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脳科学でわかるネコのこころ(最終回)

ようやく最終回。脳科学からわかるネコのこころのポイントをおさらいしてみよう。
そのポイントから“ネコはヒトをどうみているか”を想像してみよう。



9.脳科学でみたネコのこころの11のポイント
 これまでの脳科学からわかったネコのこころのポイントをまとめると、こんな感じ。
●ネコの感情のほとんどは脳の構造上、怒りや恐怖がメインで、安心・安全か、不安・危険かを
 基準に判断する傾向が極めて強い。
●前頭葉だってちゃんとあるので、喜びや悲しみも、ちょっとぐらいは感じている。
●新皮質があるから、ちょっとぐらいは論理的思考や判断もできる。
●ちょっとしかないけど前頭連合野だってあるから、思考や理性だって多少は働く。
●ネコは状況を部分的に(段階的に)把握して判断する。
●長期の記憶力だってある。特に嫌な記憶は忘れない。
●ひょっとしたら数分先ぐらいのことは、想像できるかもしれない。
●筋道をたてて考え、本能的感情をコントロールする理性も、ちょっとはある。
●“自分”というものを、ちゃんと持っている。
●特にイヌやヒトのような群れではなく、単独行動動物なのでマイペース。飼い主とは対等な立場
 であって、主従関係の意識はない。
●ネコには本能だけでなく、理性的な愛もある。

10.ネコはヒトをこう見ている
 ネコのこころのポイントからわかるヒトがどう見られているかを考えてみた。
●とにかく体が大きくて力が強いので、恐怖か不安を基本的には感じる。大声や乱暴な取扱い
 にはとてもストレスを感じる。
●ベランダに出すとか、ブラッシングをしてくれるとか、ときどき喜ばせてくれる楽しい相手。
 楽しい相手という対象は、自然界にはいないので貴重な仲間。
●歯磨きやらお風呂やら通院やら、例えネコのためにしてあげていても、理解してくれるだけの
 理性はない。理解してもらおうことを期待するだけヤボってこと。やっぱりキライなものはキライ。
●いっしょの縄張りにいる者として争いごとはせず、できれば仲よくしていたいと思っている。
●従属しようなんて思っていない。ヒトはご主人様じゃない。あくまでも親か同居人のレベル。
 自分は自分。だから反抗もすれば、大キライにもなるし、イヤなら家から出ても行く。
●腹が立っても、縄張りに住む仲間だから、余程でなければ爪も牙も本気で立てたりしない。
●想像力が働かないので、いつもと違うことをされるのが苦手。
●理性的な愛をもつので、ただゴハンをくれるだけのヒトより、遊んでくれたり、撫でてくれて
 愛を感じるヒトの方に、より一層の愛を感じる。
●一度嫌いになるとトコトン嫌いになり、慣れるまでには何倍もの労力が必要になる。
●自分に安全や安心を提供してくれる世話してくれるヒト、自分に恐怖や不安を与えるいじめる
 ヒトのことは、記憶していて忘れない。
●状況を全体として捉えられないから、怒られても理解ができない。ただ恐くなるだけ。
●外見、ニオイ、声などのうち1つの要素だけでは、ある特定のヒトだと判断することはできず、
いくつかの要素の組み合わせで特定している。

11.ネコと暮らす礼儀作法
 ネコがヒトみているポイントからわかるネコと暮らすうえでの礼儀作法を考えてみよう。
●不安や恐怖心がもともと強いので、できるだけストレスをかけないように、生活音や強引で
 乱暴な取扱いはしない。
●自分のペースをできるだけ尊重してあげる。
●いつもと違うこと、または、はじめてのことをする時は、できるだけストレスをかけないように
 気を使ってあげる必要がある。
●遊んだり、スキンシップしたり、声をかけてあげたりする。
●歯磨きやお風呂など嫌がることをする時は、できるだけ嫌いになってしまわないように、 
 嫌がったら一度手をとめるようにする
●怒ってもまったくムダ。嫌われるだけなのでやめておく。

【おわりに】
ネコにもこころがあるなんて当たり前。
要は研究が進んでいないから、科学的には断定できないという意味らしい。はっきりとしなかったことを
知ることができて、モヤモヤがだいぶ晴れた気がする。
できるだけ、親バカネコバカぶりを抑えてまとめたので、理想も夢もないですがすごく近づけた気がする。
ただ、特にヒト以外の脳のことになると、かなり曖昧な情報しかない。その点はかなり消化不良。
これ以上は、ネコといっしょに暮しながら考えなさいってことなのかな。

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脳科学でわかるネコのこころ(第5回)

前回までは、ネコの脳からわかるネコの感情、
そして、こころの大枠を決定づける記憶力と想像力を勉強してきました。
さぁ、いよいよ、ネコのこころにようやく突入!

