にきにっき跡地。

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猫と蜥蜴の小噺。

2008-01-26 | 歪みの国のアリス
「花を、ですか」


柄にも無く 細い目をめいっぱい拡張させて、
これもまた柄にも無く 口をポカンと開けたまま自分を凝視している。
目の前に居る彼は本当にあの蜥蜴だろうか、疑いたくなる表情だ。
何となく 「シテヤッタリ」 感をひしひしと感じる。


「何だい、その顔は」
「開いた口が塞がらない、というのは本当に起こることなのですね」
「アイタク? 」
「何でもありません」


ようやく、いつもどおりの表情に戻った蜥蜴を見つめる。


「それより、花を贈りたいんだよ」
「誰にですか」
「アリスに」
「それは良いですね」


蜥蜴の、いつもより笑みを深くした表情。
珍しいものだから、ちょっとの間 見ていてやると、
その表情を動かさないまま、仕事机の上に置いてあったティーカップに口をつけた。


「しかし、まだ花の季節には早いですね」
「早い? 」
「まだ寒いですからね」
「そうだね」


自分もティーカップを受け取る。
淹れたてのお茶が入っているが、自分は熱いのが苦手なので、しばらく飲めない。
お茶請けのお菓子(手作りだろうか)を食べて冷めるのを待つことにした。


「で。 アリスに贈るのに、いい花はあるかい」
「人の話を聞いているのですか」
「何のことだい」
「まだ花の季節ではありませんよ。 それに此処は花屋ではありませんし」


お菓子を皿から取って、蜥蜴にも渡してやる。
今回のはなかなかイケますね、陛下にもお作りしてさしあげましょう、だの
独りごちている辺り、やはり手作りであったらしい。


「 …… そうだ、あの花は何ていうんだい」
「どの花ですか」
「君が女王によく贈っている花だよ、細長い感じの」
「細長い? …… あぁ分かった、チューリップですね」
「ちゅーりっぷ」
「貴方が言うとミスマッチですね」
「五月蝿いな」


「 …… 春になればチューリップも咲きます。 何輪かお裾分けしましょう」
「本当かい」
「陛下に差し上げている、赤いのでよろしければ」
「良いよ。 ありがとう。 赤なんて、アリスらしいじゃないか」
「よく考えれば、そうですね」


「じゃあ」


「「 また、春に 」」


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チューリップ。 花言葉は 【 博愛 】 【 愛の告白 】 。

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