Smile Engineering blog ( スマイルエンジニアリング・ブログ )

ジェイエスピーからTipsや技術特集、プロジェクト物語を発信します

ストレスで野菜が美味しくなる不思議

2012-08-30 11:26:32 | 農業関連
今回は当ブログとしては初めての「農業」を題材とした回である。
ITの会社がなぜ野菜のことについてブログを書いているのだろうと不思議に思った方もいるだろう。
我社のホームページにも掲載されているが、今年からアドバンストソリューショングループ(Advanced Solution Group:ASG)というグループが設立された。システム開発の枠にとらわれず社会の発展に取り組むグループであり、現在は株式会社グランパ様が考案した植物工場の建設のお手伝いをさせていただいている。詳しくはホームページまたはASG Blogを見てもらいたい。
http://www.jspnet.co.jp/business/asg.html
http://blog.goo.ne.jp/jsp-asg

さて、第一回目の農業ブログは「ストレスを利用したおいしい野菜の作り方」を紹介していきたい。
通常、おいしい野菜を作るには「肥料を多く与える」、「水を多く与える」と考える人がほとんどだろうが、あえて植物にとって不適な条件を与えることでおいしさを引き出す手法がある。
今回は植物のストレスとは何か、どのような栽培例があるかを紹介していこうと思う。

1.植物が受けているストレスとは
「ストレス」と聞くと我々人間が生活を行っていく上で感じる「ストレス」を想像する人がほとんどだろうが、植物も日々様々なストレスを受けている。植物が受けているストレスの例を下記に挙げてみる。

・温度(高温、低温、凍結)
・光(強光、暗黒、紫外線)
・水(乾燥、水没)
・栄養(栄養不足、栄養過多、塩、重金属)
・傷害(昆虫などによる摂食、接触による破損)
・病理(うどんこ病、そうか病など・・)


植物はある範囲内の環境条件下では良く生長するが、その範囲を超えると障害を受けたり、枯死したりする。このような、植物に対する不適な環境条件の影響を「環境ストレス」という。植物はヒトや動物と違い「移動」するという手段がないため、その環境ストレス下にいかに「適応」するかが生存する重要なプロセスとなる。これらのストレスの仕組みを理解し、うまく利用すると、実は野菜はおいしくなるのだ。
次にこれらのストレスを利用した栽培例を挙げてみたいと思う。

2.ストレスを利用した栽培
2-1温度ストレスを利用した栽培
(1)夜温を低くする
植物は昼間は光合成を行い糖というエネルギー源を生産している。しかし夜間などは光合成を行うことができないため、蓄積した糖を消費して呼吸を行っている。この呼吸活動は温度を低くすることによって活動を弱めることができる。そのため夜間温度10℃(比較的低温障害を受けない温度)に設定を低くすることで、呼吸による無駄な糖消費を抑え、甘さを増すことができる。

(2)低温で貯蔵する
植物の90%以上が水分で構成されているため、氷点下の気温になると低温・凍結ストレスを受ける。凍結すると細胞内の脱水や凍結による細胞の損傷が起こる。これを回避するため植物は細胞内に糖類を増やし氷点下でも凍結しない(凝固点降下)ように適応している。
雪下キャベツが甘いのは低温によって糖が蓄積されているからである。

2-2塩ストレスを利用した栽培
(1)海水散布
塩類にさらされると植物は浸透圧ストレスを受ける。浸透圧ストレスによって植物は根から水分を吸うことができなくなり、乾燥を受けた時と似た状態に陥る。塩・浸透圧ストレスへの対応として植物は生体内に糖類を蓄積する。すると生体内の浸透圧が高まり、生体外の浸透圧と合わせることによって、ある程度の塩存在下でも適応することができる。
海水散布はこの現象を利用したもので、キャベツの場合では結球初期と収穫1~2週間前に薄めた海水を散布することで糖度をあげることができる。
また海水散布は苦みを減らす効果もある。葉物などが持つ特有の苦みは硝酸態窒素によるもので、窒素肥料を与えすぎると硝酸態窒素が増加し苦みが増す。海水を散布すると、土壌中の硝酸イオンと海水の塩化物イオンが競合して、結果として硝酸イオンの吸収が抑制される。硝酸態窒素が減少したことにより苦みが少なくなり、さらに甘みが増すというわけだ。
もし家庭菜園で実施したいのであれば「にがり」を約1000~2000倍に薄めたものを利用するとよい。

2-3水分ストレスを利用した栽培
(1)根域の水分制限
水分の供給を制限することにより細かい根毛が生え、水分・養分を吸収しやすくなる。

(2)アイメック農法
作物をハイドロメンブラン(HM)と呼ばれるフイルムで養液と隔離して栽培するシステム。作物側は乾燥しているので、膜中の水分と養分を吸収しようと膨大な根毛を形成する。また浸透圧効果によって膜中の養液吸収力を高めるため糖分やアミノ酸を大量に作り出し、高品質な野菜ができる。

3.おわりに
ここでは紹介しきれなかった栽培技術はまだまだ数多く存在する。
今回の記事で少しでも農業というキーワードに興味を抱いてくれたら幸いである。

参考資料
・村松 安男(1992) 『高品質・高糖度のトマトのつくり』 農文協
・渡辺 和彦(2006) 『作物の栄養生理最前線~ミネラルの働きと作物、人間の健康~』 農文協
・中島 水美(2012) 『かんたん!水耕栽培 土を使わないはじめての野菜づくり』 新星出版
・日本施設園芸協会 (2002)『養液差倍の新マニュアル』 誠文堂新光社
・鈴木 健策「トマトの寒締め栽培」『ハイドロポニックス』 Vol.23(2) pp.28-29.
・加藤 雅彦「肥料の随伴イオンと 葉菜類の硝酸イオン含有率」『グリーンレポート』No.454
・月刊現代農業 http://www.ruralnet.or.jp/gn/200907/kyabetsu.htm 2012/8/30アクセス
・植物の環境ストレス応答 http://www.photosynthesis.jp/PlantResponse.html 2012/8/30アクセス

株式会社ジェイエスピー
システム部 アドバンストソリューショングループ
染宮 信之介


monipet
  動物病院の犬猫の見守りをサポート
  病院を離れる夜間でも安心

ASSE/CORPA
  センサー、IoT、ビッグデータを活用して新たな価値を創造
  「できたらいいな」を「できる」に

OSGi対応 ECHONET Lite ミドルウェア
  短納期HEMS開発をサポート!

GuruPlug
  カードサイズ スマートサーバ

株式会社ジェイエスピー
  横浜に拠点を置くソフトウェア開発・システム開発・
  製品開発(monipet)、それに農業も手がけるIT企業
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« Androidで熱中症対策 | トップ | 新入社員研修を終えて(新人の... »
最近の画像もっと見る

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。