*** june typhoon tokyo ***

近況注意報 1105 音楽篇(1)【3055】




 先日、2016年10月末日をもって音楽レビューサイト「3055」が閉鎖されました。「3055」は〈「音楽が売れない時代」だからできることがある〉をコンセプトに立ち上げた音楽ファンのレビューポータルで、ライター/プランナー/編集者として活躍する印南敦史さんが2011年に創刊・主宰したウェッブ・サイトです。

 2014年の夏よりレビュー等の更新が滞っており、実質開店休業状態となっていましたが、先日2016年10月を持って閉鎖とのアナウンスがあり、予定通り11月1日より当該サイトが閉鎖、アクセス不可能になりました。自分はその「3055」に、少しばかりですが、アルバム・レビューをさせてもらっていました。
 こちらは単なる一人の音楽好きの域を出ないズブの素人ですので、実際に印南さんと面識があった訳でもなかったのですが、著書のR&Bガイドブック『Juicy』シリーズを愛読していたことをきっかけに、たまたま「3055」のレビュアーとして声を掛けていただくことになった次第です。
 形式としての一定のルールはありましたが、内容については自由に執筆可、対象アルバムの選定もフリーと自身の裁量に任せてもらえ、拙文でありながらも表現の場を与えてくれた印南さんには感謝するばかりです。

 残念ながら(というよりあまり役に立てずに)サイトが閉鎖されてしまい、自分を含む他のレビュアーの方のレビューも見られなくなってしまいました。自分が書いた原稿というのはなんだかんだ言いながら可愛いもので……ということでもないのですが(むしろ読み返すとセンスがなくて情けなくなる)、読まれなくなってしまうのは(CDアルバム紹介の機を失うという意味でも)惜しい気もしたので、自身の執筆の上での課題を目に晒しておくという意味で、別途記事としてエントリーしようと考えました。気になるアルバムやアーティストの作品のレビューを読んでみて、それが作品を聴くきっかけになれば嬉しいです。

 3回に分けてエントリーしていきます。よろしければ、どんと見据えて!(Don't miss it!)

◇◇◇

≪2012年掲載分≫

■INCOGNITO/Surreal
[ 2012 ] Shanachie

 アシッド・ジャズ界を牽引してきたブルーイことジャン・ポール・モーニックのユニットは、鮮度と普遍を巧みに調和させて高品位の作品を創り上げてきたが、この2012年作でもそのスタンスは変わらない。

 ユニット名は“匿名”という意味だが、なるほど中心のブルーイはサウンド・プロダクションに没頭して我を持ち出さない。だが、美麗なヴォーカル、鮮やかなホーン、そしてなによりも洗練されたグルーヴが秀逸のサウンドは、一聴してそれと解かる“匿名”という普遍的ブランド性に溢れている。

 鮮度としてはヴォーカリストの役割が大きい。特にモー・ブランディス(時折ジョージ・マイケルを想起させるソウルフルな歌唱も)は、男性シンガーとして長期尽力してきたトニー・モムレルの穴を埋めるに相応しい新たな風だ。そこへ“ヴォイス・オブ・インコグニート”ことメイザも参加、新風と伝統が融合した“シュール”な世界へと導いてくれる。

強大なインパクトはないが、モダンでシュールな世界を愉しむには存分な一枚だ。

May 22 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. The Less You Know 2. Goodbye To Yesterday 3. Above The Night 4. Ain't It Time 5. Capricorn Sun 6. Don't Wanna Know 7. Restless As We Are 8. Rivers On The Sun 9. Don't Break Me Down 10. The Stars From Here 11. To Be With You 12. This Must Be Love 13. The Way You Love 14. Thoughtful Fantasies


■Steve Russell/SO RANDOM
[ 2010 ] MOTEL MUSIC MEDIA

 80年代後期に結成され、“Spread My Wings”などのヒットを持つグループ、トゥループの元メンバーによるソロ作。

 とにかくマイケル・ジャクソンへの熱量が尋常でない。“ポゥ”の奇声が随所に顔を出す“Work It”からはじまり、冒頭が「今夜はドント・ストップ」を思わせる“Bring It Back”、かつての盟友チャッキー・ブッカー制作の“D.A.N”は“Human Nature”が見え隠れ。そしてもう待てないとばかりに“Rock With You”を思う存分カヴァー……という具合だ。

 後半は90年代の良質R&Bを踏襲した本来の姿で勝負。B2K提供曲のセルフ・カヴァーもいいが、元エクスケイプのキャンディ客演の濃密スロウ・ジャム“I Wanna Give It To You”が白眉だ。

 ボン・ジョヴィ風ロック“Hot Mess”を境に色合いが異なりやや統一感は欠けるが、曲単位では文句なし。マイケルとR&Bへの絶大なる愛が伝わる好盤だ。

May 25 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Work It 2. Bring It Back 3. D.A.N 4. Rock With You 5. Hot Mess 6. Disappear 7. I'll Never Hurt You 8. Never Feel That Feeling Again 9. Gots Ta Be 10. I Wanna Give It To You 11. Not In A Million Years 12. Thank God For You