6.ネコのこころ
【こころに関連する定義】

 はじめに、ことばの定義をしておかないと、ややこしい。
●『こころ=感情+理性』 
●こころ …感情や理性となってあらわれる肉体と違って形のない働き。
●感情 …刺激に応じて変化するきもち(喜怒哀楽など)。
●理性 …感情に動かされず、筋道をたてて考えること。
●脳科学では、理性のためには、前頭葉と新皮質が必要とされている。



 ネコに感情があるのは明らか。じゃあ、理性はあるのか?
ネコに理性があれば、めでたくネコにもこころが宿っていることになるわけだ。
感情だけなら、こころとはいえない。それはただの本能にすぎない。
要は、こころとは「気持ち」と「考え」の総体のこと。本能だけじゃなくて、自分の考えで
生きられる力のこと。
こころとは、その対象が経験してきたことが反映された行動をする個性のあるものになる。
 でも、脳科学の一般論ではネコに理性どころか、こころの存在が認められていない。
ここまで勉強してきたように、ネコにも前頭葉も新皮質もあるから、
筋道をたてて、ちょっとぐらいなら考える脳はもっている。
つまり、理性もちょっとぐらいは働くはず。
・理性は、感情をコントロールする。つまり、我慢みたいなものだな。
 本能に任せず、経験を積んできた記憶から考えて判断するということだから。
・それは取りも直さず、りっぱに“自分”というものを持っていることになる。
・種族の本能だけでなく、ちゃんとこころをもって自分の考えで生きている。
じゃあ、ネコにもこころがあるってことじゃん!
 そう。脳科学の構造上でも否定できないはず。このことはただのネコ好きの主婦のたわごとでは
なくて、本当に学術的にもいわれていることらしい。
「証明できないでいるだけ。」(「動物の心」ドナルド・ドーキンズ著)
 こんな例があった。
テレビで野生の母ライオンがゾウに触れてニオイをつけてしまった子ライオンを、食べてしまった例が
紹介されたことがあった。ライオンは言わずもがな、ネコの親戚。
ある日、ゾウがライオン一家に突進。1匹の子ライオンが蹴散らされ、離ればなれになってしまった。
母ライオンは必死になって数日後になんとか探しだして看病を続けた。ところが巣には運ばず、
離れた場所で看病を続けている。ゾウの強いニオイがついてしまっていた。他の動物からすれば、
目印みたいなもの。もし、連れ帰ればその子だけじゃなく、他の2〜3頭の子ライオンまで
他の動物の犠牲になる。
母ライオンは何日も離れた子供たちに乳をやりに行ったり来たりを繰り返した。なんとか両方育てて
やりたかった証拠。できるだけの看病をした。必死になめてもなめても、ニオイは消えない。
このままでは母の留守中に他の子に危害が加わることを考えて、最終的に殺害に及んでいる。
母ライオンは考え抜いたあげくに、決心して子ライオンを頭から噛み砕いた…。
これを本能的感情だけでは、到底片づけられない。感情ではなく、感情をコントロールし、
考えに考え抜いた理性的行動以外のなにものでもないと思う。
 ライオンだけじゃない。川辺で子ガゼルを襲っているワニに突進して助けあげ、必死に起こして
あげようとしたカバの姿を映像で観たこともある。
 ってことは、ネコの理性的な生態を具体的に証明していけばいいんでしょ?
ある。親ばかを抑え込んでも断言ができる。ライオンやカバのような劇的な場面ではないけど、
その証拠はこの目で見ている。
 保護したばかりのネコは、たとえ知っていても、なかなかなじみのない家で用は足さない。
ジュルがそうだった。
初めてうちに連れてきた時、ジュルが用を足していた場所の土を袋につめて、トイレに敷いてニオイを
嗅がせておいたので、どこがトイレかは初めてでも認識していたはず。その証拠に、2回目に連れて
きた時は、すんなり同じトイレで用を足した。
ジュルは本能では用を足したいんだけど、まさか初めてきたヒトの家で、そんな無防備な姿は見せら
れなかったんだろう。記憶から考えて、ヒトに油断してはいけないと判断したんだと思う。
そこで自分で考えて我慢していたらしい。グッとこらえて、ノラの端くれとして自分を守っていたみたい。
その証拠に、元の場所に戻しに行くと、ダンボールから飛び出して猛然とダッシュして、いつものトイレ
の場所に直行!ジョジョジョジョ、ジョーっと、それはそれはビックリするぐらい大きな放尿音を深夜の
住宅街に響かせた。
あの時は、「我慢してたんだぁ…。悪いことしたなぁ…。」と、いい大人が2人して、夜中にネコの
おしっこを眺めながら反省しきりだった…。
わたしはこれまでの勉強とこの目でみた実感で、断言できる。
ネコにこころはある。ただのネコ好きとか親ばかとかじゃなくって、本当にネコにこころはある。
今後もこういうネコの理性があることを証明する生態を観察していこうっと。

