の講義で拝聴した「詩人は気がおかしくて当たり前。」詩人には常態も常とは違って目に映る、という言葉に心底心到していました。この言葉は私に強い感銘を与えたのでした。

 『そうか、詩人であれば気がおかしいと言われても変ではないのだ。』それは離婚からこの方、仲人であれ、弁護士であれ、そう言った人々とのやり取りで確かに私が耳にした言葉でした。その言葉に長く精神的に参っていた私にとって、スクーリング中のこの言葉は救いの神ともいえる言葉であり講義でした。

 私は教授のこの言葉を聞いた時に一遍で気分が軽くなりました。『この講義を取って良かった!』ぱぁっと目の前が明るくなり背筋がピンと伸びた気がしました。天啓とまでは言いませんが、久しぶりに胸のつかえが下りた気がしました。しかし、私はその時すぐに詩人になろうと思った訳ではありません。唯、感動を言葉に表す事、書き物をする文学という物に益々傾倒していったのは確かでした。これを契機に、折に触れて何かを文章や言葉に書き表す事、自身の感動を表現する行為が心中深く根を下ろして行ったのでした。


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