■Robert Glasper Experiment/Black Radio
[ 2012 ] Blue Note Records

 ヒューストン出身のピアニストで、ゴスペルからR&B、ヒップホップまでを取り込んだオルナタティヴな精神でジャズを体現するロバート・グラスパーのBLUE NOTEレーベル4作目、“エクスペリメント”名義では初となるアルバム。

 タイトルからも分かるように、エリカ・バドゥ、ビラル、ルーペ・フィアスコ、レイラ・ハサウェイ、レディシらR&B/ヒップホップ界の実力者たちの力添えを得て、ブラック・ミュージックの創造や革新の可能性を説いている。オリジナルに加え、アフロキューバンなスタンダードやシャーデー、デヴィッド・ボウイ、さらにはニルヴァーナといったカヴァーを揃え、ジャズの洒脱さをエッセンスにしたブラック・ミュージックの発展形といえるモダンな世界観を創り上げている。

 ロバートのピアノは個性的な客演陣との舞台を支えることだけに専心するかのごとく謙虚だが、その芯は太く浸透力に溢れる。その“静かなる衝撃”を体感せずに、ブラック・ミュージックの“現在”は語れまい。

Jun 04 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Lift Off/Mic Check (featuring Shafiq Husayn) 2. Afro Blue (featuring Erykah Badu) 3. Cherish The Day (featuring Lalah Hathaway) 4. Always Shine (featuring Lupe Fiasco & Bilal) 5. Gonna Be Alright (F.T.B.) (featuring Ledisi) 6. Move Love (featuring KING) 7. Ah Yeah (featuring Musiq Soulchild & Chrisette Michele) 8. Consequence Of Jealously (featuring Meshell Ndegeocello) 9. Why Do We Try (featuring Stokely Williams) 10. Black Radio (eaturing Mos Def) 11. Letter to Hermoine (featuring Bilal)  12. Smells Like Teen Spirit


■Mike Winans/MY OWN GENRE
[ 2011 ] DOC ROC ENTERTAINMENT

 ミシガンのゴスペル名家“ワイナンズ”の一員、マイク・ワイナンズのソロ・デビュー作。おばのヴィッキー・ワイナンズの2003年作""Bringing It All Together""を制作し、Bad Boyレーベルと契約。クリス・ブラウンやニュー・エディション、ケイス、ミッシェル・ウィリアムス、そして従兄で同じくBad Boyでパフ・ダディの右腕となったマリオ・ワイナンズらのヒットを手掛けた彼がようやく表舞台に登場した。

 従兄マリオがBad Boy色とゴスペルを融合させ成功したように、マイクもゴスペルを基盤に2000年前後の王道R&Bを提示。自身の音楽様式を宣言したようなタイトル曲""My Own Genre""をはじめ、スムースで優しい肌質のメロウ・ミディアムが揃った。肌身に溶け込むような芳醇な歌唱が時の流れを緩やかにする。なかでも“Progress Report""は白眉。

 シンプル・イズ・ザ・ベスト。R&B本来の旨味を抽出した良質作だ。

Jun 14 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. My Own Genre 2. Turning The Page 3. What's Not To Love 4. Rumor Has It 5. Dancing On Me Like That 6. Who's Got A Heart 7. First Day Of Spring 8. I Apologize(ft. Leah Plummer) 9. Party Til The A.M. 10. Good Love 11. Progress Report 12. Still There 13. Let The Past Go 14. Feel(ft. Stephanie Winans)


■Eric Benet/The One
[ 2012 ] Jordan House

 かつて松坂大輔がプロ初登板で勝利した後に「自信が確信に変わった」と述べたが、同様にエリックも自身の音楽的志向に大いなる確信を持ったのではないか。ソロ・デビューから所属していたワーナーを離れてラスト・ネームを冠した「Jordan House」レーベルを立ち上げたのは、そのような思いからに違いない。

 前々作『Love & Life』から顕著になった70年代ソウルをルーツとした作風は本作でも堅持。伝えるべき良質の音楽とは何かをしっかりと提示している。波しぶきのようにファルセットが押し寄せる“Sometimes I Cry”の後継“Real Love”は妻マニュエラへ送るラヴ・バラードで、“Muzik”では実娘インディアと再共演と家族愛を披露しつつ、ジャジーな“Come Together”ではメイクラヴ・モード全開と、“愛の伝道師”に恥じない作りとなっている。

 リル・ウェイン参加がトピックにだけに終わらない“Redbone Girl”やレゲエ、AOR調などにも着手し、間口も広げての今様ソウルを実践。その信念は見事というほかない。

Jun 22 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Harriett Jones 2. News For You 3. Real Love 4. Runnin 5. Red Bone Girl featuring Lil Wayne 6. Waitin 7. Hope That It s You featuring Shaggy 8. Gonna Be My Girl 9. Come Together 10. Muzik featuring India Benet 11. Lay It Down 12. Here In My Arms (Lucia's Lullaby)


■Sy Smith/Fast and Curious
[ 2012 ] PSYKO RECORDS

 次世代ネオ・ソウルともいうべき傑作。前作『Conflict』からは約4年ぶりとなるが、その心地よいグルーヴにはさらに磨きがかかっている。

 コケティッシュなヴォーカルが映える洗練されたグルーヴを創り出す上質な楽曲が持ち味だが、本作で加えられたスパイスは“エレクトリック”。西ロンドンのブロークンビーツの旗手MdCL(Mark de Clive-Lowe)をプロデューサーに迎えたことが奏功し、よりコズミックなネオ・ソウル”として新たなクロスオーヴァー像を打ち立てている。