7.ネコの愛
●愛 …かけがえのないものを大事にすること。
・子ネコを育てる母ネコや、仲睦まじいカップルの姿は、まさにかえがのがないものを大事にする姿。
ネコにも愛はあると断言できる。
・子を守るとか繁殖のために近づくといった“本能的な愛”と、他の猫への思いやりのような
“理性的な愛”に分けられると思うけど、わたしは両方ともこの目でみたことがある。
・ネコは挨拶を交わす。ネコとは違う種族であるヒトにさえも、挨拶を交わしてくれる。
 それ自体、他者への配慮であり、理性的な愛(記憶から判断して本能的な感情をコントロール
した結果生まれる愛)の表現といえる。

《 第5回のポイント 》
●ネコにもこころがある。
●筋道をたてて考え、本能的感情をコントロールする理性も、ちょっとはある。
●“自分”というものをちゃんと持っている。
●ネコには本能だけでなく、理性的な愛もあると思う。




そうそう。きょうの『Tokyo,Boy』、はじめて見たけど…。
反応も返答もない。東京の放送局なのに寂しいかぎりです



【コメントいただく際のおねがいです】
『脳科学でわかるネコのこころ』に関しては、いつものようにおひとりずつに
お返事できませんが、何卒ご了承ください。
連絡先不明で不快なコメントは、これまで通り、サクッと、ズバッと削除します。
科学者さん、学生さんからのコメント大歓迎!
見解は単なる批判じゃないから、遠慮せずにいろいろ教えてください!
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脳科学でわかるネコのこころ(第4回)

前回は(って、いつだっけ?)、ネコの脳の実態から、ネコの感情を勉強しました。
そこで今回はこころを形づくる大事な要素になる「記憶力」と「想像力」を勉強します。



4.ネコの記憶力
【記憶の保存先】
●短期記憶 …海馬(脳幹の一部)
●長期記憶 …大脳(主に頭頂連合野と側頭連合野)

・ネコにも大脳の頭頂連合野と側頭連合野があるので、長期の記憶もできることがわかる。
 だから、ネコをなめない方がいい。恨まれたらそれこそ、ずっと覚えているかも。
・証拠にヒトの行動パターンを見事に記憶している。特に嫌な記憶のよさには
 目を見張るものがある。
・記憶力をとりあえず備えるのは、きっと生存していくためなんでしょう。
 危険な目にあって、すぐ忘れちゃうんじゃ、生き抜いていけないものね。
・記憶力なんてないという科学者もいるけど、実話が映画化された「グース」のような
 渡り鳥の行動を、どう説明するんだろう?少女が軽飛行機で越冬地まで引き連れて
 行ったお話。渡り鳥はこのように訓練して旅程を記憶するのだそう。そして毎年行き来する。

それじゃあ、記憶力の反対語、想像力はどうなんだろう?
ヒトでは記憶力があればあるほど、理屈では想像力も高くなる。
なぜなら、想像は記憶の範囲で展開されているものだから。
もちろん、応用力も必要になるのが前提だけど。
逆に、たとえ前頭葉が発達していても記憶のない頭の中では想像はできない。
ネコの場合はどうなんだろう?

