産業カウンセラー日誌

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病院職員へのストレスチェック実施

2016-12-28 15:37:50 | ストレスチェック
産業医選任義務と衛生委員会設置義務のある病院(医療機関)などの50人以上の事業所であれば、病院職員に対してストレスチェックを実施しなければなりません。

病院におけるストレスチェック手順
ストレスチェック制度の実施に先立って、病院職員への通知ならびにストレスチェック制度の実施体制の確立が重要な課題になりますが、病院長・理事長など事業者は、ストレスチェックを円滑に実施する体制の整備や個人情報保護等をも含めた対応について職員へ十分な説明をする必要があります。

その際、病院長・理事長など事業者がストレスチェック導入についての方針等について事業場内で表明することが必要です。病院長・理事長など事業者の表明に続いて、衛生委員会の審議や体制や個人情報保護などの対応が検討され、ストレスチェック制度の実施に関する規程や就業規則の規定の整備が行われて、円滑な実施に向けてスタートすることになります。

病院長・理事長など事業者は、職員に対して、医師、保健師または厚生労働大臣が定める研修を修了した看護師若しくは精神保健福祉士によるストレスチェックを行い、ストレスチェックを受けた社員や職員労働者に対して、ストレスチェックを実施した医師等(実施者)から、その結果を直接本人に通知させます。

ストレスチェック結果の通知を受けた職員のうち、高ストレス者として選定され、面接指導を受ける必要があると実施者が認めた職員から申出があった場合は、病院長・理事長など事業者は、当該職員に対して、医師による面接指導を実施します。病院長・理事長など事業者は、面接指導を実施した医師から、就業上の措置に関する意見を聴取し、医師の意見を勘案し、必要に応じて適切な措置を講じることになります。

病院におけるストレスチェック実施に関する留意点
労働安全衛生法規則第52条の10(検査の実施者等)第1項には「(労働安全衛生)法第66条の10第1項の厚生労働省令で定める者は、次に掲げる者とする。①医師、②保健師、③検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師又は精神保健福祉士」とありますが、第2項「検査を受ける労働者について解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者は、検査の実施の事務に従事してはならない」と規定されています。

医療機関では病院長が産業医を兼務されている場合があります。産業医がストレスチェック制度検査の実施者になることが望ましいのですが、病院長であれば、当然「解雇、昇進又は異動に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」になりますから検査実施の事務に従事することはできません。*産業医は、法に基づき、労働者の健康確保のため、事業者に対して勧告することができますが、法人の代表者等が産業医を兼務した場合、職員や社員の健康管理と事業経営上の利益が一致しない場合も想定され産業医としての職務が適切に遂行されないおそれがあるため、これを禁止する改正省令が2016年3月 31日に公布され、20179 年 4 月 1日に施行されろことになっています。つまり、病院長(医療法人理事長)は産業医を兼務することは禁止されることになります。

厚生労働省が作成した「ストレスチェック制度関係Q&A」のQ29は「病院長がストレスチェックの実施者となることや、面接指導を実施することは可能でしょうか。なれない場合は、誰が実施すればよろしいのでしょうか。」との問いになっています。そのQ29の回答は次のとおりです。

A 病院長は一般的に人事権を持っていると考えられるので、ストレスチェックの実施者にはなれません。このため、人事権を持っていない、他の医師や保健師、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士から実施者を選ぶことになります。

一方、面接指導の実施については医師であれば制限はしていませんので、病院長が携わることは、法令上、問題はありません。ただし、病院長が面接指導の実施者になることにより、労働者(職員)が申出を躊躇したり、適切な事後措置がなされないおそれがあるような場合には、制度の趣旨に合致しないこととなるので、適切な運用がなされるように面接指導を実施する医師を選定していただきたいと思います。

つまり、病院など医療機関におけるストレスチェック制度実施に関する第一の留意点は、病院長は当然人事権がありますので病院職員のストレスチェックの実施者にはなれませんが、面接指導の実施については病院長が携わっても法令上問題はないということです。しかし、法令上問題はないと言っても、病院職員が面接指導の申出を躊躇するかもしれない、または適切な事後措置がなされないかもしれない懸念がある限りは、慎重にしなければならないでしょう。
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