 サイの勝手を知る盟友ラサーン・パターソンが好演したビリー・オーシャンのカヴァー“Nights(Feel Like Gettin' Down)”やティーナ・マリー“Lovergirl”のリメイク“Teena”などのアレンジ曲も手抜きはなし。エレクトロとはいえ、2010年代USシーンの主流ともいえるユーロ・ポップ系のそれとは一線を画した、タイムレスなエレクトロ・ソウルだ。

Jul 02 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. The First and The Curious 2. Truth 3. Personal Paradise 4. Find My Way 5. Nights (Feel Getting Down) feat. Rahsaan Patterson 6. Let The Rain Down 7. Teena (LoverGirl Syberized) 8. The Ooh to My Aah 9. The Primacy Effect 10. Messages From The Stars 11. People of the Sun


■Sam Ock/SIMPLESTEPS
[ 2011 ] GOONTRAX

 ギャップ”はときに印象を有利に働かせるが、彼の歌声を聴いた後はそれ以上の衝撃を受けるのではないか。

 サム・オックは米・メリーランド州在住のコリアン・アメリカン。ふくよかで微笑ましい顔立ちのどこにでもいそうな大学生だが、一聴すれば、実にソウルフルで慈愛に満ちた歌唱力の持ち主だと感歎するはず。さらに、作曲、プログラミング、楽器もこなすマルチな才能にも驚くに違いない。

 和やかだが情感湛える旋律やトラックには、繊細な機微が溶け込む。派手さより流麗な移ろいを意識したようなジャジィ・ヒップホップ風の楽曲は、nujabesあたりの影響も。日本の関心もあるのか“Green Shade”では冒頭とラストに日本語を語る。歌唱スタイルはブルーノ・マーズにも譬えられるが、音楽への拘りはメイヤー・ホーソーン的ともいえる。どちらにせよ、美しいものを細やかに伝える感覚は、彼ならではだ。

 日本の四季の移ろいにも似たソウル・ポップス。これがファーストだというのだから、その伸び白は計り知れない。

Jul 09 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Rollercoaster 2. Love 3. Beautiful People 4. Pieces feat. Kero-One 5. Green Shades 6. Tenshi 7. Little Light 8. Simple Steps 9. There Will Be 10. Ms. Instrumental 11. Home 12. In Remembrance 13. Love - re:plus remix-


■Beverley Knight/SOUL UK
[ 2011 ] HURRICANE

 デビュー15年以上を経て辿り着いたのは、母国そして自身の音楽的ルーツでもあるUKソウル/R&Bを見つめ直すこと……。英国の国民的シンガー、ビヴァリー・ナイトの7作目のスタジオ・アルバムは、80~90年代の“UKソウル”への回帰の旅となった。

 UKのブラック音楽といえば、移民などの民族的背景もあってか、洗練されたなかにもどこか陰影を帯びた郷愁的な感情に訴えるものが特色だが、ここで選ばれた楽曲も多分に漏れずUKらしいもの。ソウルIIソウル、ジャミロクワイ、ヤング・ディサイプルズ、オマーといった定番といえるものから、ジュニアによるダンス・クラシックス“Mama Used To Say”やジョージ・マイケルによるソウル“One More Try”など、ジャマイカ系移民の厳格な親を持ちゴスペルを拠りどころにしてきた彼女ならではの解釈で“UKソウル”への愛着と感謝を伝えている。

 UKに根付くソウルを“今様”として導き出した、傑作カヴァー集だ。

Jul 11 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Fairplay 2. Southern Freeez 3. Mama Used To Say 4. Say I'm Your Number One 5. When You Gonna Learn 6. Apparently Nothin' 7. There's Nothing Like This 8. Don't Be A Fool 9. Always and Forever 10. Round and Around 11. Cuddly Toy 12. Damn 13. One More Try


■Jeff Bernat/The Gentleman Approach
[ 2012 ] P-VINE RECORDS

 「名は体を表わす」ような紳士的なもてなしが導くメロウな空間。エスコート役はネヴァダ州出身のフィリピン系アメリカン、ジェフ・バーナット。スティーヴィー・ワンダーやジョーらのカヴァーを動画にアップし、無料配信などを通じて知名度を高めた20代前半のシンガーソングライターだ。

 まるでおとぎの国へと連れ出したようなマジカルなイントロの自己紹介的小品“Bonjour”からはじまり、60、70年代のソウルへの回帰を念頭においたようなヴィンテージ感覚溢れる世界へといざなう。とはいえ決して古くさくなく、どこか都会的な艶やかさを帯びているのが特色。心優しく寄り添う“Girl At The Coffee Shop”“Call You Mine”や、ビリー・ホリデイを引用した可憐で麗しい“If You Wonder”など、古きよき時代のシャレたモノクロ短編映画集のようだ。