5.ネコの想像力
ヒトは史上類をみない想像力豊かな動物。だから宇宙にまで行っちゃった。
その想像力を生むのは、基礎のきそで勉強したように、前頭葉
最もヒトに近いといわれるチンパンジーでさえ、ヒトの前頭連合野の容量の約1/6しかない
そのチンパンジーはどのぐらいの想像力かというと、道具をつくるほどレベルが高いことは知られている。
でも、そのチンパンジーでさえ、せいぜい2時間程度先のことを想像するのがやっとだそうだ。
じゃあ、ネコはどうなんだろう?
ネコにもヒトの親指の爪ぐらいのちいさい前頭葉がある。前頭連合野もほんのちょっとはある。
だから、ひょっとしたら数分先ぐらいのことは、想像できるかもしれない。
例えば、病院に連れて行くときは、想像力をフル回転してると思う。
「あっ、あのカバンは!わたしの記憶が確かなら、きょうは病院に連れて行かれるんだ!
嫌だ!どうすればいい?…(想像してる)…、逃げなきゃ!」
たぶん、このぐらいのほんのちょっと先の想像が限界。でも結局いつも捕まっちゃうけど…。
想像力をもっと働かせて、いつも捕まっちゃうから違う隠れ場所を探そうとか、
見つけておこうとは思わないし、思えない。そこまで先を考える想像力はない。
だから飼い主は助かるんだけどね。
そういえば、『ねこに未来はない』(作・長田弘)なんていう本もあったなぁ。

《第3回のポイント》
●記憶力はある。特に嫌なことの記憶力がある。
●想像力は皆無に近い。
●ひょっとしたら数分先ぐらいの想像力はできているかもしれない。




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脳科学でわかるネコのこころ(第3回)

3.ネコの感情


なにを考えてるの?

【感情別の脳の反応部位】
●怒りや恐怖  → 古皮質
●喜びや悲しみ → 前頭葉の皮質


・喜びと悲しみに関しては、ヒトや霊長類の一部に限られるケースもあるほど、
 高度に発達していないと認められない。
・ネコにの前頭葉は小さいので、ほとんどの感情は古皮質、つまり、怒りか恐怖がメイン
 これが「ネコは安全か危険かで物事を判断している」といわれる所以になっている。
・たしかにネコの感情のほとんどが、安心・安全か、不安・危険かを基準にしている
 例えば、次のような行動を親バカ根性をかなぐり捨てて、つきつめて考えてみると、
 大抵は本能に由来していたんだと認めざるをえないと思った。
a).独りにして出掛けようとするとイジける→ゴハンが食べられなくなるかもしれない「不安」
   寂しいとか悲しいとは違ったのかな?
b). なでられてゴロゴロいう→「安心」
  「安心=喜び」にはならない。「喜び」は“感動”といえる反応でなければいけない。
c). ゴハンの時鳴く→自己主張→必死→もらえないかもしれない「不安」
d). お風呂に入れると哀しそうに鳴く→「恐怖」

・サルでさえも前頭葉をほとんど使っていないといわれているので、ネコなら尚更のこと。
・でも、ちょっとぐらいは前頭葉が働いて、喜びや悲しみを感じていることもできる可能性はある。

 例えば、習慣でベランダに出していた時、スキップを踏んで飛び跳ねて「喜び」、一歩走り出る。
(ジュルは誰がなんと言おうと本当にスキップを踏んだもん!)
飛び跳ねてスキップを踏む=“待ってました!”という期待を感情的に発露する
=これは「喜び」以外のなにものでもない。
ベランダに出る目的に、怒りも不安も恐怖もなく、ただ楽しみな場所にいけることを期待している。
 「悲しみ」はまだ見たことがないなぁ…。検査のために病院に置いていった時も、キョトンとしてた。
特に鳴いたりしなかったそうだし。
 これからも具体例を探して、検証していきたいと思った。
もし、みなさんのウチのネコで、喜びと悲しみの具体例があったら、ぜひ教えてくださいね。

《 第3回のポイント 》
●ネコの感情のほとんどは、前頭葉が小さい脳の構造上、怒りや恐怖がメインであり、
安心・安全か、不安・危険かを基準に判断する性質が極めて強い。
●親指の爪ぐらいの前頭葉はあるから、ちょっとぐらい喜び・悲しみを感じるはず。


次回は『ネコの記憶力と想像力』に迫ります!




