「三十六計逃げるに如かず」という言葉がある。一昔前は小説やドラマの中などで割と使われていたような気がするが、最近はあまり聞いたことが無い。自分の立場・都合が悪くなったときや、面倒な事に巻き込まれそうになったときに、この台詞をつぶやき、その場からいなくなってしまう。そんなシーンによく使われていた。
逃げるが勝ちという意味合いでよく使われているが、元々は勝ち目が無いと分かっているのに戦うのは愚策であり、逃げるべきときは逃げて身の安全を保ち、のちの再挙を図るのが最上の策、という意味合いである。
今回はこの「三十六計」について少し書いてみたいと思う。三十六計は兵法三十六計といい中世頃の中国の兵法書である。兵法書と言えば武田信玄の旗印にも使われた「孫子」が有名であるが、三十六計は、どちらかと言えば民間に流通し、日常生活で幅広く流通している。実は「三十六計逃げるに如かず」の三十六計と「兵法三十六計」は別の物らしい。この故事の三十六計がどのようなものであったかは分かっていない。
兵法三十六計は様々な時代の故事や教訓が混在しており、昔国語や漢文で習ったことのある春秋戦国時代の物も多い。孫子が戦う上での王道を中心に説いているのに比べて、兵法三十六計はどちらかと言えば詭道中心であり、相手を欺き、虚を突くことで戦いを優位に進めようとするものが多い。
兵法三十六計は以下の六計からなっている。
・勝戦計(こちらが有利な時の戦略)
・敵戦計(同じ力の敵に対する戦略)
・攻戦計(うまく勝つ為の戦略)
・混戦計(乱戦時の戦略)
・併戦計(味方・同盟国に対しての戦略)
・敗戦計(負けている時の戦略)
上記六計に、それぞれ6つの計略があり6x6の三十六計となっている。
三十六計を一度に紹介すると長くなってしまうため、勝戦計のみを少し紹介したい。
・瞞天過海
全体で「皇帝をだまして平穏無事に大海を渡る」という意味になる。露呈されているものに秘計を隠し、見慣れていると少しも奇妙に思わない錯覚を巧みに利用して、軍事的な目的を実現すること
・囲魏救趙
敵軍が主力を集中して隣国に進攻し、双方が退治して激戦を展開している機に乗じて、敵国の本土の要害の地を急襲し、敵軍が進攻を中止してあたふたと救援に向かうように仕向け、その機に乗じて途中で待ち伏せ攻撃して殲滅する戦略である。
・借刀殺人
自分は手出しをせず、策略を巡らし、自分が滅ぼしたい人を殺害することであり、軍事的には、自国の兵力を温存し、さまざまな矛盾を利用して、他国の兵力で敵軍を撃破する策略
・以逸待労
自軍に有利な地歩を確保し、敵軍を困難な立場に追い込んで、すぐには進攻せず、「剛と柔は互いに転化する」という原理にもとづいて、積極的防御の戦術を取って敵軍を徐々に殲滅、疲労させ、強を弱に変え、受動的立場から主動的立場に転じること
・趁火打劫
他人の家の家事に乗じて略奪を行うという意味であり、軍事的には、敵軍が困難や危機に遭遇したら、その気に乗じ出兵し、絶対的に優勢な戦力で苦境に陥っている敵軍をたたきのめす戦略
・声東撃西
東方に進撃すると思わせて実際には西方に進撃し、敵軍を混乱させて統制不能に陥らせ、水位が高くなると堤防をいつでも決壊させることができるように、敵軍の混乱に乗じて進攻し殲滅する戦略
先に述べたように兵法三十六計は詭道の策が多い。戦場ではない現代にこのまま策を用いると、短期的には効果があったとしても、長期的には信頼を失い、損失面の方が多くなってしまう。しかし上記のものが価値が無いかと言えばそんなことは無い。それぞれの計について見方を変えれば現代に役立つものが多く隠れている。
「瞞天過海」普通と思っている物でも深く考えてみれば、いくらでも工夫の余地があり、新しいアイディアが隠れているかもしれない。
「囲魏救趙」何か問題が発生した場合、直接その問題を解決するよりも間接的な方策によってその問題が解決できるかもしれない。
「借刀殺人」自分だけで何とかしようとするよりも、その道のプロをうまく活用する。
「以逸待労」地場をしっかりと堅めつつ、臨機応変に対応しチャンスを待つ。
などなど。
漢字ばかりで非常に固いイメージのある兵法書も中身は非常に人間くさいエピソードに溢れている。行き詰まったとき、何かヒントが欲しいとき少し時間を取って読んでみてはどうだろうか。