 ミュージック・ソウルチャイルドをさらにシャイにしたような、母性をくすぐる声質も魅力。スタイリッシュで安らぎも得られる、ソウルを未来へ繋げるラヴ・レターだ。

Jul 23 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Boujour (intro) 2. Cool Girls 3. Just Vibe 4. Doesn't Matter 5. My Dear 6. Ms. Seductive 7. Girl At The Coffee Shop  8. If You Wonder 9. Call You Mine f/ Geologic 10. Groovin' 11. Moonlight Chemistry 12. With Love f/ Mosaek


■SWV/I Missed Us
[ 2012 ] Ent. One Music

 90年代ガールズR&Bヴォーカル・グループの代表格、SWVの約15年ぶりの復活作。97年の解散後、ココはゴスペル作を発表するなどソロ活動を継続し、再結成を報じた2005年以降にはSWVとして来日公演も果たしてはいた。だが、新作となれば話は別。不安もあったが、蓋を開けてみれば、気持ちいいほど当時のまま。会心のカムバックとなった。

 冒頭のミッド・ダンサー“Co-Sign”から素晴らしきSWVサウンドが興奮を呼び起こす。女性の強さを示すような凛とした輪郭と気品に満ちた上質感があいまったあの感じ。90年代の薫りを大いに吹き込ませた良質R&Bは、当時のリスナーのツボを押さえるのはもちろん、2012年産としても見事に輝きを放つ。

 どこかメアリー・J.ブライジ“Just Fine”を想わせる“Do Ya”などを聴くにつけ、“復活が思い出だけで終わるほど私たちはヤワじゃないわ”などといっているようで貫禄も充分。時代遅れだと軽んずるなかれ。本作に漲る躍動は、いまの時代をも凌駕するはずだ。

Jul 26 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Co-Sign 2. All About You 3. Show Off Feat. A.X 4. Everything I Love 5. Do Ya Feat. Brianna Perry 6. The Best Years 7. I Missed Us 8. Better Than I 9. Keep You Home 10. Time To Go 11. Use Me 12. Love Unconditionally 13. If Only You Knew


■Estelle/All Of Me
[ 2012 ] Atlantic

 自己顕示の仕方も人それぞれだが、相手に寄り添いながらも存在感を放つ、そんな柔軟性を備えるのがエステルだ。カニエ・ウェストを迎えた“American Boy”で米の注目を浴びたUK出身のシンガー/ラッパーの3枚目には、時流の波に乗りながら独創的な解釈でR&Bを示したエステル的ソウルが詰まっている。

 クリス・ブラウン&トレイ・ソングスやリック・ロス、ジェリー・ワンダやクエストラヴらタイムリーな客演・制作陣の手を借りながらも、その豪華な膳立てに頼り過ぎない。個性同士がぶつかる寸前の絶妙な距離感で自身を輝かせる、引き算的なセンスには感心するばかりだ。

 とはいえ、主役を譲る節は全くなし。むしろ、ユニークな抑揚と引きずるようなフロウで畳みかける“Speak Ya Mind”やニーヨ制作のジャネル・モネイ客演曲“Do My Thing”などでは、奔放さを存分に発揮。UKらしい陰影を湛えた独創的な視点で構築された世界には、彼女の矜持が表われている。

Aug 03 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 The Life 2 International (Serious) / Feat. Chris Brown And Trey Songz 3 You And I 4 Love The Way We Used To 5 Cold Crush 6 Don't Break It 7 Break My Heart (Feat. Rick Ross) 8 Thank You 9 Who We Are 10 Wonderful Life 11 Found My Way… 12 Back To Love 13 Blue Skies 14 Speak Ya Mind 15 Do My Thing (Feat. Janelle Monae)


■YOSHIKA/World
[ 2008 ] Grand Trax

 アル・クーパーのカヴァー“JOLIE”やm-floとのコラボ“let go”で話題となったYOSHIKAの2枚目のフル・アルバム。R&Bへベクトルを向けたソロ第1弾とは異なり、本作はオーガニックなピュア・ポップ作となった。

 Curly Giraffe作曲“Swim in the Stars”や菅野よう子作曲“きみのなかで”などのトピックもあるが、重心は彼女自身の心情が隅々まで詰まったセルフ・ポートレイト的な作品ということ。結婚・出産を経て、女性として人間としての存在を問い導き出した、彼女なりの人間像がここにはある。

 文字通り弾んだ“Trampoline”やジャジィなポップ“Beautiful Woman”といったアップ系もあるが、多くは浸透力のあるオーガニックなミッド。歌唱もシルキーだが、ただ優しく包み込むだけではなく、素肌で接する生々しさも。着飾る前の本来の美しさに気づいてほしいというメッセージなのだろう。

 表現力や訴求力溢れる瑞々しいバラード“Touch”は絶品だ。

Aug 09 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 はじめに 2 World 3 Swim in the Stars 4 In My hand 5 ただそれだけのこと 6 きみのなかで 7 Trampoline 8 Don't let me be free 9 Can't be your friend 10 Touch (Album version) 11 Beautiful woman 12 I will Always


■MONDAY MICHIRU/NEXUS
[ 2008 ] Knife Edge

 喜怒哀楽を激しく露にしているのに、力まずに聴けるのはなぜだろうか。そんな思いが脳内に浮かんでは消える。クラブ・ジャズ・シーンで高い人気を誇るマンデイ・ミチルの14枚目のオリジナル・フル・アルバムは、人間の深層心理と繋がり(=“NEXUS”)を映し出してみせた一枚だ。

