第１０話 I'll give you all my love

２０歳（実年齢２２歳）となったヌマンシアでの２シーズン目

俺はほとんど毎試合スタメンとして出場していた。

幸い、ヌマンシアのような弱小チームには

スペインリーグ以外に出場できる試合がなく（スペインカップは速攻で負けた）

フル出場しても体力的に不安はなかった。

そうして訪れたリーグ終盤戦、ヌマンシアは

残り３試合を残して９位というありえない位置に居座っていた。


監督「((((;゜Д゜))))アワワワワ・・・どーしよ？欧州カップ狙えちゃうよ・・・。」

オーフェル「監督、落ち着いて下さい。そこは喜ぶところです。」


若きチームリーダー、オーフェルマウスがたしなめる。


監督「( ゜Д゜)ハッ!そ、そうか・・・。うん、まぁ、その、なんだ、みんなガンバレ。」


・・・なんて士気の上がらねぇミーティングだ・・・


そうして始まった対オサスナ戦、ヌマンシアはオーフェルマウスを中心とした

攻撃で幾度となくオサスナゴールを脅かしていた。

しかし、点が入らない。

それもそのはず、２ＴＯＰを担うトケ＆モルドバンは

（おそらく前節の疲労が抜け切っていないのだろう）

二人してピッチに土下座している状態だった。


オサスナの牙城を崩し切れぬまま迎えた後半、

４０分を過ぎてもなおその均衡は保たれたままだ。


魚住「引き分けか・・・まぁよしとしよう。。。」


俺を含め、スタジアムにいたほとんどの人間が引き分けを受け入れようとしたその時、

土下座ブラザーズの一角、モルドバンが右コーナー付近で倒された。


絶好の位置でのフリーキック、ベンチからの猛烈な指示が飛ぶ。


監督「リマ！上がれ！！ペドロ！上がれ！！ええぃ魚住！お前も上がっちまえ！！！」


監督の目が(＄)(＄)になってる・・・。


俺はペナルティエリア内左側に陣取る。

おそらくこれが最後の攻撃だろう。オサスナもＦＷ一人を残し

全員ペナルティエリア内に入って来た。

残り時間は約３分。

時計を確認したオーフェルマウスがゆっくりと助走を開始したその時・・・






ｗｗヘ√レｖｖ－－（゜∀゜）─ｗｗヘ√レｖｖ─







怒号のようなスタジアムの歓声が消え去り

あれだけ晴れていた空が漆黒の闇に包まれた。


・・・そういえば、ヴィンセントから聞いたことがある。


ヴィン『一流の選手は、集中力が極限にまで高まったその時、

　　　　フィールドの全てを支配する力を手にします。

　　　　その力はあらゆる雑音を消し去り、青空をも消し去り、

　　　　さながら連続で発動するザ・ワールドのように

　　　　全ての者をスローモーション状態にさせるでしょう・・・。』


・・・最後の方に意味不明な単語はあったが、これが・・・これが・・・

これが一流選手のみが見ることの出来る景色か！！！


コマ送りのように動くＤＦをかいくぐり

全体重を乗せて叩き込んだヘディングシュートは

誰にも触れることなく一直線にゴールマウスに吸い込まれた・・・。


オォオォォォオオォオォ

静寂が一瞬にして歓喜の声に打ち破られる。

仲間に手荒な祝福を受けながら、促されてコーナーフラッグに向けて走り始める。

ゴールパフォーマンスなど考えてはいなかった。

俺は気持ちの高ぶりを抑えることなく、ただただ全力で走った。


「やった！！やったぞ！！！」


しかし、疾走する俺の両足はすでに限界が来ていた。

スピードに耐え切れず動かなくなる両足。


（やばい・・・倒れる！！！）


記念すべき初ゴールで転倒、そんな恥ずかしい真似はできない！！！

必死に両手を地面に着きふんばる俺

しかし、スピードに乗っていた俺の体はそれでは止まらず

体、両足共々宙に投げ出され、側転のような格好になった。

２ｍの巨体で側転、サポーターも湧き上がる。


魚住「やばい・・・これいいかも。」


にやけつつ前方に目をやると・・・両足の先に

すでにコーナーにたどり着き、サポータの声援に応えるオーフェルマウスの股間があった。


結局その得点が決勝点となり、７位に浮上したヌマンシアだったが

絶対に負けられない残り２戦、

土下座ブラザーズと、股間を抑え土下座するエース、

そして、それに平謝りするかのごとく土下座する俺の奮闘により


・・・見事な大敗を喫した。。。。



ーシーズン結果　ヌマンシア１３位ー


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奇特にもこの日記を読んでくださる方々、
いつも長くてほんっとにすいません(´・ω・｀)
次回からはちょっと短くしなきゃなぁ・・・。


あ、今コンフェデ始まりました。
日本ガンガレ！！