出典:兵法・三十六計
兵法三十六計-Wikipedia
(菊)
逃げるが勝ちという意味合いでよく使われているが、元々は勝ち目が無いと分かっているのに戦うのは愚策であり、逃げるべきときは逃げて身の安全を保ち、のちの再挙を図るのが最上の策、という意味合いである。
今回はこの「三十六計」について少し書いてみたいと思う。三十六計は兵法三十六計といい中世頃の中国の兵法書である。兵法書と言えば武田信玄の旗印にも使われた「孫子」が有名であるが、三十六計は、どちらかと言えば民間に流通し、日常生活で幅広く流通している。実は「三十六計逃げるに如かず」の三十六計と「兵法三十六計」は別の物らしい。この故事の三十六計がどのようなものであったかは分かっていない。
兵法三十六計は様々な時代の故事や教訓が混在しており、昔国語や漢文で習ったことのある春秋戦国時代の物も多い。孫子が戦う上での王道を中心に説いているのに比べて、兵法三十六計はどちらかと言えば詭道中心であり、相手を欺き、虚を突くことで戦いを優位に進めようとするものが多い。
兵法三十六計は以下の六計からなっている。
・勝戦計(こちらが有利な時の戦略)
・敵戦計(同じ力の敵に対する戦略)
・攻戦計(うまく勝つ為の戦略)
・混戦計(乱戦時の戦略)
・併戦計(味方・同盟国に対しての戦略)
・敗戦計(負けている時の戦略)
上記六計に、それぞれ6つの計略があり6x6の三十六計となっている。
三十六計を一度に紹介すると長くなってしまうため、勝戦計のみを少し紹介したい。
・瞞天過海
全体で「皇帝をだまして平穏無事に大海を渡る」という意味になる。露呈されているものに秘計を隠し、見慣れていると少しも奇妙に思わない錯覚を巧みに利用して、軍事的な目的を実現すること
・囲魏救趙
敵軍が主力を集中して隣国に進攻し、双方が退治して激戦を展開している機に乗じて、敵国の本土の要害の地を急襲し、敵軍が進攻を中止してあたふたと救援に向かうように仕向け、その機に乗じて途中で待ち伏せ攻撃して殲滅する戦略である。
・借刀殺人
自分は手出しをせず、策略を巡らし、自分が滅ぼしたい人を殺害することであり、軍事的には、自国の兵力を温存し、さまざまな矛盾を利用して、他国の兵力で敵軍を撃破する策略
・以逸待労
自軍に有利な地歩を確保し、敵軍を困難な立場に追い込んで、すぐには進攻せず、「剛と柔は互いに転化する」という原理にもとづいて、積極的防御の戦術を取って敵軍を徐々に殲滅、疲労させ、強を弱に変え、受動的立場から主動的立場に転じること
・趁火打劫
他人の家の家事に乗じて略奪を行うという意味であり、軍事的には、敵軍が困難や危機に遭遇したら、その気に乗じ出兵し、絶対的に優勢な戦力で苦境に陥っている敵軍をたたきのめす戦略
・声東撃西
東方に進撃すると思わせて実際には西方に進撃し、敵軍を混乱させて統制不能に陥らせ、水位が高くなると堤防をいつでも決壊させることができるように、敵軍の混乱に乗じて進攻し殲滅する戦略
先に述べたように兵法三十六計は詭道の策が多い。戦場ではない現代にこのまま策を用いると、短期的には効果があったとしても、長期的には信頼を失い、損失面の方が多くなってしまう。しかし上記のものが価値が無いかと言えばそんなことは無い。それぞれの計について見方を変えれば現代に役立つものが多く隠れている。
「瞞天過海」普通と思っている物でも深く考えてみれば、いくらでも工夫の余地があり、新しいアイディアが隠れているかもしれない。
「囲魏救趙」何か問題が発生した場合、直接その問題を解決するよりも間接的な方策によってその問題が解決できるかもしれない。
「借刀殺人」自分だけで何とかしようとするよりも、その道のプロをうまく活用する。
「以逸待労」地場をしっかりと堅めつつ、臨機応変に対応しチャンスを待つ。
などなど。
漢字ばかりで非常に固いイメージのある兵法書も中身は非常に人間くさいエピソードに溢れている。行き詰まったとき、何かヒントが欲しいとき少し時間を取って読んでみてはどうだろうか。
出典:兵法・三十六計
兵法三十六計-Wikipedia
(菊)