 ファンタジーと現世、社交性と内向性、享楽と憂鬱……。一見異なると思われるが実は表裏一体な世界観を、ディープやモダン、ムーディ、ソウルフル、キャッチーなどさまざまな色彩で描いていく。楽曲が本来持つべき姿を糸を手繰るように捜し求め、意図した着想と制作陣を得たことは素晴らしい“連鎖”だったようで、歌唱からもその痛快さが感じられる。感情に素直に委ね、人間が持つ感受性に訴えたことが、無意識に自身のグルーヴに反応したのかもしれない。 

 ジャズ・トランペッターで夫のアレックス・シピアギンはもちろん、旧知のKyoto Jazz Massive(“Sands Of Time”制作)らの仕事ぶりも光る。“ON&ON”では息子のニキータも参加。

Aug 16 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. INTERLUDE 2. EPIPHANY 3. YOUR EYES 4. CANDY 5. SOMETIMES 6. SUITE 610 7. GENETIC IMPRINTS 8. THAT’S NOT ME 9. WEAK 10. SANDS OF TIME 11. ONE 12. ON & ON 13. SANDS OF TIME (JAZZTRONIK REMIX) (BONUS TRACK)


■Crude Reality/Exterior World
[ 2005 ] starfish RECORDINGS

 Crude Reality……あまり馴染みのない名前かもしれないが、80年代にNOKKOを擁してシーンを席巻したレベッカのキーボーディスト、土橋安騎夫といえばわかるだろうか。彼の別名義による2005年作は、ハウスやブレイクビーツを土台にしながらも、洒脱と雑多性に富んだものとなった。レベッカはロック・バンドながらそのリミックス曲はクラブ的なアプローチなものが少なくなかったことを考えると、このような活動も合点がいく。

 トライバルな生楽器をシンセと組み合わせたサウンドも多いが、装いはどこまでも都会的。一貫してラウンジ感やアーバンな色彩で満たしているのは、ICEやCOSA NOSTRAといういわゆる“渋谷系”のヴォーカリストを迎えた曲を配したのも大きな要因の一つ。特にICEの国岡真由美をフィーチャーした冒頭曲“Into My Brain”は、同じく宮内和之の手も借りて(というよりもろにICE印サウンド)、享楽と恍惚へいざなってくれる。

 80年代の良き面影を忍ばせた、洗練されたハウス・アルバムだ。

Sep 04 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Into My Brain 2. Stay or Leave 3. Mindscope 4. Change Of Heart 5. Octagon Planet 6. Do you want slack off in your life? 7. Future Telegram 8. Deep Terrain 9. Stay or Leave Francois K.and Rob Rives Mix 10. Octagon Planet Nils Hess Mix


■Elle Varner/PERFECTLY IMPERFECT
[ 2012 ] RCA

 ポスト・アリシア・キーズ”とのキャッチコピーで話題のR&Bシンガー、エル・ヴァーナー。両親がミュージシャン(共にバイ・オール・ミーンズ)で、アリシアを発掘したチームに見出されてのデビューゆえ、冒頭のフレーズらしい。

 ただ、個人的にはJ・コールを迎えた“Only Wanna Give It To You”や“Leaf”“Oh What A Night”などで耳にするハスキーな声質は、どちらかというとクリセット・ミッシェルに近い気もする。スカートの裾をヒラヒラさせて“ウフフ”……といたずらっぽく笑うような、可憐さと茶目っ気ある歌唱がそう感じさせるのか。両親は洗練と洒落を兼ね合わせたソウルフルな雰囲気を醸し出していたが、エルはその素養に加えて、なかなか肝の据わった歌唱で楽曲も幅も広い。

 大型新人というとその後大衆歌手化するパターンも少なくないが、“Only Wanna Give It To You”路線のヒップホップ・ソウル曲調で勝負してもらいたい。そう願いたい逸材だ。

Sep 18 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Only Wanna Give It To You 2 Refill 3 Sound Proof Room 4 I Don’t Care 5 Not Tonight 6 Leaf 7 Oh What A Night 8 Stop the Clock 9 Welcome Home 10 Damn Good Friends 11 So Fly


■SATOSHI TOMIIE/FULL LICK
[ 1999 ] SONY Associated Records

 ハウスをハウスの枠から解き放った衝撃的な一枚。

 世界的なトップDJのひとり、サトシトミイエ(富家哲)のオリジナルとしては初となるアルバムは、ほの暗いムードが漂うディープな“DISK YIN”と端麗な輝きを持つ歌モノ中心の“DISK YANG”の2枚組。2001年にシングル・カットされた“LOVE IN TRAFFIC”は、さまざまなリミックスを生んで欧州でもヒットした。

 スピリチュアルともインダストリアルともいえる陰サイドとエキサイティングな陽サイドという一見異なる世界観を、実は表裏一体なんだと感じさせる巧みな構成が見事。陽サイドではダイアン・シャーラメインを迎えた歌モノ曲が中心だが、なかでも“INSPIRED”から“COME TO ME”の流れは、ピアノやストリングス・アレンジのハウス好きにはたまらない興奮を味わえるのではないか。

