「脊柱管狭窄症と膝痛」の患者さんがお見えになりました。
今日は「澤田流太極療法」による「脊柱管狭窄症と膝痛」の治療について実際に即して書いてみたいと思います。
患者さんは年齢80歳代女性で「脊柱管狭窄症」の病歴を持ち、「膝痛」「間欠性跛行」があり左足の血行が悪く常に左足が冷たい状態で、湯たんぽの低温火傷のあとが酷い状態でした。
1、まず最初に脈診をします。
2、そのあと腹診をします。ここまでは「積聚治療」と変わりありません。
3、「澤田流」では全体治療のための21の基本穴が決まっておりますが、高齢であり、ドーゼオーバーを避けるため少数穴を選定し刺鍼しました。
今回は一番鍼を使い刺入深度は切皮程度としました。 使い方は留気鍼に似ていると思います。
4、仰臥位で治療を開始し、基本穴以外に左側の寒府・血海・足三里に置鍼、左足の低温火傷のあとが酷いので、あえて透熱灸を使用せず鍼のみとしましたが、膝眼・膝蓋骨周囲をネパール棒灸で温補しました。
ネパール棒灸は温補作用が強く灸痕が出来ないので私は「膝痛」には必ず使用する事にしていますが、煙が凄いので換気設備のある治療室以外では不向きかも知れません。
寒府は澤田流の独自穴で膝下一切の病を主治する経穴ですね。
5、置鍼とネパール棒灸での治療により左足の血行が改善、「膝痛」が軽減したのを確認後、伏臥位での治療に移りました。
6、伏臥位で左下腿の委中・裏陽陵泉・承山・崑ロンに置鍼、刺入深度は鍼管を使用し無痛で切皮程度。
7、さらに「脊柱管狭窄症」の治療のため腰部を観察したところ、以前の灸痕が掻破され酷いため、腰部における治療は、腎兪・臀部阿是穴2ヶ所に置鍼、灸は無痕灸を採用し命門穴に箱灸を置き温補としました。ちなみに当院で付けたお灸の痕ではありません。
患者さんから「腰が温かくて気持ちが良い。」との感想がありました。
灸痕に関して、免疫力を上げると言う考え方はあります、私も必要であれば透熱灸で灸痕を付けることもありますが、高齢者は基本的には無痕灸としております。
その理由は高齢者は肌が弱いことと、化膿する可能性を考慮してです。
8、しばらくすると箱灸をしている命門穴から左委中に対して「響く感じがする。」と患者さんからお話がありましたので、しばらくそのまま温補した後に抜鍼し治療終了としました。
治療終了後、患者様から「足の痛みが軽くなった、こんな気持ちの良い鍼は初めて。」と喜ばれました。