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脳科学でわかるネコのこころ(第2回)

さて、前回(7/2)は脳の基礎のきそを学びました。
いよいよ今回から、ネコの脳を勉強していきたいと思います。

2.ネコの脳


※ちゃんとホンモノの写真をみながらダンナに描いてもらったのでかなり正確です。
わたしはちと凝視できなかったです…


【脳の大きさ】
ネコ:約30g サル:約90g ヒト:約1300g 
すくなっ!((Д;))) ヒトの1/40以下だ。

【脳化指数】
体重に占める脳の重さを示す指数。高い値ほど、知能が高い動物ということになる。
ネコ:0.12 イヌ:0.14 ヒト:0.86 
なんだぁ〜*´`*) イヌと変わんないじゃん。
当然、脳の大きさも違うので、一概にはいえないけどイヌ並みに芸ができるかもしれないし、
ヒトの呼びかけも理解しているかもしれない。わざと知らないフリをしているのかもしれない。
そのぐらいの知能が高い可能性はあるということ。

【大脳に占める前頭連合野の比率】
ネコ:3.5% サル:11.5% ヒト:約30% 
精神や判断を司る前頭葉の中でも、特に思考・理性の働きをもつ
前頭連合野は、まさに“こころ”の中枢
そして、働きの異なる脳を関連づけて、モノを判断する重要な役割をする。

【その他】
●ネコにも前頭葉がヒトの親指の爪ぐらいの大きさはある。
●ネコにも新皮質はある。だから、論理的思考・判断・高度な知能活動が、
まったくできないとはいいきれない

●その新皮質のなかに、思考や理性の働きをもつ前頭連合野がほんのちょっとだけどある。 

 連合野が大きいヒトと小さいネコでは、同じ場面に出くわしても感じ方に大きな違いがでる。
 わかりやすく説明すると、例えば、背後にいるダンナに気づいていないジュルとわたしが、
わたしたちの前にある鏡に写っているダンナの姿を見た場合。
わたしは目で鏡のダンナを見てひと目で、「あっ!ダンナが背後にいるんだ」と理解して、
後を振り返りダンナをみつける。
別に声を聞かなくても、抱きつかなくても、ニオイを嗅がなくてもダンナだとわかる。
ジュルはまず目で鏡のダンナを見て「ダンナさん?」とはなんとなく気づくことはできるそうだ。
わたしなら男でこのぐらいの背丈でこの顔で…と一遍に全体を見てダンナだと判断できるけど、
ジュルの場合は、鏡のダンナのニオイを嗅いで違うと判定する。
後にいるなんて想像できない(考えが巡らない)。
しばらくして後にいるダンナのニオイで気づくかもしれない。目でとらえて、声が聞けて、ニオイを嗅いで、
はじめて「あっ、ダンナさんだ」と気づく。感覚を積み重ねて、はじめて状況を把握していく。
ヒトはひとつの感覚で総合的に判断できる能力をもつ。それが連合野の役目。
ネコは連合野が小さいから、いくつもの感覚を積み重ねてからでないと判断できない。

だから、ネコが相手を特定するために挨拶を交わす時は、姿や声だけでなく、
ニオイを嗅ぎあう必要がある。
ダンナが「ただいま!」っと帰ってきて迎えにいったとしても、それはその時にダンナだと
判断はしていない。ダンナだと判断するのは、姿、声、ニオイを確かめて、ゴロンと横になって
甘えてはじめて、ダンナだと判断したといえるのかもしれない。
 つまり、ネコは状況判断を一遍にはできない。連合野がヒトほどないから、段階的に
各脳が反応していって判断することになる。
ヒトは状況を一遍に総合的に把握して判断できる。ネコは状況を段階的に把握して判断する。
だから逆にヒトは目を除けば、ネコのような優れた聴覚や嗅覚機能が発達していない、
もしくは退化したともいえる。
一見して判断する脳を持って目に頼ることになったからだろう。
“思い込み”はヒト特有なのかもしれない。たぶん、ネコにはない。
すべての感覚を研ぎ澄ませて判断するためには、“思い込み”ではなく、事実を把握している
必要があるから。
 また、連合野が発達していて総合的に判断できれば、「キライなところもあるけど好き」というような
ゆとりのある感情を持つことができても、部分や局所的に把握して判断するから、
キライになると、もう大キライ。そこしか見ない。
好きになってもらう・慣れさせるのはかなり厄介になる
ってことだ。
思い当たるなぁ…


《 第2回のポイント 》
●前頭連合野が小さいので、ヒトのように総合的に一遍ではなく、
ネコは状況を部分的に(段階的に)把握していきながら判断する。
●ある特定のヒトを判断するのに、見た目・ニオイ・声などを積み重ねて特定していく。
●ちょっとしかないけど前頭連合野だってあるから、思考や理性だって働くはず。
●新皮質だってあるから、ちょっとぐらい論理的思考や判断もできるはず。
●思い込みはしない。事実だけを素直に捉えるだけ。
●一度嫌いになるともう大嫌い。誤解を解いたり、好きになってもらうには時間がかかる。


次回は『ネコの感情』の本質に迫ります!





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