 実験的な側面を持ちながらも、日本人的な“和”の美意識を崩さない、懐の深いハウス・アルバムの傑作といえる。

Sep 25 ,2012 UP (Baseball Mania)

DISK YIN: 1 BIG BANG 2 BANGING TRAFFIC(INTERLUDE) 3 LOVE IN TRAFFIC 4 DARKNESS 5 UP IN FLAMES 6 SNEAKY ONE 7 PROHIBETED ONE(INTERLUDE) 8 SECRET PLACE 9 FLUTE&FLAVA DISK YANG: 1 INSPIRED 2 COME TO ME 3 HEAVEN 4 SINCERITY(PART1&2) 5 COME TO ME(LAMENTO TAKE2) 6 BLACK OPAL


■BONNIE PINK/Chasing Hope
[ 2012 ] Warner Music Japan

 どこか葛藤や悩みを拭いきれず靄がかった作風からようやく抜け出した……そう感じさせる2012年作。

 元来、波が出やすく、大ヒット“A Perfect Sky”以降、行くべき道を模索していたように見えた彼女。ベスト盤以降はトーレ・ヨハンソンら馴染みの面々に頼らずにやや内省的な作品が続いたが、デビュー15周年に発表した『Dear Diary』できっかけをつかんだようで、約2年後の本作は、その盟友たちの力も借りて、タイトルよろしく希望へ向かって一心不乱に走り出すようなピュアでポジティヴなものに。爽快なグルーヴが駆ける“ナツガレ”や好奇心溢れるロック“Bad Bad Boy”あたりは、ツカエていたものが外れた解放感が伝わる。また、“My Angel”“Tiger Lily”などに顕著な震災後に強まった生への衝動も。どれもネガティヴに陥らない活力が漲っている。

 過去に囚われ過ぎず、今をしっかり踏みしめ、行くべき未来を見定め始めた彼女。長い充実期が予感できそうだ。

Oct 02 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Stand Up! 2 ナツガレ 3 Mountain High 4 Bad Bad Boy 5 街の名前 6 Animal Rendezvous 7 My Angel 8 Tiger Lily 9 Baby Baby Baby 10 Don’t Cry For Me Anymore 11 冷たい雨 12 Change


■Cynthia Jones/Journey of Soul
[ 2011 ] Kingdom Records

 “ブロロロ……”というエンジン音が鳴り響く“Motorcycle”から幕を開ける、ノース・カリフォルニア出身のネオソウル/ゴスペル・シンガーの2011年作。

 バイクに乗った(?)シンシアの“ソウルの旅”は、“Universal Praise”“Revival”などのゴスペル曲もあるが、ほぼR&B作といっていい。前作『Gotta Soul』ではエリカ・バドゥを気取った佇まいが印象的だったが、本作もエリカやジル・スコットあたりを思わせる雰囲気を漂わせる。シンシアのよさは圧倒的な声量で大仰に押しまくるのではなく、ゴスペルで培った伸びやかなパワー・ヴォーカルを持ちながらも、しっかりと曲風に合わせてコントロールできるところ。オーガニック・ソウルやスムース・ジャズ、グルーヴィなアップなど、どの曲にもしっくりくるのはその匙加減のよさが大きい。実にバランスよく、最後まで飽きさせない。

 “ネオソウル×ゴスペル”スタイルの隠れた良作だ。

Oct 10 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Motorcycle 2 Journey of Soul (Intro) 3 Unconditional 4 Lord I Need You Now 5 Universal Praise 6 He Loves Me 7 Conversation 8 Revival 9 Child Of The King 10 God's Been Good 11 Ocean 12 What A Mighty God 13 Midnight 14 Happy Birthday 15 Walking 16 Judah Jam 17 Got To Be There 18 L.O.V.E. 19 Journey Of Soul


■MAROON5/Overexposed
[ 2012 ] A&M / Octone

 デビュー作『ソングス・アバウト・ジェーン』発表の10年前以降、ロックやソウル、ファンクといったジャンルを横断した独自のサウンドを持つバンドとしての認知度が高い彼ら。意地悪な言い方をすると、多彩なジャンルや要素の導入から、常に「ポップなのか、ロックなのか」という類の問いには座りが悪かったところもあったろう。だが、この4作目は実に爽快なポップ作としてリスナーを刺激したに違いない。“露出超過”を意味するタイトルも、決してネガティヴではなく、「もっと俺たちのポップを見てくれ」と言わんばかり……とするのは考えすぎか。

 マックス・マーティンやシェルバックのスウェーデン系をはじめ、エレクトロやダンスを得意とする制作陣に重心をおいてはいるが、核心はポップ・バンドとしてのキャッチーなミュージック。それがアダムの人懐っこいヴォーカルと融合し、モダンでグルーヴィなポップ作を創り上げたのだ。

 今後の飛躍のためのヒントを獲得した、その端緒になりそうな一枚。クリスティーナ・アギレラ客演のヒット“Moves Like Jagger”などを含むデラックス版がオススメ。

Oct 17 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 One More Night 2 Payphone feat. Wiz Khalifa 3 Daylight 4 Lucky Strike 5 The Man Who Never Lied 6 Love Somebody 7 Ladykiller 8 Fortune Teller 9 Sad 10 Tickets 11 Doin' Dirt 12 Beautiful Goodbye 13 Wipe Your Eyes 14 Wasted Years 15 Kiss 16 Moves Like Jagger 17 Payphone (Cutmore Remix) 18 Payphone (Supreme Cuts Remix)


