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簡単アンケート「人工呼吸器の設定と離脱」サブグループ解析結果

2012-12-05 12:16:12 | 呼吸

10月25日に終了した簡単アンケートの「人工呼吸器の設定と離脱」サブグループ解析を行いました。

医師、ナース、CEで人工呼吸器の設定と離脱に関して見解がどのように違うかみたかったからです。

まず以前お知らせした 全体結果でも

  1. PC好きが多い(質問2~5)。
  2. SIMV好きが多い。初期設定でも(質問2、3)、離脱を考慮したときにも(質問7)。とくに自分で設定する時よりも施設のプラクティスがそうなっている(質問2と3の比較、質問6と7の比較)。
  3. ARDSでは初期設定からBIPAPやAPRVなどの特殊モードを用いることが多い(質問4、5)。
  4. SBTよりもPSVによるウィーニングを用いるコトが多い(質問8、9)。

などの特徴が浮き彫りになりました。今回の職種別サブグループ解析でわかったのは、

  1. ナースにはSIMV好きが多い(質問2、6)。
  2. CEには比較的A/C好きが多い(質問2、4)。
  3. ARDSの初期設定でBIPAPやAPRVを使用したいのはナースに多い(質問4)。

ちなみに、全体の人数比は 医師:ナース:CE=4:2:1 でしたので、職種別の傾向が全体に強い影響を及ぼしたという印象はありません。

このような日本の人工呼吸器設定の傾向は、

Intensivist 2012年第4号 呼吸器離脱の拙文「6ml/kgとSBTの間には」の抜粋

  • 実際に、米国のARDS networkと呼ばれる多施設研究グループによる2008年の報告では、2005年の段階で、ARDSの初期モードとして80 %以上の症例で従量式のA/Cが用いられ(この研究ではA/Cと単純に呼ばれた)、同期式間欠的強制換気±圧支持(SIMV±PS)、従圧式のA/C(この研究ではPCVと呼ばれた)を合わせると、90%程度に調節換気モードが用いられていることがわかった。
  • また、調査年が2000年と古いが、北米、南米、スペイン、ポルトガルの412のICUにおける術後患者を含む一日調査(66%の患者が急性呼吸不全)でも、A/Cが47%、SIMV±PSが31%、従圧式の調節換気が7%、PSVが15%であった。
  • さらに、急性呼吸不全ばかりでなく、術後を含む55箇所の内科系・外科系ICU患者を対象とした2009年の豪州・ニュージーランドの一日調査(80%の患者が急性呼吸不全)では、従量式のSIMV+PSが41%、従圧式の調節換気(SIMV、A/C、BIPAPを含む)が17%であり、残り41%はPSVが占めた。
  • ちなみに、この研究では、急性呼吸不全の患者、重症度が高い患者では、従量式にくらべて従圧式の調節換気が用いられるオッズが高かった(それぞれのオッズ比4.7、1.7)。このように地域によって違いはあるが、急性期には調節換気が用いるのが標準的であることを裏付けるデータである。

でわかる世界の呼吸器設定事情に比べると、かなり異なることがわかります。

今回の結果は、個人的には「CEにA/C好きが多い」(なんか、少し嬉しい)以外は予想通りで、驚かされて面白かったというより、予測が的中し(ただけにいろいろなことを考えさせられ)て面白かった、のが第一の感想でした。

 


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