今までFさんの話を渋っていた私は、ここでコロッと態度を変えました。
くすくすと笑うと、まあ大体話は分かったわと言います。
「いいわよ、きー君と話しても。」
こう言って、抑えきれずに思わずフフフと含み笑いしてしまいます。
では、と言います。
きー君がFさんの言うように私を好きだと仮定しましょう。
そう言って、
仮定の下にきー君と話をして、付属中学へ行くのを引き止めればいいのよね。
Fさんの言うところでは、それがきー君の為なのね。
と、念を押します。
Fさん、私のこの急変にやや我に返ったようでした。
私の言葉を少しの間口の中で反復していたようでした。
そして、そう、きー君の為、そうなの。
だから、仮定でもいいからJunさん、彼を引き止めて欲しいの。
再三の彼女の申し出に、私はこの友人の為と折れるのでした。
このように、私達2人の間で話はまとまったのでした。
それにしても、と私は思います。きー君自身は付属に行きたくないのかしら?
本当にFさんの言うように行くか行かないか迷っているのかしら?
私だったら、と、思います。
折角受けて合格したんだから、自分が最優秀だと証明されてこんなに嬉しい事は無い、
行きたいに決まっているのに。と、単純に考えるのでした。
それでもう一度Fさんに念を押します。
本当にきー君は付属に行くかどうか迷っているのね。
合格して喜んでいて、行こうと決めている訳ではないのね?
そう、迷っているって、きっと…、Fさんはそう言葉を切って、
曖昧な表情の中、きっと、行きたくないのよと答えるのでした。