■Usher/Looking 4 Myself
[ 2012 ] RCA

 『コンフェッションズ』=“告白”からの区切りをつけようとした野心作。

 従来の純粋なファンは訝しく思ったかもしれない。ディプロによるダウンビートを効かせた“Climax”やマックス・マーティン制作のポップ・ダンサー“Scream”といったシングルが続けば、「アッシャー、お前までもエレクトロに走らなくても……」という落胆も聞こえてきそうだ。

 だが、それは早計だと待ったをかけたい。確かに前述のディプロらエレクトロ勢は大きなトピックだが、アーバン路線に加え、サラーム・レミの重々しいビートが支配する“Sins Of My Father”や時代をオールディーズへと巻き戻したようなファレル節全開の“Twisted”など多様な曲調を採用。世界的な視点から今を知る彼だからこそ、ジャンルを超越した全世界訴求型の作風へと導いたのだ。

 過去の名声に留まらず、常に進化すべき存在として自己を見つめた一つの挑戦。リスキーだが自ら厳しい道を進む心意気は見事だ。その結実は次作以降となろうが、それを知るためにも看過はできないはずだ。

Oct 23 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Can't Stop Won't Stop 2 Scream 3 Climax 4 I Care For U 5 Show Me 6 Lemme See 7 Twisted 8 Dive 9 What Happened To U 10 Looking 4 Myself 11 Numb 12 Lessons For The Lover 13 Sins Of My Father 14 Euphoria 15 I.F.U. 16 Say The Words 17 2nd Round 18 Hot Thing


■Perfume/Perfume Global Compilation LOVE THE WORLD

 ユニバーサル移籍前、徳間在籍時発表の楽曲のなかから、海外向け入門編としてセレクトされたコンセプト・アルバム。2007年“ポリリズム”以降、爆発的なスピードでテクノポップ・ユニットとして人気を...more


※「3055.jp」にて詳細リンクが非表示となっていたため、全文取得不可能でした


■Angie Stone/Rich Girl
[ 2012 ] Saguaro Road Records

 ヴェテランR&B/ソウル・シンガーの6作目は、やはりネオ・ソウルが充溢した魅惑的な一枚となった。

 老舗レーベル“STAX”からの前作『Unexpected』ではオートチューンを使うなど流行を採り入れてはいたが、内実は安定したアンジー・ソウルを披露した良作だった。だが、売上げが芳しくないと思われたのか(あるいは、バイクにまたがった鼻息荒そうなジャケが良くなかったか…苦笑)、本作は移籍したSRR Recordsからのリリース。少なからずショックもあるかと思いきや、どこから出そうと私の音楽は不変と言わんばかりの、心身共に懐の大きなところを見せてくれた。

 スムースなミディアムを軸とした定番ネオ・ソウル作だが、“Backup Plan”“Livin' It Up”などのキャッチーでグルーヴィンなアップも提供。ツボを外さない心遣いが嬉しい。

 斬新でも新境地でもないが、古臭くもないし飽きもこない。季節や気候に合わせてスパイスや調理法をアレンジした上質な一品料理といえるか。じっくりと味わいたい。

Nov 06 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Intro: Real Music 2 Do What U Gotta Do 3 Backup Plan 4 Proud of Me 5 First Time 6 Guilty 7 Interlude (By Malcolm-Jamal Warner) 8 Alright 9 Livin' It Up 0 Rich Girl 11 Right in Front of Me 12 I Can’t Take it 13 Push N' Pull 14 U Lit My Fire 15 Sisters


■Dwele/Greater Than One
[ 2012 ] Ent. One Music

 自己主張を押しつけず、自然と豊かな音の波へと導く。寓話「北風と太陽」でいえば、太陽のようなアプローチだ。

 デトロイト出身のR&B/ソウル・シンガーの5作目は、電子音のアクセントと生音のなめらかなタッチが優れた調和を見せた、スウィートでアダルトな雰囲気が最大の魅力。圧巻な声量や音圧こそないが、知らぬ間に心身を委ねているような、スムースな浸透力が素晴らしい。溶けるようなファルセットや快感のツボをくすぐるようなヴォーカルは、まったく力みを感じさせない。“自然体の美学”とでもいわんばかりだ。
 
 これだけならよくあるネオ・ソウル作と捉える人もいるかもしれないが、彼が非凡なのは、チラリと遊び心や“ヒネリ”を仕込んだ作風にもある。“Takes22Tango”“Swank”あたりの”変則的なトラックをさらりと泳いでのける柔軟性などもそう。以前、カニエ・ウェストが客演に招いたというのも頷ける。

 掛け合いによる口説きソング“PATrick RONald”などでは茶目っ気も見せる、シャレた一枚だ。

Nov 19 ,2012 UP (Baseball Mania)

1 Greater Than One Less Than Three 2 Going Leaving 3 Takes22Tango 4 What You Gotta Do (feat. Raheem DeVaughn) 5 What Profit 6 Obey 7 This Love 8 Must Be (feat. J. Tait, L’Renee & Black Milk) 9 Swank (feat. Monica Blaire) 10 PATrick RONald (feat. Monica Blaire) 11 Special 12 Love Triangle 13 Frankly My Dear (I’m Bennett I Ain’t Innit)


■BLACKKURRANT/URBAN SOUL
[ 2012 ] P-VINE RECORDS

 なんともベタなタイトルと思いながら、冒頭の“Simplify”を聴くと、これが“Superstition”を想起せざるを得ないスティーヴィー・ワンダー曲風。だが、少々胡散臭さを感じながら耳を貸し続けるうち、ソウルの上澄みをすくっただけではない意外と懐の深いアーバン・サウンドが待っていた……。南アフリカ・ケープタウンを拠点に2005年に結成した5人組のデビュー作は、アーバンの名に恥じない上質と清爽を兼ね備えていて、実に痛快だ。

 本国でのヒット“Today”や“Love The Way”はインコグニート路線のアシッド・ジャズ、スムースなファンク“Scandalous”はセルフ・コンテインド・バンド系、“She'll Never Know”“Get Naughty”“Nobody Knows”はネオ・ソウル~90年代以降R&Bと、グルーヴ・チューン好きのツボを押さえた構成。うま味を嗅ぎ分けたセンスは、なかなか侮れない。

Nov 29 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. SIMPLIFY (featuring Mingus) 2. SCANDALOUS 3. TODAY 4. SHE’LL NEVER KNOW 5. FOR YOU (interlude) 6. IN LOVE WITH YOU 7. NOBODY KNOWS 8. LOVE THE WAY (featuring Mingus) 9. GET NAUGHTY (featuring DK) 10. BLINDED BY GREED 11. BK HAS LEFT THE BUILDING (interlude) 12. BLINDED BY GREED (Caramel Remix) (Bonus Tracks for Japan)


■AISHA/I,Shout!!!
[ 2012 ] アリオラジャパン

 久しく出くわさなかった“本物”がようやく現れた、という感覚が身体を貫いた。スティーヴィー・ワンダー作品でトロンボーンを演奏する父が「可愛いアイシャ」にちなんで名付けたという、黒人の父と日本人の母との間に生まれたAISHAのファースト・アルバム。

 デビュー前にグールーに見初められ“It's On You”で共演したとかランDMCのDMCが認めたという煽り文句もあるが、正直それはどうでもよくて、とにかく迫力と繊細を兼ね備えたヴォーカルが素晴らしい。一聴してその圧倒的な存在感を植え付けられたのだ。

 サウンドも“Fallin' 4 U”“I Wanna Rock You”“MaMa Never Told Me ”といったグルーヴィなファンクやヒップホップ・ソウル風“ELECTRICITY”などを軸に、“黒さ”を根にした付け焼き刃でないR&B/ヒップホップを実践している。

 日本のどこか生ぬるいR&Bシーンを変えられる救世主として、期待大な存在だ。

Dec 17 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. Fallin’ 4 U feat.DMC 2. I Wanna Rock You 3. Nothing 4. Red & Blue 5. ELECTRICITY 6. Interlude 7. Sing for you 8. “houston” 9. この声枯らして feat.CHEHON 10. Vanilla☆Shake 11. MaMa Never Told Me feat.RICHEE & SIMON  12. Heartbeat 13. Fly 14. It’s On You feat.AISHA 15. Fallin’ 4 U feat.DMC [M2J MIXXX] 16. Fly [DJ Mitsu the Beats remix] 17. I Wanna Rock You [mabanua Remix] 18. Love Again [DJ Hasebe Remix]


■安室奈美恵/Uncontrolled
[ 2012 ] avex trax

 駆け引きなどどこ吹く風。独走態勢に入り、もはや自身と闘うマラソンランナーのような貫禄さえも感じさせる10作目。

 圧倒的な声量や図抜けた表現力があるわけではないが、常に質の高い作品を送り込む彼女。自身の個性をまったく削がずに楽曲ごとに絶妙な加減でフィットする。それはまるで、ゲームによって絵札にも任意のカードにもなれる“ジョーカー”的な変幻自在さといってもいい。

 中心となるダンス・チューンは、装飾を剥ぐとビートは変則的でなく、むしろ単調なビートにも思えるくらい。だが、そこでヴォーカルを前面に押し出して曲にアクをつけるのではなく、主張が強いトラックに反発せず、むしろそのパワーを利用したヴォーカル・ワークで安室色に染め上げていく。

 楽曲制作はNao'ymtとT-SKが4曲ずつで核。そこへ大沢伸一やT.kura&michicoらが加わる鉄壁な布陣(特にT.kura夫妻の安定感といったら!)。しばらく彼女の牙城は崩れそうになさそうだ。

Dec 26 ,2012 UP (Baseball Mania)

1. In The Spotlight (TOKYO) 2. NAKED 3. GO ROUND (’N ROUND ’N ROUND) 4. Sit! Stay! Wait! Down! 5. Hot Girls 6. Break It 7. Get Myself Back  8. Love Story 9. Let’s Go 10. SINGING “YEAH-OH” 11. Fight Together 12. ONLY YOU 13. Tempest


◇◇◇

※「近況注意報 1105 音楽篇(2)【3055】」へ続く

















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